待ちぼうけ



突然引き返してきた
雪まじりの冬が


そっと
近づこうとしていた春の
薄い衣の裾を
踏んでしまったの


だから
春は
季節の扉のすきまで


くるくると
空回り


あきらめて
引き返してしまいそう


暦の春に
ほっとしていたのに


わたしたち
待ちぼうけ


もう
寒さも緩むかな、と


うっかり薄着で
油断していたこころが


ぶり返しの風邪を
ひきそうで


くしゅん
くしゅん


おお寒い、と
息を白くする


冬の頑張りに
肩をすくめる


それでもきっと
少しずつ


季節の秒針は
前へ前へと
動いていくから


今夜は
暖かくして
寝なくちゃね


遅れた分を取り戻そうと
あわてた春が


いつ
ぽかぽかと
駆け込んできても


にっこり
落ち着いて
迎えられるよう


待ちぼうけ上手に
なりましょう

(壁紙素材)