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アニばら観察日記


革命を描くぞという出崎の意気込み!!凄いぢゃないかっ!!!
嵐の前奏曲、締めくくった女ふたりの涙が美し過ぎて、嗚咽しました・・・。




第36話 「合言葉は“サヨナラ”」


ご無沙汰しております。。。
嗚呼っ!!緊迫するアニばら後半部と比べてうちのこの更新ペースの緩さときたら…悠長過ぎて全くもってオスカル隊長に顔向けできません。いえ、分かってます・・・アニばら関連執筆しないで日頃おまえ何やってんだよ?と、ちゃんと反省してますってば。。。

いやーーー・・・立ち寄って下さる皆様に「日常の雑事に追われ、この人アニばらどころじゃなくなってるんじゃないの?」と、ついついそのように思われがちだと思うんですが、違うんです。
私と言う人間、どこまでいってもアニばら愛を原動力として生きております。
しからば何も更新できていないからといって妄想までストップしたと思われるのは、あまりに悲しい・・・・・。
妄想、むしろカラダを壊す勢いで、しています。オハヨーからオヤスミまでのいかなる時間帯であろうとも、ふとした際にムラムラと湧き上がるオスカル様へのこの想い。現実世界で感動的な出来事や情報に出会おうものなら、それはすぐさまアニばら脳で都合よく自動ヲタク変換されるので萌えの供給が途絶えることは決してなく、日ごと燃え上がる隊長への愛・・・っ!!
ジュテーム、ア・モーレ、アイ ラブ ユー、愛している・・・よっ★オ・ス・カ・ル!!!

何も更新滞ってた分を取り返そうと気張って言っているのではありません。
もうねぇ、残り5話・・・5話になってしまったんですよ・・・これまでもそうでしたが、この先のアニばらは強烈です。

理代子先生の偉大な原作を知らない人々がアニばらだけを観て号泣し、フランス革命がもたらした悲劇とその渦中懸命に生きた男女がいたことを知る・・・そしてその素晴らしい愛の軌跡に大きな衝撃を受けました。
大袈裟でなく、それは幼い子供が見たら後の人格形成にまで影響を及ぼす程の衝撃です。悲しくて切なくて苦しくて、美しい。そして人間の逞しさに心を打たれ、鑑賞後高鳴った胸の鼓動がいっこうにおさまらない事態にハッとするのです。


私がそうでした。アニメを超えた感動。鑑賞後、並々ならぬ興奮と熱狂と「ああ・・・私は今、生きているんだ」という鮮やかな実感!!

思えばアニばらによって私は初めて『自分でものを考える』という事をしました。

親に諭されるでもなく、先生に教えられるのでもない。
己の中に渦巻いた熱い感情、居ても立ってもいられず誰かに大声で「物凄い体験をしたっ!!」と知らせたい。
自分の中で起こったナニかについて自発的に世界に発信したいという衝動に駆られた、それは最初の体験でした!そしてそれは何故なのか?極々シンプルに“感動”とは何なのか・・・?
はぁはぁ・・・・・ガキンチョなので漠然としたものでしたが、どうして人は生まれて来るのか、どうして頑張って生きていかなきゃならないのかを、私はアニばらを観たことによって真剣に考えるに至りました。小学校低学年での話です。
スーパーエディケーショナル ジャパニメーション アニばらっ!!!
昨今生きていくうえで何よりも大切と言われる“自己肯定感”とか、そういったことに関しても、アニばらを真剣に鑑賞するにつけ自分の中で何かが音を立て閃き羽ばたいてくる感覚がありました。神がかった言い方をするならば、それは激動の18世紀:フランスを生き抜いたオスカル様からの啓示であったと思うのです。

うわあぁぁぁ〜〜〜・・・改めて、こんなに熱くなってるんですけど、どうしようね?・・・アーメンっ♪

とまぁ、皆様、2013年2月現在もわたくしはのめり込むようにアニばらを愛し続けているわけなので、ここはひとつ「よしよし」という感じで、これから始まる第36話の観察日記にお付き合い戴きたい。


さて、今回の「合言葉は“サヨナラ”」でありますが、容赦ない展開に次ぐ展開で、夢みる乙女心をガンガン突き放します。
先ず掴みの部分ね、ここからしてなんですか?ジャック・ネッケル大蔵大臣と悪の総統臭漂わせつつのロベスピエール先生の怪しい密談場面。こんなんで女性客が呼び込めるとでも!?なんてクレームばかりを口走る方が居るとしたら、そーゆーお客さんの御入場をアニばらはあえて望んでおりませんのでお引取り戴いて結構です。

えー、今回脚本を書かれているのは女性ですが、思い切った見事な削ぎ落としっぷりです。
あー、原作のこのあたりにたっぷりと漂う少女の大好物と言いましょうか・・・
ラブロマンス要素が全面的に割愛され、甘みはゼロに近い。
あんた、人間生きていくには糖分はかかせないよ・・・もぅちょっとさ、甘さをプリーズ・・・と何やら過酷なダイエットで糖質を絶ち栄養失調になって倒れる寸前といった具合のストイック過ぎるムードに流石に弱音のひとつも吐きたくなる感じです。ですが、気をしっかりもってご覧下さい。この先のアニばら、真剣に視聴すればしただけ得るものがございます。
甘ったるいだけの人工甘味料ならそんなもんは要らんのや(絶叫)!!

