春の宵
ねえ
すこし歩きましょうか
ほら
雨もあがって
空にはお月さま
ひんやりしめった空気が
そぞろ歩きには
ちょうどいいかも
町のあちこちに
ともった灯りが
星たちと呼び合うように
またたいて
何を話しましょう
月があんまり明るいので
あなたの照れた表情まで
読み取れてしまう
くすりと 笑って
二、三歩先へ行ったなら
すぐに追いついてね
さりげなくよりそって
たわいない会話を
紡ぎましょう
うっすら滲むような
春の宵
帰るには
まだ 早いから