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***ATTENTION***
このお話はゾロサンベースルサンです!
でも何だかとってもゾロサン(笑)

CHANGE OF HEART

Kei Kitamura

<1>

 キッチンにはいつものコックの姿。昼食の片付けも終わり、おやつの準備に取り掛かる前にタバコを深く吸い込み肺に染み渡らせていた。
 今日のおやつは何を使おうか、など、女性のことのみがサンジの頭の中を駆巡っていた。
「サンジー!!腹減ったぁぁ!おやつ〜!!」
 心地よい気分をキッチンの扉を勢いよく開けたルフィの(馬鹿の一つ覚えのような)叫び声に邪魔されてしまったサンジは、眉間に皺を寄せた。
「だから、うるせェっつってんだろ、クソゴム」
「腹減った、腹減った〜!」
「あああああ、うるせェ!」
 フィルター部分まで灰が辿り着いていたタバコを灰皿に押し付け、サンジは不機嫌そうに髪を掻き上げた。聞き分けのないこの船の船長に、懇々と説教すべく、口を開きかけたところに伸びてきた手に腕を引かれた。
「どわっ!何だっっ?!」
 そのまま倒れこむようにルフィに抱きとめられるが、何が起こったのかを把握する前に首筋に咬みつかれた。それはもう、ガブリッと音がしそうなくらいの強さで。
「いでぇぇぇっっ!!クソッ、馬鹿クソゴムッッ!何しやがるっっ!」
 ルフィの頭を押しやり、咬み跡に付いた歯形を手で擦る。くっきりと肩口に付けられた歯形はじわじわと熱を持ち、腫れ上がってきた。サンジは血管が切れそうなくらいに額に青筋を立て、悪気のなさそうなルフィを睨みつけた。が、当のルフィは何で怒ってるんだといった様子で、キョトンとサンジを見ているだけだった。
「…の野郎…。何のつもりだっ、何のっっ!!」
「ああ、サンジ旨そうな匂いがしたから、食ったら旨いのかなーと思ってよ」
 にしし…と満面の笑みで返事を返されて、ガックリと戦意を喪失してしまう。

――そのうちオレはマジでこいつに食われてしまうんじゃねェ?

「でも、本当に旨そうな匂いさせてるんだよなぁ、サンジは」
「…おい…」
 クンクンと犬のように鼻をサンジに近づけ、エプロンを掴み身体をくるむように腕を巻きつけてきた。そう、ゴムの彼は言葉の通り、巻きつけてきたのだ。
 毒気を抜かれてしまったサンジは、呆れてそのまま暫く放っておくことにした。

――ああ…おやつ作らなきゃなんねーんだけどなぁ…
 どれくらいルフィの好きにさせていただろうか、ふと首筋の咬み跡に濡れた感触がした。ザラリと舌で舐められる熱を持ったその場所から、知っている痺れが広がる。
「…っ。おいっ、舐めんなよ。痛ェよ」
 ゾクリとした感覚を知られたくなくて、顔を背け逃げを打つ。
「甘い。サンジ、甘いんだなぁ」
「…っ!」
 押しのけようと伸ばされた手をスルリとかわし、さらに口を押し付けてきた。舐めるだけではなく、吸うように口付けをそこに落としていく。

 ルフィにはそんな気はないのかもしれない。

 いや、恐らく全く考えてもいないだろう。


 久しくセックスというものをしていない、禁欲中の身体はそれだけの刺激にじわじわと熱を帯びていく。ただ押し付けて舐めるだけのその行為に、背中から甘い痺れが這い上がってくる。

――おいおい…そりゃ何でも節操ねーだろ…

「おい、いい加減放せよ。おやつ作れねーだろ」
 一心にサンジの首筋を舐めていたルフィが“おやつ”という言葉に過敏に反応した。
「それは困る!」
「だから、放せって言ってるだろーが」
 顔を上げ困ったように首を傾げるが、サンジを抱いている腕を緩めようとしないルフィに焦れて、力ずくで剥がそうと巻かれた其れに手を伸ばした時、キッチンの扉が勢いよく開かれた。
「よぉ、ゾロ」
「……何してんだ、お前らは」
 ルフィの腕にぐるぐる巻きにされたサンジを見たゾロの反応は、呆れたようでもあり、不機嫌なようでもあった。
「んなのどうでもいいから、このクソゴムを剥がしてくれよ」
 サンジは舌打ちをすると、ルフィの腕から逃れようとジタバタと藻がく。
「なぁ、ゾロ。サンジって旨いんだぞ。知ってたか?」
「はぁ?」
 とんでもないことをルフィが口走る。ゾロも訳が分からないといった様子で、気の抜けた声を出した。
 瞬時、夜の情事を思い出し頬に上ってくる熱に慌てて其れを振り切る。
「馬鹿なこと言ってねェで、放せっ!放さねーと、テメーらおやつも晩飯も抜きにするぞ!」
「俺には関係ねーだろうがよ…」
「うっっ!それは困る!」
 咄嗟に束縛から解放され、椅子に座り込む。

――クソムカつくっ…

 サンジは盛大な溜息をつき、胸ポケットからタバコを取り出した。
 『旨い』とか言ってサンジを食料と間違える奴にも腹が立つが、平気な顔で『関係ねーだろ』とか言いやがる奴には更に腹が立つ。
 プカプカと忙しなく肺に煙を送り込んでは吐き出していく。

 見るからに不機嫌な顔を隠しもせず、どっかりと座り込みタバコを噴かすサンジに、ゾロは頭を抱えた。相対してルフィはまだ“おやつ、おやつ”を連発していて、それが更にサンジを苛立たせる要因になっていた。
「…オマエは何だったんだよ」
「あ?」
 急に振られた言葉に何を聞かれたのか一瞬分からなかったゾロだが、ココに入ってきた目的を思い出し口を開いた。
「ああ、水…くれねーか?」
「水…ね」
 酒じゃねーのか、と不機嫌そのものの声で口の端を上げて笑った。
 ゾロは触らぬ神に祟りなしとばかりに肩を竦め、水道へ向かった。
 相変わらず騒いでいたルフィの頭を一つペシッと叩くと、サンジは冷蔵庫を開けそこからピッチャーを取り出すと、グラスに注ぎ其れをゾロに突き出した。
「…?」
「これ飲め」
 ぶっきらぼうに突き出されたグラスをゾロが受け取ると、その中には薄く色の付いた液体。
「サンジ〜!俺にもっっ!」
「分かってるよ、う・る・さ・い。何遍も言わすな」
 ルフィにも同じように其れを渡すと、半分に減ったピッチャーを冷蔵庫に戻す。
 何かのフルーツ果汁。みかんでもない、不思議な香りがする。
「それ飲んだら出てけよ。オレは忙しいんだ。もう邪魔すんなよ」
 特にルフィ、と念を押すことも忘れない。
 懲りないルフィはニッと笑うと、飲み干したグラスをサンジに突き出し

「おかわりっ!」

 と、叫んだのだった。

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*kei*
変です。ラブ〜なルサンなハズだったのですが、ワタシの頭はゾロサンに侵されているようであります(爆)
ま、ゾロサンベースのルサンなので、単にルフィが絡んでくるくらいにしかならないのかなぁ。
ううっ。ラブラブなルサンが読みたい今日この頃。
早めに続きUPしますね。