や〜〜〜・・・それにしてもね、父が謀反人はこの手で成敗云々事件の後の愛の告白ね、あれすんごい名場面なのにスルーした甲斐があったわ・・・。お陰でもぅ今かなり減量できたもの(泣)。
・・・てか、ハッキリと死亡フラグが立った今、もうあんまり時間が無いと思うのですが、アナタ達、どうするんですか!?と、子供の頃は二人の愛の行方にそれはそれは気を揉んでねー・・・悶々としたもんです。やはり、オスカル様とアンドレの心ときめく華やかなエピソードが観たかったから。
でもね、やはりアニばらの魅力はそこではないんですね。
原作の主人公を悪党にまで貶めてしまった点はどうかと思いますが、それを含めてロマンチックで美味しい要素を極限まで削ぎ落とした非常に筋肉質なこの展開、このアプローチは独立した作品としてちっとも勿体無くはない。むしろこれで大人の鑑賞に堪え得る稀有なアニメーションに仕上がったのだと私は思います。

視聴者に伝えたい事は『フランス革命』そのものであり、世界史のハイライトが物語の主役としてどっかりと鎮座するアニばらの脚本はスタッフさんが本気であることを教えてくれる・・・
嗚呼スタッフの皆さんの血の滲むような努力と情熱が革命の嵐とシンクロしてビシビシ伝わって来るようではありませんか。


もう他のは見れない!このくらいハイテンションでないと革命だなんて言わせない!!
地球上すべての世界史の先生に「アニばら観てみからフランスの歴史を語ってくれよ〜!!」と懇願したいくらいの気持ちになりますよ。だってホントにね、すんごいんだから〜、もお★

そーゆーわけで、第36話。ウマ面チョビ髭、アフガンハウンドみたいな変な髪型をした不健康そうな大蔵大臣を甘いボイスでホメ殺すロベスピエール先生・・・なんや流血の事態を避けたいので是非貴方のお力を貸して戴きたい!とか言ってますが真意は分かりません。なんか信用できない感じなのです。この男には徹頭徹尾闇がある。言葉通りに聞けば彼は決して悪い事は言ってません。
しかし、この二人の話し合い・・・聞いてしまった事で視聴者は少なからず居心地が悪い気がするだろう?そーゆー意図を感じます。
でのっけから暗雲垂れ込めてて嫌だなー・・・ってところへ「こうなりゃ民衆と全面戦争ですわよ」と言わんばかりのアントワネット様がご登場。で、やおら背筋が凍りつくオスカル様。当然アンドレの半裸を見て「いやん☆」とかってなってる余裕は彼女にはありません。

てか、この人・・・本当に気の毒だよぉ(涙)。。。。。。
このあたりのアニメのオスカル様なんですがね、確かに彼女は隊長です。実力も実績も知性も根性も美しさも、何をとっても原作のオスカル様に引けは取らないお方でしょう。
しかし、アニメのオスカル様から漂うのは一番にどんよりとした中間管理職の哀愁。だったりするわけです。
隊長として颯爽と活躍されててカッコイイというよりも、上と下、右と左の板ばさみになって苦悩しているが故の濃厚な疲労感。どう見ても彼女は疲れきっていて覇気がない。過去にも酷い仕打ちを受け耐え忍んでいた場面がありましたが、醸し出すムードはベルばらっていうよりもレ・ミゼラブルですよ!?という印象であることが少なくないのです。でも、それが何か?アニばらはファンタジーとしての女隊長なんて甘ったるい演出はとうの昔に捨てているのです。まさに歴史の大転換期を迎え誰もが今日を生き延びる為に必死になる。そんな時代に女性で軍の隊長。今にも国民大量虐殺の指揮を執れとの命令が下るかもしれない・・・そんな状況にあって貴女だったら颯爽としていられるのですか?って話です。

どうでしょうか?どだいアニばらは週刊マーガレットの読者層や宝塚歌劇を愛する方々の嗜好には合わないものなのかもしれません。
少なくとも、そーゆー既存のファン層に喜んで貰おうという気遣いが一切感じられません。

