大 雄 寺
 ● ぼくの細道
 みちのくへ行くといいながら、芭蕉は黒羽に、なんと14日間も滞在した。滞在が長くなったのは、俳諧の弟子、桃雪、翠桃兄弟の歓待を受け、もう一日、あと一日と引き止められたためだった、という。江戸から日光経由で下野黒羽まで6日かかった。これだけでもちょいとした旅である。気楽に行き来のできる距離ではない。引き止められるのも当然だろう。
 桃雪、本名浄法寺図書高勝、黒羽藩城代家老である。城代家老の賓客となれば、殿様だって知らん顔はできない。「おくのほそ道」には記載はないが、当然、芭蕉は、桃雪の主人たる殿様にも拝謁し、黒羽城に隣接する藩主大関家の菩提寺にも参っているであろう。

 曹洞宗黒羽山大雄寺。 応永11年(1404)に創建された古刹である。本堂を中心に四囲を回廊で囲む伽藍形式は、室町期の形式を今に伝えている。本堂、回廊、鐘楼、山門から庫裏まで、すべての堂宇の屋根が茅葺なのも珍しい。
 面白かったのは、仁王さま。
 ふつう仁王は門構えの内にいて出入りするものににらみを利かせているものだが、ここの仁王さまは、門の外に出て踏ん張っていた。
 大雄寺山内にはおびただしい数の石仏が点在している。
 「石仏巡りツァー」とか「石仏スタンプラリー」なんてやると面白そうで、参拝客を呼んで一儲けできそうだが、禅宗のお寺は、もちろんそんな下品なことはしない。(^0^)

 (左) なんか妙に色っぽい観音さま。ん?聖母マリアって感じもするなあ。(んなバカな)
 (右) 紅葉の葉で遊ぶ地蔵さん。写真では見えないが、この地蔵さん、唇に紅がさしてあった。 
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