金色の雨



降らないで


今は降らないで
雨よ
金木犀の花が流れてしまう


甘い香りを解き放つ
小さな花びらを


季節の指が散らすより早く
連れて行ってしまわないで


散りこぼれた花々は
まるで金の星屑


けれど
取り残された裸の枝は
寒さにふるえ


花のかわりに
涙のような雫を抱くのでしょう


花たちは
香りを閉じこめたまま
大地に帰ろうとするのでしょう


ひとときの
儚きいのちゆえに


それはせつなく
美しいのだけれど


もしかしたら


降らずにはいられない
この雨も


花を惜しみ
香りを惜しみ
泣いているのかしら


季節はゆらめきながら
過ぎ行くしかないのかしら


雨よ


映す光も淡き
金色の雨よ



(壁紙 素材)