それよりも、アニばらは少女マンガなど読んだことのない頭の固いビジネスマンであるとか、親日家でもっとニッポンの国民性について知りたいと願う外国人の方とか、そーいった方々のハートに合致する種類のものなのではないだろうか?と、無い頭で私などは懇々と考えてみたりするわけなんですね。
あ、そうそう、先日新聞を読んでいて真面目なコラム(?)の中にガンダム世代、ワンピース世代の考え方の違いについて云々・・・という文章がありましたが、あーーー・・・ならば絶対自分ガンダム世代の感覚保持者だわ。昭和ばんざい、高度成長期ばんざい☆という気持ちになりました。

脱線しましたが、とにかく出崎さんはマリー・アントワネットが嫌いだったのでしょうね。。。
これについては・・・残念です。話数に余裕がないのでアントワネット様を魅力的に描くのは難しい。でも、前半部の長浜さんはもっともっと好意的にみてくれていたじゃないですか。あの頃の彼女と今の彼女、ホントに別人ですよ・・・。予告編のオスカル様でなくとも愕然とします。ベルばらの真の主人公なのに・・・・・しかし、それについていくら嘆いていても始まらないので割り切りましょう。例によって足りない部分は妄想する、自給自足が苦しみならいくらでも苦しもう・・・。

そーゆーわけで、権力の亡者と化した人々の、もはや肉弾戦の修羅場のような様相を呈してきた第36話。
フランス全土から10万を超える軍隊を呼び寄せ戦闘に備えると宣言する暴君マリー・アントワネットの弁を回想し思い悩む・・・というより、ここはもうハッキリと何某かを決意した様子のオスカル隊長が超クールです。
この場面、直前に部下:アンドレがパリ巡回の時間ですよと呼びに来た際に激しく咳き込んでいかにも苦しげなオスカル様。アランに代理を頼まねばならぬほど重篤な様子なのに特に問い詰めることをせずに軽く「そうなんだ?お大事に〜!!」みたいな調子で去るアンドレに「馬鹿野郎」と思っている方も多いと思います。が、ここで病状についてしつこく追求されたらオスカル様は困るのですよ。異様な事態であることはアンドレだって気付いていますよ、きっと。でも、だから何が出来るっていうんだ?

今この場では突っ込まないでいた方がいい案件というのが世の中にはあって、そーゆーのに対してのスルースキルは大切です。特に都会とか戦場とかの過酷な場所では。と思うのですが、それでひとつアンドレを見逃してやって下さいませ。


んで、死期を悟りひとり何かを決意しちゃったようなオスカル様。何気ないけど凄く巧い演出ではないですか!!はい、こーゆーところはスルーしないでしっかり観て下さいね。

そんなこんなでねー・・・、恐ろしい顔をした兵隊さん大集結でごった返すパリの街。
ナレーションで次々と紹介される軍隊名やパリの地名に妙なリアリティを感じていつしか戦争報道番組でも見ているかのような気分になります。いやね、これらが実在したものなのかという確認はしていません。しなくても、フランス革命時の混乱というものはこーゆーものだったのだろうな。と、アニばらの怖い展開を観て激動の時代にタイムスリップしてみるわけです。すると、これは決して過去の出来事ではありません。現代でも世界のあちこちで紛争が勃発し大勢の罪なき人々が弾圧され殺されていっている。悪夢ではなく実際に起きていることです。こーいった場面を必要以上に詳しく丁寧に挿入し状況の厳しさを思い知らせてくれるアニばらという物語。
ホントにね〜・・独自にピューリッツァー賞でも差し上げたいよ。

といったところで場面転換。
久しぶりに柔らかな空気が漂う優しいトーン・・・暗過ぎるパリの様子にもう少しで胸焼けしそうだったからホッと致します。
アニばらの大好きなところ、え〜と、いっぱいありますが、燻し銀なおじさん達の描写が巧いところなんかもそのひとつです。悪役と並んでね、おじさん達ホントにイイ味出してくれてます・・・。
と言ったところで、独断で
『燻し銀ベストファイブ』を選定すると・・・

1位 ダグー大佐
2位 画家のアルマンさん
3位 ブイエ将軍
4位 メルシー伯
5位 ラソンヌ先生

となるわけですが、あ、父:内海ラオウはもっと重要なポジションにいるため燻し銀にはカテゴライズしていません、あしからず・・・。
まあ共通して言えることはキャラのシリアス化が凄いってことですか。
悪く言えばユーモアに欠ける・・・良く言えば重厚感溢れております。


そしてそのキャラの素晴らしさは出番の多さなのではなく、何といいましょうか・・・こーゆー人に傍にいて貰いたいなぁ。。。としみじみ思わせてくれる人間性、ふところの深さ?大人ってイイなぁー・・・涙。

