螺  旋

〜RASEN〜



静かに 静かに
時は軋むことなく
なめらかに進んで行くのです


ゆるゆるとした
永遠にやむことのない繰り返しは
けれど
決して停滞ではなく


螺旋のように
わずかずつでも
確実に登って行くのです


たった今
足が離れたばかりの
時の階段は


さらさらと
砂が崩れるように
過去と言う渦の中に落ちて行く


わたしたちは
前に進むしかないのです


前に進むことだけが
今を生きること


それがおそらく
太古から定められている
おおいなる摂理


どれほど留まろうとしても
すでにその歩みは
意識の追いつくより早く
次なる一歩を刻み始める


気の遠くなるほど
細かく淡く降り注ぐ
時空の微粒子たちは


わたしたちを
未来へと
押し上げるためにだけ
ここに存在する


前を向けばいいのです


ただひたむきに
前へ進んでいるのだと


自分を信じればいいのです


日没の焔は
焦燥感のまま燃え盛り


やがて


空間を被い尽くす闇に
やすらぎを見出す人
孤独や虚無に捕われる人
さまざまではあるけれど


繭の如き眠りの向こう側に
明け来るであろう光は
まごうことなく
すべての生命に注がれる


永劫の時に導かれ
この螺旋を辿って行けば


前を見続けてさえいれば


それでいいのだと
自分に言い聞かせながら


宇宙(そら)に満ちてくる
かぐわしい大気を


胸の奥深く呼吸する
たよりないわたしが


今ここに在ります

  

(壁紙 PIPOさん)