狭山事件とは

                                            狭山事件とは、1963年、埼玉県の狭山市でおきた誘拐殺人事件です。そして、同時に、狭山事件は戦後最大の部落差別事件でもあるのです。

 警察は40人の警官で犯人を包囲しながら逃げられてしまうという大失態をしました。当然それは、警察批判となり、さらには、国会で問題にされ政治問題となりました。柏村警察庁長官が辞任し、篠田国家公安委員長が、国会で追及されました。

 なんとしても早期に犯人を捕まえるしか、警察の威信の回復、治安の回復はできないところに、追いつめられたのです。篠田国家公安委員長は「なんとしても生きた犯人を捕まえねば」と語り、デッチ上げへのゴーサインを出したのです。

そうして、警察は、意識的に部落差別に踏み込んだのです。何の証拠もないのに、狭山市内の被差別部落の青年120人と、被害者宅近くで部落民が経営していた養豚場の関係者24人を、被疑者と決めつけ徹底的に調べたのです。その中に、ヌレ衣を着せられることになる石川さんも含まれていました。

 アリバイがなく、血液型がB型で、脅迫状と筆跡が似ている者がその中から選び出されたのです。おそらく警察は死体発見現場の近くに住んでいるということで石川さんを選んだのではないでしょうか。部落青年の中から誰が犯人にされてもおかしくなかったのです。石川さんは当時、字がほとんど書けませんでした。それを、警察は無理やり「上申書」を書かせて、それをもって、「脅迫状と同じだ」とまったくデタラメなこじつけを行って、5月23日、「恐喝未遂」他余罪で石川さんを不当にも逮捕したのです。

狭山事件は殺人事件ですが、不思議なことに殺害現場がありません。何一つも根拠、証拠、証言がないのに警察が勝手に見立てた場所を現場としたのです。多くのえん罪事件がそうであるように誘導と強制で作られた「自白」が根拠です。こんなでたらめを裁判所は今日に至るも認めているのです。腹立たしい限りです。

 警察は、はじめから「自白しろ」「お前が殺したんだ」と石川さんを責め、脅し、泣き落とし、拷問、とあらゆる手を使ってきましたが、石川さんは1ヵ月間否認し続けました。しかし警察に「10年で出してやる」とだまされた石川さんは、それを信じ、一審では「自白」を維持しました。そして、死刑判決が出ました。同房の人にいわれてはじめて自分がだまされていたことに気づきました。そして、第二審の冒頭に、「おれは殺してません、これは弁護士にも言っていません」と無実を宣言し、いらい無罪を勝ち取るためにたたかっています。 こうした狹山事件の真相を明らかにし石川一雄さんの再審無罪を実現していくことが問われています。
            

署名用紙、紙芝居は、全国連へ

 

狭山第三次再審を実現しよう!

隠している証拠を全面開示しろ!

裁判所は事実調べをしろ!

 要請はがきを出そう

東京高等検察庁

 東京都千代田区霞が関1−1−1

       中央合同庁舎6号館

東京高等裁判所

 東京都千代田区霞ヶ関1−1−4

 

不当逮捕から52年。石川一雄さんは今も東京高裁の前に立ち、無実を訴え続けている。
石川さんは今も見えない手錠を科せられている。32年間の投獄が彼の人生を奪い。ウソの自白の強要、獄中での父母との別れ、「殺人犯」という汚名、そして、「部落は犯罪の温床」という恐るべき部落差別が、今なお彼を苦しめ続けている。
一審・死刑判決はいう。「被告人が、小学校すら卒業せずして少年時代を他家で奉公人として過ごし、父母のもとで家庭的な愛情に育まれることができなかったことは、その教養と人格形成に強い影響を及ぼしたであろう」。この恥ずべき部落差別は今も狭山差別裁判の内に生きている。
石川一雄さんだけではなく、部落に生まれ育った私たちすべての生活と愛情すら、貶めてやまない。私たちは、渾身の力でこの侮辱を払いのける。この差別を糺す。一人一人が石川一雄さんになり代わって、再審を要求する。
私たちは検察が「証拠物のリスト開示」でお茶を濁すことを許さない。検察は門野勧告に従い、捜査書類を含めた全証拠を開示せよ。
一部が開示された取り調べ録音テープは、石川さんの自白は嘘であり、強要され、誘導されたものであることを誰の目にも明らかにした。警察による虚偽自白の強要と、それに胡坐をかいた検察・裁判所を許さない。検察はすべての録音テープを開示せよ。裁判所は自白に関する事実調べを行え。
私たちは全社会に訴える。足利、袴田、布川、氷見等、冤罪が明らかになった諸事件で、虚偽の自白が強制され、証拠の隠蔽、ねつ造が行われ、無実の人間に死刑・無期を含む刑罰が科せられてきた。検察の証拠隠蔽を許さないために共に声をあげよう。東京高裁、高検に共に狭山事件再審を求めよう。
全国のきょうだいたち!石川一雄さんの無実の叫びに耳を傾けよう。ムラの内外に石川さんの訴えを知らせ、共に波状的要請行動に立とう。ハガキを送ろう。映画を広めよう。現地調査に行こう。一人ひとりが、狭山再審のために何ができるか、考え、行動していこう。
いつか必ず、「学校にも行けず」「少年時代を他家で過ごした」ものたちが差別裁判を糺し、世の中に平等を実現する日が来る。その日のために、部落のきょうだい、すべての狭山再審を求める人々と手をとりあって進んでいこう。全国連は、狭山要請はがきを取り組んでいます。要請はがきへの協力をお願いします。

 

*三者協議new