原作を読んでおりますと真面目なお話でありながら定期的にコメディタッチな展開が挿入され絶妙に場を和ませてくれたりするものですが、アニばらではそのような事が滅多にありません。メインキャラクターはもとより脇の脇の雑魚兵士に至るまで、その冗談通じない感じが・・・まぁ出崎版の魅力ではあります。
で、その中でも今回初登場の画家のアルマンさん。この人のシリアスデフォルメ〜・・・こーゆーのグッときちゃう・・・。ばあやさんとジャレ合うなんてとんでもない(てか、ばあやさんの存在感ゼロなんですけど・・・)、まことにビジネスライクで物静か。弱りきったモナムール・オスカル様に対して実に行き届いた心配りをみせてくれるナイスな燻し銀です。

オスカル様ぁ・・・物悲しげな表情が胸に突き刺さります。。。

最近は元気なうちに精一杯オシャレをして、来るべき時に備え自ら遺影用の写真を用意する高齢の女性、というのが珍しくないようですが、この時のオスカル様の心境としてはどうなんでしょうか・・・。そーゆー単純なものとは違うような気もします。
とにかく、今までモデルになるのを断り続けていたのに突然自ら画家を呼んで・・・という行為にお屋敷の人々は驚きます。世の中全体にめっちゃ不穏な空気が漂う中、そりゃーそうでしょうとも。普段しない事をされると「え!?」と思うものですが、この時のこのオスカル様の行動に至ってはもうね〜・・・虫の知らせアラーム鳴りまくりで未来からドラミちゃんが血相変えて飛んで来るレベルです。
ところで、最初で最後のこのご依頼。何故アルマンさんなのでしょうかね?
隠し撮り(?)ではなく堂々とオスカル様を凝視しキャンバスにそのお姿を描き出していいですよ〜という・・・画家にとったらなんちゅー名誉!!しかし、アルマンさんは見たところ大変地味で謙虚なお方のようですから宮廷画家として派手に活躍していたとかではなさそうです。もうねー・・・アニばらが好き過ぎてこーゆーところ、妄想しないではいられません・・・。
で、オスカル様に私を描いてと唯一選ばれたアルマンさん。実は20年前にオスカル様を見初めていらしたようで・・・・・・泣けるっ!駄目だ、早くも涙が溢れてしまうっ!!うおぉ〜ぉ〜ぉ〜・・・。。。
こういった回想シー・・ン。私は本当に辛抱たまりません。実際、アントワネット様が初めてパリをご訪問されたのは17歳くらいの時だったはずなので、20年前というのは大変ざっくりした言い方です。でも、とにかく、それくらいの年月が流れて、色々な出来事がありました・・・。

「まだ少女でいらしたアントワネット様のお美しさもさることながら、お傍にいらした貴女様の凛々しさ、初々しさ・・・黄金色のおぐしがまばゆい陽の光のごとく輝いて、今でもこの老いた絵描きの目の底に焼きついております・・・」

幸せだったあの頃、あの日の輝き、国民の愛情で満たされた青い空・・・・・

すべてが遠く懐かしく、取り戻せない時間・・・華やかだった長浜さん時代を思い出し「つくづく遠くへ来たもんだぁーーー・・・」と、視聴者も思わず溜め息のひとつもつきたくなる感じです。そして、「覚えている。あの日の青い空は本当に美しかった・・・」の台詞と共にオスカル様の脳裏に浮かぶのは純粋無垢でいらしたアントワネット様の姿。

私くらいのヲタクになりますとそれを皮切りにオルレアン、ド・ゲメネ、シャルル・コルデー、うまいこと尾行したアンドレはカッコよかったなぁ〜・・・お陰で壮絶な死に様を披露するに至ったコルデーよ、あの時の君の顔色!覚えている、見事などどめ色だったことを・・・等と囁いて次々と押し寄せる思い出の波に呑まれて時間がいくらあっても足りないという事態になるのですが、皆様はいかがでしょうか?
いい場面で脱線してすみません。
はぁー・・・・・オスカル様のご心中、お察しするにつけ、お足元に跪き、しとど泣き崩れてしまいたくなるような・・・なんともいえず印象的な場面ですね。。。

再び場面転換。先程ちょっと思い出したオルレアンが何か行動を起こしたようです。
おいおい、ルイ16世の退位を要求し2000人のデモを組んでベルサイユへ向かったそうですって・・・このタイミングでそんな事してしまうんですか!?その中にド・ゲメネはいるんですか!?なんか展開が凄くて頭を整理し付いていくのがやっとです。でも、まだまだ!盛り上がるのはこれから。冒頭ロベピ先生にホメ殺されてたジャック・ネッケル大蔵大臣が陛下の御前会議でいよいよ本格的に「王政改革ですっ!!」と大提案!それにブチ切れた王妃アントワネット様の描写がもうな〜・・・和平など有り得ぬ。といった凄い形相で気が滅入ります。。。
でも、負けてはなりません!時の流れなど王が作るものです!!って台詞はちょっとカッコよかったですよ・・・。

