石ころ 〜 虚無 〜
時折
なぜだか気力が
ふぅっとしぼんでしまって
うつむいたままで
ぼんやり
視線を落としていると
運悪く
足元に
みつけてしまったりする
色も形もあやふやな
かさかさの石ころ
うっかり
手に取ろうものなら
それはじわじわと
ふくれあがって
こころの中を
占めようと足掻く
ささやかな輝きさえも
呑み込もうとしてくる
だめだめ
そんなものに
侵食されないで
夢も明日も
ほのかな思いも
色を吸い取られてしまうから
形を忘れさせられてしまうから
だめだめ
あきらめないで
ぎゅっ、ぎゅっと
力をこめて
押しつぶさなきゃ
粉々にして
こころの隅に追いやったら
とりあえず
動こう
光を感じられるものの方へ
なんとか
探そう
笑顔を思い出させてくれるものを
油断していると
負けてしまう
弱気になれば
呑み込まれてしまう
ゆるゆると果てしなく
気だるい闇に
気をつけて
この石ころは
虚無
決して
拾っては
いけません