凌霄花
〜のうぜんかずら〜



ゆらりとな


陽炎(かぎろい)燃えたと
思ひなば


あれは
日向(ひなた)の辻に咲く
のうぜんかずらの
花の群れ


焦がるる胸に
ちりちりと
橙(だいだい)色の
焔(ほむら)揺れ


なまめく路に
佇めば


ああ
いとしきは


叶わぬと
知りてなお見る
白日夢


風に嘆いて
滴りて
夕陽の如く
燃え尽きたとて


誰があはれと
泣いてくれよう


時は夏


ため息すらも
熱く枯れ


なおもさざめく
面影は


慕わしき君


君想ひての
堂々巡り


行きつ戻りつ


我が身笑いて
つと涙すりゃ


滲む橙(だいだい)
炎天の花


おまえも哀しき
焔(ほむら)抱きて


茫々と咲き
静々散るや?


言葉も持たず
迷いも知らず


ただひたむきに
その身燃やすは


潔きかな
のうぜんかずら


我も倣わん(ならわん)
この恋ゆえに


ただ君ゆえに




(壁紙 PIPOさん)
『吹く風と草花と』