で、Bパートなんですがね、厳しい場面の次はアルマンさんとオスカル様のご登場。第36話、動と静、この対比が絶妙です。
アニメのオスカル様は肖像画を描いて貰う間、ずっと軍服を着ていらしゃるんですよ。恐らくは忙しい間をぬって僅かな余暇をこれに充てていらっしゃるんだろうと思います。軍服を脱ぐ暇もない程に情勢は緊迫した状況なのでしょうね・・・なので、モデルでいる間もオスカル様からは寛いだ雰囲気は感じ取れません。それどころか、オスカル様はいよいよ体力の限界を迎えられているようです。それを心配し、自分も疲れたので今日はこれくいらいにしましょう・・・と、アルマンさん。この気遣い、見習いたいです。
そして帰り際、振り向いて「相当お悪いようだ・・・完成は急がねばならぬな」と。・・・初めて観た時は衝撃を受けました。「何!?オスカル様の身に相当お悪いことって・・・」と。もう、彼女の一秒先が案じられてなりません。
そして、独りになったお部屋で椅子にもたれかかり息も絶え絶えに目を閉じるオスカル様・・・もう直視できないくらい苦しげなお姿に思わず目を覆いたくなる場面です。
嗚呼そして、何やら神妙な面持ちで帰るアルマンさんを見て不安を覚えたのでしょうね。アンドレが部屋へやって来ます。その時・・・オスカル様は立ち上がられバルコニーで風に吹かれておりました。

私はね、思うのです。もしアンドレが目を負傷していなければ、彼はとっくにオスカル様を掻っ攫って安息の地に連れて逃げていたかもしれない。

たとえ心の片隅で革命に目覚めようとも、アンドレにとって最も大切なものはオスカル様なのです。
彼女を愛し、見守り、庇うのがアンドレの役割であり人生のはず。ならばこのような満身創痍でいるオスカル様を放置しておくはずがない。でも、現実に彼は失明寸前であり的確な状況判断が難しい状況にあります。
ここで理解しておきたい事は、視力に異常をきたすというのは単に目が見えなくなるだけでなく身体全体がおかしくなるんだという事です。自律神経がやられるので激しい頭痛や吐き気等も絶え間なく襲って来ていたに違いない。「黒い騎士に会いたい!」以降アンドレはそーゆー苦しみと長く闘って来たのだろうと思います。もうね〜マンガなんだからそんな事はいいんだよ〜とかではないんです。そこまで想像するから理解できる事もあるわけで。アニばらが本気ならば観る側も本気で受け取る態勢を整えなければなりません。で、幸い私はほんのちょっとアンドレと状況が似ているところがあったので、体感できっと共通するものがあるのだと勝手に決め付け猛然と泣きました。

残酷ですが神は彼がオスカル様を庇って何処か安全な場所へ連れて行ってしまわないよう、彼の目を駄目にしてしまいました。だから、アンドレはオスカル様の顔色が蒼白であることに気付くことができません。でもそれはお互い様。オスカル様だってアンドレの身に起きている悲劇にまだ気付くことが出来てないんですから。

アンドレ・・・精神的に、物凄く厳しいものがあったことでしょうね・・・。

精一杯相手を慮ってはみても、やはり言葉にして初めて伝えられることもあるわけで。それで「言ってくれ」なんだと思います。

隠し事、してるだろ?

・・・何も。別に。


目はこの通りだけど、お前の為にできる事はたくさんあるよ・・・だから、もしもの時は言ってくれ。


それでいいじゃないですか(涙・・・・・・)。


自由が消えて一触即発の街。
「明日は私もパリへ出る」とだけ告げ、去るオスカル様。余計な話をしてしまう前に・・・。


アニばらのオスカル様とアンドレ。こーゆー場面こそ分かりやすいラブシーンのきっと何倍も価値のあるものだ。私はそう信じ、この脚本を世界一愛しています。
しかし、それはここへ至るアニばら35話を真剣に観て、これでもかという程に深読みして来たから〜〜〜・・・

もうねー・・・本当にこの二人の愛情物語って海よりも深いんですよ。全力で想い合ってるからこそ、あえて相手が口にしない事を詮索したり追及したり、しないんです。それがたとえ破滅に向かうような事であっても、共に倒れる覚悟があるから止めたりしない。これって二人とも、もしくは片方だけでも元気いっぱいだったら、こーはならないんだろうなって思います。

