金木犀
あっ、
思わずふりかえって
探してしまった
金色の香り
空を走り
するするっと
わたしをひきつける
どこ?
甘くかぐわしい
道しるべを辿れば
深い葉の合間に
顔のぞかせる
小さな花たち
ああ
そこだったの
もうそんな時期なのね
急ぎ足を
ふと止めさせる
なつかしい便りのように
風に運ばれ
わたしのもとに届く
胸いっぱいの香り
記憶よりも確実に
季節の歩みを教えてくれる
可憐な花笑み
今年も
ありがとう
とてもきれいよ
ほろほろと咲く
金色の妖精たち