風のぶらんこ



ほんのすこし
歩くことに
疲れてしまった日


足音よりも
ため息の大きさに
ふりむいてしまった日は


ぽつんと


空のまんなかに
ぶらさがった
風のぶらんこをみつけて


ぼんやり


ひとりで
揺られてみたい


前に ゆぅらり
うしろに ゆぅらり


空いっぱい
からだをまかせて
何も考えずに
揺られていたい


がんばりすぎて
息切れしたり


つまずきすぎて
投げ出したくなったり


とり残されて
心細かったり


剥がれかけた
こころの欠片が


揺られるたびに
ぽろぽろ
ぽろぽろ


泣いても いいんだよ
空だけが見ている


涙の分だけ
軽くなったら


昨日へ ゆぅらり
明日へ ゆぅらり
もっと遠くへ
ゆぅらりゆらり


そうだね
きっと
こんな日があってもいい


せつなさごと
深呼吸して


こころのままに
揺られていればいい


空のまんなか


透き通った
風のぶらんこで



(イラスト まさこさん)