共 鳴 傘にかくれて歩いてみた しとしと雨の夜 空がほんのり明るいのは 雲に覆われているせい 不思議 昼間なら空の明るさを 隠してしまう雲なのに 今は闇の色に やさしく紗をかける ぽつぽつと 傘に落ちる雨の音 深い草むらからは 絶え間ない虫の声 足をとめれば 無彩色の空気に すっぽりと包まれる 雨の中でも 虫は鳴くんだね 草の屋根のその下で まどろみもせず りんりんと 不思議 寂しさ誘う音色なのに いつしか聞き入り こころなごみ またゆるゆると 歩みを進める 雨の音と虫の声 夜に流れて響きあい 秋の気配に溶け込んで なんて静かな 優しい共鳴 しんみりと しっとりと   |