命のタイムリミットを悟った人々の奇跡かって思うくらいの力強いエピソード、次回以降のことを思うと早くも嗚咽がっぁ〜・・・うっうっうっ・・・


さて、第36話で美味しい人。いや〜〜〜この人だと思いますよ。サン・ジュスト
彼ねぇ、もう曲芸テロ師ではありません。アニばらの無茶デフォルメによって史実からは遠くなってしまったんでしょうが、相変わらずイイ感じで物語を動かしてくれてますよ。なんといってもね、古川登志夫さん。派手な声してますね〜この声聴くとテンション上がるわ♪
で、その特殊な声でですねぇ、まったくもって言うことにブレがありません。ここへ来てもうちょっと様子をみようという気は無いんでしょうか?無いんです。誰かを殺したくて仕方のない彼は大本命であるルイ16世&マリー・アントワネットを少々大仕事ではありますが殺って来ますよ。とか言うのだから参るなぁ。。。。
あんた、今それしたら歴史の教科書からフランス革命の項目が消えちまうっつ〜の。
しかしまぁ、この男ね、殺したいのなら勝手に動けばいいんですよ、オルレアン公みたいに。でも、いちいちロベピ先生に「殺って来ますけど、どうですか?」とお伺いを立てている。これはもう、面白半分、揺さぶりかけて反応を楽しんでいるんでしょうね。ロベピ先生、さぞやストレス感じている事でしょう。
悪趣味ですが妙に頭が切れるところがあるらしく切り捨ててしまうには惜しい人材、それがサン・ジュストなのかもしれません。

そんなこんなでサンちゃんの見張りを仰せつかったロベピ信者のベルナール・シャトレ。
原作のように出会った経緯が描かれていないので「なんでそんなに信じてるのかな〜?」と疑問符だったりしますが、まぁいろいろ義理があるんでしょう。で、そんな引っ付いちゃ〜バレバレだろ?という至近距離でサンちゃんの尾行を開始する彼。でも案外バレていなかったらしく、てか、そんなことよりビビんなきゃなんない対象が目の前に現れ・・・オスカル様でございます。
前回タイマンで闘ってあやうくツラが割れそうになっていますんで、このまま突き進んで注目されたら殺気であの時のテロリストってバレるかも!?ってなもんで、慌てて隠れます。
そして、今度はオスカル様と部下2名(つってもアンドレ台詞無し・・・)の会話です。
大挙してパリに押し寄せた軍隊らのお陰で衛兵隊は巡回の必要がなくなり「なんとなくブラブラ散歩ってとこですな」なんつってちょっと自虐的な態度のケツアゴに、虚ろな目で「・・・どうなる?このままいったら、パリは・・・人々は・・・」と問いかけるオスカル様。それに対し行くとこまで行くしかねえんじゃないですか?暴動ということか・・・?革命と言って欲しいね。

・・・革命っ・・・!?
 

コミックスでしたら是非とも太字でバカデカく。更にオスカル様の描写はガラスにピシッーーー・・・っとヒビが入る感じの大変緊迫した様子でお願いします。

「革命?・・・革命か・・・」と、オスカル様・・・恐らく人生で初めて口にした言葉、ではなかったでしょうか?

そして彼女がこんなに動揺してるのにアンドレは妙に落ち着いてて・・・まぁいいけど。
ってところでサンちゃんが発する殺気をキャッチするも深く調べる事をせずに行ってしまうオスカル様。ここはあれです。たとえ背後から付け狙われていたところで今更もぅ構わん。と思われたので放置されたのです。職務怠慢とかではなく、もぅ構わんのです。それくらいに投げたくなるパリの現在の状況・・・お〜オイタワシイ〜〜〜・・・泣。。。

そーゆーわけで、こちらもストレスMAX!!
頭にきた時ほど冷静に対処せねばな。という隊長の心構えに相反してケツアゴ氏は暴れたくってしょうがないって感じです(ある意味サンちゃんと似ているじゃないか)。
そこで、いいか覚えとけ。田舎もんにはパリは似合わねえ。おめーらは駐屯地へ戻ってせいぜい羊でも相手にしてればいいんだボケっ!等と言ってモサい軍人さん達を挑発し、念願の取っ組み合いを満喫☆・・・多少スッキリしたのでしょうから良かったじゃないですか?万が一オスカル様が巻き込まれていたら許さなかったけどな。それはそうと、ケツアゴ。さっきの続きですがねぇー・・で「革命になったら勝つのは民衆」と断言。それについて一体全体何と答えればよろしいのか・・・?こいつの一言、ホントひとを黙らすよね・・・。

そんなこんなで、これまでの仕事が無意味となり部下に軍隊がてんでバラバラであることを指摘され絶対王制敗北の予言を聞かされたオスカル様。でもね、そこで・・・ああ無情・・・とかって思ってると思ったら大間違い。彼女の中でも革命は既に始まっているんですから!
そしてそして、第36話、見所満載なので観察日記の文字数:記録更新の予感・・・!!

