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幼児から
この世界にはどうしていろんな色があるのでしょうか。もしも色がなかったらどんな感じがするのでしょうか。この本は、色のない世界にいた魔法使いが、どうやって色をつくっていったかのお話です。

幼児から
じぶんだけのいろ―いろいろさがしたカメレオンのはなし
作/レオ・レオニ 訳/谷川俊太郎 (好学社)
本当の自分はどんな色だろうか、どんな色だとステキだろうか、どんな色だと気持ちがいいだろうか。
 自分だけの色にこだわって、その色を探し続けたカメレオンが、最後に納得したのは一体どんな色だったのでしょうか。

幼児から
きっとみんなよろこぶよ!
作/ピーター・スピアー 訳/松川真弓(評論社)
 おうちをきれいにしたら、きっとみんなよろこぶよ! 留守番の子どもたちは、ペンキを持ち出して、さっそくきれいにし始めます。もちろん、きれいになった後には、きちんと後かたづけもしましたよ。さぁ、おうちに戻ったお父さんお母さんは、きっと大喜びしてくれることでしょうね!
 ペチャペチャ、ペンキの飛ぶ音、カララン、缶の倒れる音、真剣にハケを動かす子ども達の息づかい、そんな音までもしてきそうに大忙しの様子が描かれ、とても楽しそうです。あぁ、親という仕事は、なんて楽しいのでしょう!

家の常備絵本!
幼児から
ももいろのきりん
作/中川李枝子 絵/中川宗弥(福音館書店)
 るるこは、お母さんからもらった大きな桃色の紙できりんを作ります。そのきりんに黒いクレヨンで大きな目を書くと、その目は遠くまで見ることができ、大きな口を書くとしゃべることができるようになります。世界一大きくて強いきりんのきりかは、るるこを乗せて遠くの山まで走ります。その山にあるのはクレヨンの木、そこには意地悪なオレンジぐまがいて、クレヨンの木を見張っています。

子どもの言葉より
夕食後、みんなで腕相撲総当たり戦をしているとき、つい口から出た「フレーフレー」の言葉に...
「私、フレーフレーって言うとどうしてもキリカが出てくるんだよね。それでさ、あの最後に出てきた薄汚れたくまがオレンジぐまだったんだね。小さい頃は全然わからないで、あぁ、くまさんが来たなぁとしか思わなかった。」(2006.3娘中二)

同感です。私も大人になり、こども達に読んで聞かせるときになって初めて気がつきました。幼いときには、悪いくまは悪いくまのままでどこかへすっとんでいってしまえば、それだけで十分に満足でした。作者の意図はわからなくても、幼い頃、私はこの本が大好きでしたし、せんたくばさみの数は何度も数え、落書きもして、本はボロボロです。最後のお家は、広告の裏などを使って、何度も何度も書きました。きりかが入れるように高い高いドアに、るるこのスリッパに、いすと机と...。1枚の紙に全部がなかなかおさまらず、何枚も書き直したことをよく覚えています。

皆さんがもしも小さなお子様に読み聞かせてあげるなら、どうか子どもが欲しがる以上の説明はせずに、そのまますっきり読んであげてくださいね。頭で理解させる必要はありません。内容は、わからなくて構いません。子どもは、大人とは違って、本をまるごと感じる力があるのですから。小さい子に対しても、わからないかな? などと遠慮せずに、どんどん本を読んであげてくださいね。楽しんでくれたらそれで◎。もちろん無理強いはいけません。

幼児から
沖釣り漁師のバート・ダウじいさん―昔話ふうの海の物語
作/ロバート・マックロスキー 訳/わたなべしげお(童話館出版)
 すでに現役は引退しているバート・ダウじいさんですが、使い古した舟に使い残りのペンキを塗って漁にでます。ダウじいさんのように、粋な歳のとりかたをしたいものです。

家の常備絵本!
幼児から
はなをくんくん
作/ルース・クラウス 絵/マーク・サイモント 訳/きじまはじめ
(福音館書店)
色のない雪に覆われた世界で、どうぶつたちが「はなをくんくん」、目をさまします。静かな繰り返しにもかかわらず、ページをめくるにつれて高まる高揚感とともに、最後のページを開くと...。

 始めは特に感慨もなく読んでいたけれど、息子(2歳頃)にせがまれ何度も読んでいるうちに「あ、これはすごいかもしれない!」と気がつきました。
 しんと静まりかえった世界に生じる目覚めた動物のひそやかな動き、冷たい雪と動物たちのやわらかなぬくもり、そこにかすかに漂う香り。最後に、色のない世界にこそ映える可憐な色が現れます。

 五感をいっぱいに働かせて読むこども達は、この本に、たまらなくわくわくさせられることでしょう。そして、頭を使いすぎて感覚の世界を忘れてしまった大人は、この本を読んで、眠らせてしまっている五感を呼び覚ますといいかもしれません。

色にまつわるひとりごと
美しいもの

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