空が泣く



振り切れず 涙
指先でぬぐう雫は
雨の粒ほどに
透きとおってはいない


思い惑って 雨
低い空を仰ぎ見れば
涙より強く頬を打ち
ほろほろと伝い流れ


空が泣く
空が泣く
私のかわりに


陽射しを厚く封じ込め
その重たげな雲は
風の向こうから
幾重にも寄せてきて


降りつくしたと思うそばから
足元を浸していく
容赦ない流れ


空が泣く
空が泣く
まだ足りないと


飛び立つことも
あたたまることもできず
夢は肩先で羽をつぼめる


頬の冷たさに
そっと指を触れ


包んでくれる腕がほしいと
ただそれだけを
強く願うけれど


かき消され 声
胸の奥に雨音だけが
響きあい せめぎあい


どこまで降れば
いつまで心濡らせば
この寂しさはやむのだろう


虹のかけらをもう一度
みつけたいのに


空は泣く
空は泣く
瞳をふせて


わたしを泣かせて

(壁紙素材)