さぁ、今度はこっちです。結局尾行がバレてあわや串刺しか!?といったところで流石は元黒い騎士、サンちゃんの腕をガッと掴んで演説名人は得意のお説教タイムに突入です。野島昭生さんの声もね〜とっても魅力的なんですが、やはり古川登志夫さんはいいですね。諸星あたるとかも大好きだったけど、この人のこの屈折した感じ、絶妙にキレた演技は凄いです・・・この声が聴こえて来ると画面が華やぐような、そんな特殊能力の持ち主ですね古川さん。
にしても、嗚呼サンちゃんの人生、一体ナニがあってこんな性格になってしまったのか・・・ご家族はどうしてるのかしらね・・・?
と、彼の「よしてくれ!信じられる人間なんているもんか!!」の悲しい台詞を聞いて若干胸を痛めてみたり・・・するもんか!!イイね〜〜〜。徹底的にやってくれ。ベルナールの妄信ぶりの方がもはや心配だから。それに、サンちゃんは最初からこんな捻くれたモノの見方をしていたわけではなさそうです。首飾り事件の時、そうジャンヌの裁判で初登場した頃の彼は多少エキセントリックなムードを漂わせつつも今よりかはまともな革命家を目指していたように思えます。少なくとも、殺人鬼には見えなかった。ところが、変に頭が切れるのでロベスピエールの奥に潜むものにいち早く感付いてしまったんでしょう。で、「結局そこかよ・・」と垣間見えたリーダーの黒い野望に幻滅し若気の至りもあって大暴走してしまったのかもしれない。あるいは、本当は黒い騎士の役オレがやりたかったのにっ!!なんであいつなんだ!?悔しい〜〜〜っ!!!っていうボリシ@イバレエ団・芸術監督・硫酸ぶっ掛け事件並みの深い闇がそこには・・・以下省略。
とにかく、サンちゃん。ここへきてこの場面の口答えっぷりは見事です。

「先生は僕なんか比べ物にならないくらいのスケールをもったテロリストさ」

あーーーー・・・アニばらってきっと男性が観ても面白いだろうね。
この台詞を言わせたいが為の、サンちゃん、あの殺人鬼設定だったとは・・・。
ホントによく出来てますよ。凄いな〜〜〜・・・☆


と、大いに感心しているところへトントン拍子にこの有様です!!
ご立腹のマリー・アントワネット様、ついにジャック・ネッケル大蔵大臣にユアーファイヤー!!とクビを宣言。その報告を何故か「吉報、待ってましたっ!!」とばかりの異様なテンションで迎えるロベスピエール。

ネッケル罷免でついに恐怖政治の幕が切って落とされた瞬間です。

フランス革命・・・?不気味だ・・・恐ろしい・・・っ!!そう思うよう誘導しているとしか思えないこの脚本、演出!!
でも物凄く熱いよ・・・第36話、激動の18世紀に引きずり込まれるような見事な見事な出来栄えです。

腐りきった貴族支配の現状を打ち破ろうと立ち上がる人々。
でも革命家たちは決して一枚岩ではなく、それぞれの思惑によりじわじわと分裂していってしまうんですね・・・・・でも、そんな事は問題ではない。ロベスピエールの人間性なんてどうだっていい。

「要は民衆が自分たちの為に立ち上がれるかどうかなんだよ・・・っ!」

ベルナール、ジャーナリスト魂をみせた渾身の一言でしょう。呟き声だったけどボリューム上げて何度でも聴きますからね。。。
嗚呼〜〜〜レジスタンス!!!胸が熱い・・・っ!!!!!

と、ここで終わったとしてもいいくらいの展開ですが・・・そうはしない、これぞアニばらクオリティ〜〜〜・・・☆☆☆☆☆



第36話のラスト。秀逸です。とんでもなくイイです。
この素晴らしさをなんと形容したらいいのか途方に暮れる程、イイです・・・。
アニばらのこの表現力〜・・・信じて観てきたファンを裏切りませんでした。

もはや権力の亡者と化した王妃マリー・アントワネット。
そして軍人として生きねばならなかったオスカル。

これまで真剣にアニばらを観てきた視聴者にとって、この場面はいかに二人が“運命共同体”であったのか、その事を強烈に思い出すことの出来る最後のチャンスとなります。
両者はお互い守り合って、助け合って、生きてきた。そしてそこにはドライな主従関係なんかではなく、確かに愛が在った・・・。
最初は天真爛漫なお姫さまとストイックな護衛隊長。長い年月の間にはフェルゼンを巡って生々しく愛憎渦巻く場面もあったことでしょう。一方は知らねども・・・観てる我々が知っていればそれで良し。とにかく、少しづつ崩壊に向かうベルサイユの生活の中で、アントワネット様とオスカル様の間にはなんぴとたりとも立ち入る事の出来ない聖域のようなものがあったはずだと私は考えます。

