つれづれ



窓から
ほんのり月明かり


枕元へとしのび込み


闇を薄めて
夢さやがせて


ぽっかりと


眠りは
まぶたを離れます


代わりに降り立つ
やさしき面影


息ひそめれば
しんと蒼い水底にも似て


想いにゆらゆら
沈みます


小野小町の歌のように
夜の衣をかえし着て
貴方の夢に入れるならば


ああ
どんなにか嬉しいのに


黒い絹のしじま縫い
この呼び声が届くなら


幾多の星にも
祈りましょう


どうか今すぐ
逢わせておくれと


ふたりの空を
つないでおくれと


ひとつふたつ
みっつよつ
貴方の仕草を辿ります


眠れぬままに
ため息巡り


時忘れ


ぬばたまの
夜深はつれづれ







※ 小野小町の歌・・・『いとせめて 恋しき時は むばたまの 夜の衣をかへしてぞ着る』
夜の衣を返して着ると、恋しい人の夢に自分が現れると言われていたようです。