ITTF Para Table Tennis

パラリンピック卓球の基本ルールと競技ルール

2015国際審判員(IU)リカレント研修会資料)

ITTFへの加入

卓球はパラリンピックの種目で、200771日より、国際パラリンピック卓球委員会は、国際卓球連盟パラ卓球となる。

パラ卓球ルールは国際卓球ルールの一部となる。

○競技者の障害によるクラス分け

クラス 1-5    車椅子の競技者

クラス 6-10 立位の競技者

クラス 11      知的障害を持つ競技者

○立位の競技者

障害の種類や程度にかかわらず、立位の競技者の試合はITTFの基本ルール及び競技ルールが適用される。

○用具及び競技条件

競技者の脚を妨げることなく車椅子が移動可能であり、ダブルス競技の場合は2台の車椅子が移動可能であること。

◆車椅子には少なくとも2つの大きな車輪と一つの小さな車輪が付いていること。

◆相手競技者のフットレスや足が競技中、床に触れるとポイントとなる。

◆1つ、または最大2つまでのクッションが使用できるが、その高さ(の合計)は競技条件において15㎝以下に制限されており、その他には何も車椅子に付属させてはならない。

○車椅子競技におけるサービス

◇シングルスでは、

 ◆正規のサービスを出したが、そのボールがレシーバーのどちらかのサイドラインを(1回または2回以上バウンドした後で)横切った場合はレットが宣告される。

 *ボールがサイドラインを横切った瞬間に「レット」を宣告する。

 ◆正規のサービスを出し、そのボールをレシーバーがどちらかのサイドラインを横切る前に打球した場合、レットは宣告されない。

 ◆競技者が正規のサービスを出さずに、故意に速い「レットとなるような」サービスを出したと主審が確信した場合、

  ・競技を中断して

  ・ペナルティーポイント制を適用してその競技者にペナルティーを与える。

 (反則すれすれの駆け引きはスポーツマンシップに反する。)

 *経験ある多くの競技者はゲームの決定的な段階(10-9,9-9,9-10等)でレットサービスに極めて近いサービスをよく出すので、審判員はこの種のサービスに特に注意を払わなければならない。

◇シングルス及びダブルスにおいて

 ◆サービスで出されたボールがレシーバーのコートに触れた後にネット方向に戻ったとき、「レット」が宣告される。

 ◆サービスで出されたボールがレシーバーのプレーイングサーフェスで止まってしまったとき、「レット」が宣告される。

○車椅子競技のダブルス

 ◆サーバーが最初にサービスを行う。

 ◆レシーバーがリターンを行う。

 ◆その後は、障害を持つ組のどちらの競技者がリターンを行ってもよい。

 ◆競技者の車椅子のどの部分もテーブルのセンターラインの延長線を超えてはならない。もし超えてしまったら、主審は相手競技者の組に1ポイントを与える。

○車椅子競技

◇相手競技者が、打球する前にどちらかの手がテーブルに触れた場合は、競技

者に1ポイントが与えられる。

◆ラリー中、ラケットハンドがテーブルに触れてよいのは、打球直後のみで、

それもバランスを立て直すためであり、しかもテーブルを動かさない場合に

限られる。

◆競技者は打球する前にテーブルを支えにしてはならない。

 ◇次の場合、競技者に1ポイントが与えられる。

 ◆相手競技者が、打球するとき少なくとも片方の脚の大腿部の裏側がシートまたはクッションに触れていなかった場合。

○車椅子で立ってプレーすることは許されない!!

 ◇立っているとは?

 ◆両脚とも大腿部の裏側が車椅子のシートあるいはクッションに触れていなければ、その競技者は立っていることになる。

 ◆ズボンは脚に含まれない。

 *重要なのは、ボールが打たれる瞬間に判定することを忘れないようにすることである。

 ◆クラス1,2,3では立つことは不可能である。

 ◆クラス4では立つこともありうる。

 ◆クラス5では立つことは確実に起こりうる。

(しかしながら、これは障害の原因に左右されるであろう。)

◇立ってボールを打つ:

 ◆その競技者に有利になる。

◇ボールを打った後でシートから離れる:

 ◆その競技者の不利になることはあっても、有利にはならない。

*審判員は何を見るか?

  その競技者がボールを打った時に“立とうとしていた”か?

  そしてもしそうなら、その時シートに触れていたか?である。

○立位競技

 松葉杖は腕の延長と考えられる。

 ◆ラリー中、フリーハンドがプレーイングサーフェスに触れる:

決して認められない。

 ◆打球前に故意に支えとしてテーブルを使う:

  ペナルティーポイント制(イエローカード)を適用する。 

○立位競技及び車椅子競技

 トレーニングウェア

  競技中トレーニングウェアのズボンを身につけてもよい。

  しかし、ジーンズは許可されない。


車椅子卓球ルール

 

車椅子卓球ルールを解り易くするため、日本卓球ルール2019(平成31年版)から車椅子卓球に関する部分を抜粋したものです。

 

1章 基本ルール

1.8 競技順序

1.8.3 ダブルスにおいては、少なくとも競技者のうち一人が、身体的障害により車椅子を使用する

場合は、最初にサーバーがサービスを行い、次にレシーバーがリターンを行う。その後は、

身体的障害を持つ組のどちらの競技者がリターンを行ってもよい。

 

1.9 レット

1.9.1 次の場合、ラリーはレットとなる。

1.9.1.5 身体的障害により車椅子を使用している競技者が、正しく出されたサービスをレシーブ

する際、ボールが

1.9.1.5.1 レシーバーのコートに触れた後、ネット方向に戻った場合。

1.9.1.5.2 レシーバーのコートに止まった場合。

1.9.1.5.3 シングルスにおいてレシーバーのコートに触れた後、どちらかのサイドラインを横切

った場合。

 

1.10 ポイント

1.10.1 ラリーがレットにならない限り、次の場合競技者に1ポイントが与えられる。

1.10.1.14 両競技者または組とも身体的障害により車椅子を使用している場合。

1.10.1.14.1 相手競技者が打球する時、大腿部の裏側がシートまたはクッションに触れていなか

った場合。

1.10.1.14.2 相手競技者が、打球する前にどちらかの手がテーブルに触れた場合。

1.10.1.14.3 相手競技者のフットレスト(足載せ台)または足が競技中に床に触れた場合。

1.10.1.14.4 ダブルスにおいて、相手競技者の車椅子の一部または全てがセンターラインの延長

線を超えた場合。

1.10.1.15 ダブルスの相手の組の競技者のうち少なくとも一人が車椅子を使用する時、車椅子の

一部あるいは立位の競技者の足がテーブルのセンターラインの延長線を超えた場合。

 

第2章 競技ルール

2.2 用具と競技条件

2.2.1.4.1.2 車椅子を使用する競技者用のテーブルの脚は、エンドラインより少なくとも40cm

離れていなければならない。

車椅子卓球ルール(PDFで見れます)2019年8月