オスカル様はね、本当に情の深いお方です。
家臣としての忠誠心、そして同性として同情、共感、尊敬、嫉妬、時には怒りを、アントワネット様に対して感じたこともあったでしょう。それら全部をひっくるめて、アントワネット様のことをすごくすごく愛してるんですよ。だから今まで闘って来れたんです。フェルゼンへの想いを断ち切ろうともがきにもがいたのもアントワネット様への愛情ゆえ。そして、恐らくそれ以上にアントワネット様はオスカル様のことを想っています。この人は長年オスカル様が抱えてこられた葛藤について何も気付いてはいないでしょうが、それこそそんな事は問題じゃないんです。ただただ純粋にオスカル・フランソワという人物が好きでたまらない。
14歳で政略結婚、一人ぼっちで嫁いで来て以来、常に変わらず出しゃばらず傍らで静かに気遣ってくれた人。持つべきものは友達だ!とオスカル様によって絶望の淵から救われた事だってきっと何度もあったに違いない。
その人が・・・人生振り返って、唯一「お友達」と呼べるその人がーーー・・・。

この場面、猛烈泣けてくるのは二人の絶妙な息遣いによるところが大きいです。
田島令子さんのオスカル様〜〜〜・・・なんか物凄い滲み出すものがあってもぉたまらん。。。。。


二人はもう二度と生きて会えないことを分かっている。特にアントワネット様は、まもなく勃発する戦闘の中でオスカル様が死ぬであろうことを、分かりきっていながらもう守れないわけです。いや守れないどころか場合によってはオスカル抹殺の命令を自分が下すような事態にだってなりかねない。
だからといって、止められないのですね。オスカルが自分を止められないのと同じように!
もう極限状態です。。。

・・・この場面、寂しげな効果音からバックで流れる音楽、ドラマチックな背景、すべてが本当に素晴らしいです。そしてベルサイユを代表する美しい女性ふたり・・・溜め息が出そうな程です・・・。こんな綺麗な絵を描いてくれて荒木さん・姫野さん・・・ホントにありがとうっ!!

駄目で元々・・・そーゆー感情がオスカル様の中にはあったのでしょうね・・・でもだからこそ搾り出すかのような静かな口調での最後のご進言。後戻りの出来ないアントワネット様とひざまずくオスカル様との間には確かに大きな壁が立ちはだかっているように見えます。でも、だからこそ美しい・・・このような場面なのに決して湿っぽくはならず砂漠のような荒涼とした画面が印象的です。
そこへ・・・アントワネット様への溢れる愛情が涙となって零れ落ちたのでしょうか?

・・・っか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・・

アントワネット様がオスカル様の涙を見たのって・・・この時が初めてだったんじゃないでしょうか?・・・ど、どんなお気持ちだったでしょうね・・・・・・号泣。。。。。。


いやぁ、此処でこれオスカルとアントワネットの涙の飛ばされる方向、おかしくない・・・?
とかって細かい突っ込みを入れる方もおられると聞き及びますが・・・それに気付くくらい皆しっかり観てるんだなぁ〜。と思うと妙に嬉しくなります。
この時この場所でお二人が放出された友情エネルギーというのがとにかく凄かったので、きっとプチ竜の巣みたくなったのだと思いますよ。そら、竜巻くらい起きてもおかしくはない・・・
まことアニばらでしか味わえない最高の場面でした。。。


第36話「合言葉は“サヨナラ”」。
オー・ルボワールとはフランス語で「また会いましょう」の意味らしいです。が、サブタイトルは「サヨナラ」としました。

私としてはこのラスト、「このままいけば私は貴女に背く事になりますよ」と伝えたも同然なオスカル様と、それを究極の恩情で見逃してやったアントワネット様の図・・・という印象を持ちました。

そう、さんざんな暴君っぷりを見せ付けられた回の最後にアニばらの視点はやはり優しかった・・・。

この場面だけでアントワネット様を愛せます。

貴女は歴史に翻弄された悲劇の王妃、決して暴君などではない。そして遠く第13話「アラスの風よ、応えて・・・」でオスカル様が願った一言、
民衆のアントワネット様をお恨みする気持ちが少しでも薄らぎますように・・・あの方のお優しさが少しでも民衆に理解されますように・・・の想いがあまりにも切なく第36話のラストを吹き抜けてゆく・・・・・

え〜・・・ヲタクなので、一話内に留まらず全編通した大きな萌え方を皆様にもおススメ致します。


もうなー、「合言葉は“サヨナラ”」。萌えが多岐に渡って喋りたいことたくさんあったので・・・こんな大長文になってしまいました。。。
次回は一転、オスカル様とアンドレの愛情物語に的を絞って・・・これまたダラダラと語ってみたいと思います!!

つづく・・・☆







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