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酒と煙草と

<3>

*****

「飲んでるかよ、クソ剣豪〜!」
「ああウルセェな、この酔っ払い」
「うわっ!ムカツク。マリモの分際で人間に盾突こうってのかぁ〜」
「あーハイハイ、飲んでるから、黙ってろ」
 良い具合に、というか、完璧に酔っぱらっているサンジは、絡み上戸になっていた。
「…っおい!」
「んー…」
 先程まで絡んでいたかと思ったら、今度は睡魔に襲われているようで、ぐにゃぐにゃになった身体をゾロに凭せかけてくる。起こすとまた騒がしいので、そのまま寝てしまいそうなサンジを仕方ない、と抱え直し足を枕に貸してやる事にした。
 グラスに残った酒を呷る。空になったグラスを転がし、手近の酒瓶に手を伸ばす。瓶を呷り視線を落とすと幼い顔をしたコックがムニャムニャ口元を動かしているのが見えた。
 ムカツクと思っていたクソコックが、割と付き合い易く、それなりに馬鹿な話で盛り上がれるような奴だと、今日初めて知った。
 小さく身動ぐサンジの髪がサラリと揺れて、足を擽る。
 ネクタイは首に引っ掛かっているだけで、胸元は大きくはだけている。顔から首筋、その胸元までもほんのり染まり、白い肌が今は桃色に見えた。

−−白い…よな?

 スルリと首筋を撫でると、ピクリとサンジが身動ぐ。払うようにヒラヒラ振られる手を掴むと、それは思った以上に細くて驚いた。

−−うわ…細っせぇ…

 それなりに骨張って確かに男の手なのだが、綺麗に切り揃えられた爪が長い指先に収まり桜色に染まっている。掴んだ手を逆に掴まれ、ぎゅっと握りこまれた。振り解く気にもなれず、使えなくなった片手を諦め、瓶を傍らに置くともう一方の手で髪を梳く。指の間をスルスル零れる感触が面白く、何度も繰り返す。
「んーぅ…」
 仰向けに寝返りを打ち、かぱっと開いた口の中に紅い舌を見た時、思わずその身体を引っ張り上げ塞いでいた。
「…ふ…」

−−あー…煙草臭ぇな…

 酒の味に混じって舌がピリピリするような煙草の味がする。
 気にならないと言ったら嘘になるが、それよりもこの舌を味わいたいと思い、サンジの口腔内に舌を伸ばした。
 自分が何をしているか等と考える事も無く、暫くサンジの口に食い付くような口づけを繰り返す。
「んんー…ゃ…ぁ…ん…あ…?」
 うっすらと開かれた目がゾロを捕らえた。口を離し、唾液に濡れたサンジの口元を乱暴な手つきで拭ってやる。
「な…に…?も、止めんの…?」
 トロンとした表情のままゾロの顔を暫く見ていたと思ったら、にへーっと笑いながら、首に両手を絡ませて来た。しかも、何やら不穏な発言まで残して。
「もっとしようぜ、キス〜。オレキスすんの好きなんだよなー。でも最近全然してねぇじゃん〜?なぁ、キス、しよう」
 エロい顔でそんな事を言われたら、それはもういただくしかなくて。
 元々仕掛けたのはゾロの方なので、異論がある筈も無く、ヘロヘロ笑う顔を掴み口に噛みついた。

−−コイツにこんな事してるって事は、俺も実はかなり酔ってん、のか?

 物事を深く考えるタチではないゾロは、ま、いっか、と誘うようなサンジの舌に自分の其れを絡ませ、歯を立てる。
「ん…ふ…」
 鼻に掛かった甘えるような声は、普段のサンジからは決して聞く事が出来ない。面白いと思い、更に口づけは深くなる。
 一頻り貪った後、火照った首筋に口づけを落とすと、肩を竦めた。
「…ぁ…くすぐって…ぇ…」
 クスクス笑う声が耳元に聞こえる。
 強めに吸うと紅く鮮やかな痕が付くのが面白く、首からはだけた鎖骨、胸元を舌を這わせては、時折吸った。その度にサンジの身体が跳ねるのも面白くて、幾度と無くそれを繰り返す。
「ん…きもちー…」
 ふと気が付くと、腕の中でサンジが寝息を立てていた。

−−おい…ちょっと待て!こんな状況で寝るか?!

 信じられないとばかりに、肩を揺すってみたが、ぐにゃぐにゃと揺れるだけで、すっかり睡眠体勢に入ってしまったサンジは全く起きる気配がない。さすがに寝ている相手にそうご無体な事も出来ず、ゾロは空を仰ぐ。
 ああ、満月や…。
「マジかよ…」
 煽るだけ煽って寝てしまうとは、本格的な酔っ払いだと、ゾロは仕方なくサンジを抱え上げ男部屋に運んだ。ハンモックに乗せるのが面倒で、ソファに横たえ上から毛布を掛けてやる。
 煽られたゾロは股間でテントを張っている物の処理を、自分で侘びしくするしか無かった。

*****

「ぎゃーっっ!!!言うなっっ!!つか、何でそんな事細かに説明すんだよ、テメェっっ!!」
 話の途中から唖然と口を開けっ放しだったサンジは、ゾロが話をそこで締めくくると、朝から船内に響き渡る声で叫んだ。そして自分の声で宿酔いの後遺症、頭痛に頭を抱え込んでしまった。
「お前が憶えてねぇっつーから話したんじゃねぇかよ」
「…イテテ…テメ…オレ様を襲いやがったなぁぁ〜っ!…っ!」
「襲ってねぇよ、すっげぇ途中だったぜ」
「…っ!!」
 怒りと痛みで声も出ないのか、サンジは頭を抱えたままテーブルに突っ伏した。
 そんなサンジに追い打ちを掛けるように
「お前、あんま酒飲み過ぎんな。途中で止めるのはかなりつれぇ…。あ、後煙草も程々にしろ」
 とゾロが偉そうに言った。それも命令口調で。

「ふざけんなーっっ!!」

とサンジが叫んだのと、

「ウルサイっっ!!」

と、ナミがキッチンに飛び込んで来たのは同時だった。



 その後、サンジが飲み過ぎてベロベロに酔う事はなかったが、ゾロには美味しくいただかれてしまったのは、また別の話で。


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2004/2/10UP

終わった…?
コレで終わりで良いですか…?(汗)
ナンか文章が変なんですけど、私もしかして文字系のスランプ?!
うそーんっ;;

大変大変お待たせした上に、こんなオチでスミマセン…っ(汗)
*kei*