光満つ時



目を閉じてさえ
チカチカと
光の残像はゆらめいて


まぶたの奥で
じんと
かすかな痛みに変わる


ふいに


さざなみのように
湧き立つ切なさ


あまりに眩く
あまりに美しく


その
晴れがましいほどの煌きは
きっと


こころに
こっそりうずくまっている
小さな哀しみまで
照らし出してしまう


足元の砂の感触が
もろく覚束ない


憧れと不安とを交錯させ
弾き返す光の波動


立ち去ればいいのか


それとも
このまま


みつめ続けていたいのか


身体中に
光の飛沫を浴びながら
深く呼吸する


きらきら
きらきら


果てしない輝きが
染み渡る


希望を呼び起こす
その暖かさに融かされ


見えないしずくが
頬を流れ落ちる気がした


ゆっくりと
ゆったりと


日時計は
留まらない時を刻むけれど


海も風も鳥も
そしてわたしも


今は
すべて同じ眩さの中


縁取られ
包まれ
透き通って行くから


まだ
帰らない


帰れない


光満つ
この場所から



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