この詩はキリ番ゲット千華さんへ
心をこめて贈ります。



魁(さきがけ)の剣

〜藤堂平助〜



まっすぐに
まっ先に


いつも
そう願って
奔り続けてきた


剣の腕を磨くことで
己が生き方をも
見極められる気がして


競い合い
高め合う仲間と
共に夢を語りたくて


心に描く道を見据え
ひたすら駆けてきた


光が射したなら
素直に喜べばいい


闇にぶつかってしまったなら
光を探せばいい


とにかく
奔り出そう
そして
奔り続けよう


木刀から真剣に変わり
その意気は
さらに高まり張り詰める


血なまぐさい現実に
立ち止まっているひまなどない


この腕は
十分に鍛えてきたはずだ


剣に志しを
こめた時からずっと


どんな惑いをも
斬り去って進むために


選んだ道が
間違っていないだろうかと言う弱気


相手の剣が
勝っているかもしれないと言う恐怖


やすやすと
人の命を葬り去ってしまうことの痛み


そんな虚ろに
取り付かれるのは
きっと自分だけではない


行く手をまず阻もうとするのは
己自身の脅えの声だ


だからこそ


一番に
闘いの中へ飛び込む


己が迷いが
生ずるより早く


人の迷いすらも
断ち切れるほどに強く


力の限り駆け
この剣を振るう


どうせ
引き返すこと叶わぬ道


志しは
ためらうほど輝きをなくす


ならば
魁(さきがけ)と言う名を
胸に抱き


誰よりも
素早く鮮やかな
先陣の矢となろう


たとえ
道半ばで斃れようとも
悔いと言う言葉など
思い出さずにすむよう


どんな運命の坂道も


信念のまま
奔り続けてみせよう


まっすぐに
まっ先に