そっと渚に



そっと渚に佇んで
爪先立ちで見晴るかす


水平線を横切って
異国へ向かう白い船


どれほど波を越え行くの?
どんな景色へ辿りつく?


まだ見ぬ国を思う時
ぽつりと佇むちっぽけな
自分が少し哀しくて


こんなに海が碧いから
こんなに海は遠いから


そっと渚に座ったら
ひんやり砂が手のひらに


たくさん波に洗われて
さらさら白くなったとか


私の想いもすっぽりと
砂の中にうずもれて


いつか両手で掘ったなら
底から涙が染み出ます


こんなに海が碧いから
こんなに海は深いから


そっと渚を振りかえり
さよなら言わずてくてくと


名残り惜しげな潮騒を
肩に背中に聞きましょう


ひとりがつらくなった時
ひとりになりたくなった時


そっとここへと戻ります
いつも渚はやさしくて
こんなに海は碧いから


こんなに海が碧いから