緑のトンネル



子供たちは
はしゃぎあってくぐります


少女たちは
仰ぎ見て歓声をあげ


恋人たちは
そっと寄り添い


ひとり歩く人は
ほっと深呼吸して


誰もが
頬を撫でる風の心地よさに
ほんの少し上気しながら


薫るような季節の訪れに
こころの絃(いと)を鳴らしながら


天上を覆い尽くして
色とりどりに煌く
緑のトンネルをくぐるのです


その先に
眩い光が溢れていても
急いだりはしない


さらさら
生まれたての若葉たちの
鮮やかさに見惚れ


自然がくれた
やわらかな日陰に包まれる


そんなひとときを楽しみ
ゆるやかに


そぞろ歩いて行くのです


ため息にさざめくような
緑のトンネルの
その下を