丘の上のすばらしく美しい街です。
外から見ると…。

日本からは遠い遠いこの街に、たくさんの人たちが住んでいました。
今は誰もいません。ごっそりと、廃墟です。

猫一匹いない。



生活のにおいは、乾いた風と強い日差しによってカラカラに干され、すっかり消えていた。
あるのは、日の光と、無音のざわめき。
人のいなくなった街が、これほどまでに恐ろしいとは思わなかった。
大声で叫び、振り返ることもせず、走って逃げだしてしまいそうだった。
こらえて、数回シャッターを押し、

走り出しそうになるのをこらえて、やたらに大きな自分の足音を聞きながら、ゆっくりと街をあとにした。
街が遠く遠くなって、木々の声が聞こえるようになり、初めて振り返り、街の全景をファインダーにおさめた。



終わった街
見下ろすのはゴラン高原