ときめく風



風を呼んだのはあなた?


さわさわと
髪にじゃれつく


陽射しをよける
指先が透けて


眩しさにまぶた閉じると


ふいに
背中ごし


何て言ったの?


一瞬のつぶやきを
向かい風が
素早くさらって


ふりむけば
いつもの微笑み


もう夏だね、なんて
さりげなくかわす人


聞き返すより
このまま
ときめきの残り香に
触れていたいから


吹きよせる心地よさに
ふたりつつまれて


さわさわと
鼓動が揺れる


風を呼んだのは
きっと


あなた