かなしいゆめ



かなしいゆめを見ていたから


かなしい気持ちが
残ってしまったの


もうゆめは
輪郭すらおぼろげで


手探ってみても
霧のように
かき消えて行くのに


なぜかしら


かなしい気持ちだけが
こころの壁にしみこんで


ひんやりと
泣きたくなってくる


たよりなさに
小さく膝を抱えこむ


形も見えない
夢のかけらは


眠りの小道に
たくさん散らばって


ちくちくと
こころを刺して


夢の中のわたしを
かなしませ続けているのかしら


いつまでも
いつまでも


憂いは呑みこめず
のどの奥に
引っかかったまま


ひたひたと
涙の気配が寄せてくる


いったい
どんな夢を見たのだろう?


朝の光が目にしみて


思わず
ぎゅっと
まぶたに力を入れる


ふいに
ぼんやりと


スローモーションで
記憶が回るように


わたしは思い出す


流れ落ちた涙と一緒に
気づいてしまう


ああ そうか


かなしいゆめを見たから
かなしいんじゃなくて


かなしかったから


かなしいゆめを
見たんだね


頬が
つめたい…