宵待ち



宵待ち 月待ち あなた待ち


約束の月は十三夜
ゆびおりかぞえて


ゆびおりかぞえて


星もかそけき夕間暮れ
そわそわ思い惑う空


ゆうるりと


ゆうるりと
夜はどこかで道草か


着慣れた紬しんなりと
袖を通せば木の葉色


窓辺に翳すりんどうは
あなたが好きと言った花


ふうわりと


ふうわりと
ほほえみ見せてくれるでしょうか


今宵は庭で待ちましょう
鳴きつる虫を愛でながら


時の歩みを数えつつ
ひとり心が細るから


かさこそと


かさこそと
風がたずねてくるばかり


はらはらこぼるるため息と
胸かき鳴らすときめきと


心の秤にかけたなら
どちらに傾くものでしょう


そも足音は空耳か
さす人影はまぼろしか


紫紺の空を しんしんと
渡りゆく月十三夜


宵待ち 月待ち あなた待ち