夾竹桃



それは
まるで小さな森


街中に思いがけず
生まれたような
ささやかな森


たわわな枝からは
葉擦れの音


アスファルトに疲れた目を
すうっと引き寄せる


ここへ おいで
ここへ おいで


深い緑の谷間に
羽を休める
幾百もの白い蝶


さわさわと歌う風にも
飛び立とうとはせず


光を弾く白が
重なり散らばり


今が花盛り


さあ
深呼吸をして
心の騒音を締め出したなら


ほら
そこは森


木洩れ日と静寂とを
そっと閉じ込めた
夾竹桃の梢


ここへ おいで


(イラスト、壁紙−PIPOさん)