雫
あなたの涙は
きっと世界で一番
小さくて透明な鏡
あなたのこころの中の
さまざまな風景
きれいなもの
哀しいもの
揺れているもの
消えてしまいそうなもの
儚い想いたちを映しながら
睫毛の先にたまっては
こらえきれずに
ほろりとこぼれる
頬を伝う間もなく
あなたはその手で
あわててぬぐってしまうから
まるで
誰にも気づかれないまま
ひっそりと割れてしまう鏡のよう
切なくて
でもみつめていたくて
あなたのこころに生まれる
ささやかな雫たちが
わたしには
とても
いとおしいのです