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-KURENAI-
Vol.5


 血塗れの人生は、自ら望んだ事



 両手を見れば、夥しいほどの、血


 紅い


 血



 ルフィの無茶のお陰で助かったのか、迷惑したのか、兎に角敵はいなくなった。目に入ってくる血が邪魔くさくて、腕に巻いていたバンダナを外し、顔を拭っていると、不意にサンジが笑った。
 何が可笑しかったのか、今まで自分に向けられる事が無かったその笑顔に、見とれてしまう。
 ふっと糸が切れたかのように、サンジが倒れるのがスローモーションのように見えた。
「…っおい!サンジ!!」
 駆け寄り、抱え起こそうとして自分の手が血塗れだった事を思い出す。

−− この手で触れていいのか…?

 今、血に汚れているからではない。
 昨夜、サンジを酷いやり方で抱いた。陵辱したこの手で、サンジに触れていいのだろうか。
 一瞬の躊躇いの後、横たわるサンジの身体を両腕に抱え上げた。思いの外軽い身体に、ギョッとする。
 均整のとれた身体。無駄な肉は無く、程良く筋肉が付いた肢体。普段曝すことの無い長い手足は、白い。
 昨夜暗闇の中で見た、白い肌。



「え、サンジくんどうしたの?怪我?」
 キッチンからひょっこり顔を覗かせたナミが、ゾロに抱かれぐったりしたままのサンジを見て、駆けて来る。
「怪我はしてねぇ…と思う」
 多少の傷はあるものの、大きな出血は見られない。骨の怪我なら、自分には分からない事だが、恐らくは色んな事からの疲れだろう。
「そう。取りあえず部屋に運んで。少しなら診れるから、後で骨に異常が無いかだけ確認するわ。ウソップは船の破損箇所調べて。で、ルフィはあの辺の船からお宝拾って来て」
 ナミがテキパキと指示を飛ばす。
 誰が船長だか相変わらず分かりにくい船である。
 男部屋のハッチを開け、サンジの身体を肩に担ぎ直し、ゆっくりした足取りで降りる。
 ソファに横たえ顔に掛かる髪を払おうとして、止めた。
 いつだったか、戦闘の後血塗れのままでいたら、シャワーを浴びて来いと言われた事を思い出す。乾いてパリパリと張り付いた血を洗い流したら少しはサッパリするのかもしれないと、ノロノロと立ち上がり風呂へ向かった。
 シャワーで流したところで身に染みついた血は洗い流せない。
 何故、あんな事をしたのだろう。

 酷くした。
 サンジの身体を組み敷いて、足を開かせて、無理矢理に自身をねじ込んだ。
 手に入らない物を必死で欲しがる子供のように。
 欲しかった。
 どうしても欲しかった。

 着の身着のままシャワーのコックを開き、水のシャワーを頭から浴びた。全身に浴び、乾きかけていた返り血がゆるりと水に溶け出す。

−− 欲しかった…?

 一体何を欲しがっていたのだろう。
 倒れる間際に見せたサンジの笑顔が脳裏に浮かんだ。

−− そうだ…

 アレが欲しかった。
 皆に平等に、無条件に差し出される笑顔。
 何故それが自分だけに向けられないのかという、他愛もない事。
 口は悪くても、誰に対しても変わらず施される料理。それはゾロに対しても変わる事は無く、不寝番の時には酒を片手に夜食を渡してくれる手。
 何故それが自分だけに向けられるものでは無いのだろうという、言い掛かりのような事。



 好きだ。



 ストンと胸に落ちてきた。
 もう今更かもしれないと、ゾロは頭をガシガシと掻いた。薄紅色の雫が、タイルの上に撥ねる。
 餓鬼の我が儘で、サンジを傷つけてしまった事は、取り返しが着くような事ではない。
 でも、サンジの心も、身体も、欲しかった。
「クソッ…もう、遅ぇよ…」

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2004/9/7UP


短っ!
ロロノアさん…何考えてるのかワカリマセン;;
私どっちかと言うとロロノアさんっぽいんだけど、それでもよくわかりません;;
というか、早くコレ最後書きたいです。

*Kei*