掌上のSweets

Kit is very small,But………

 小スケール、ハイディティール、渋いアイテム選定で話題の新メーカー、SWEET AVIATION MODEL DIV.、略してSWEET。社長さんは30年間、田宮模型に勤務していて、名作"ランカスター"などの設計も担当された方なのだとか。先日日記でもちょっと取り上げたのだけれど、とにかくそのパーツの精度の高さとディティールの繊細さには驚かされる。結局現在までに発売されている、マッキMc.200、ホーカー"ハリケーン"Mk.Ⅰ、同じく"ハリケーン"Mk.Ⅰ、トロピカルタイプの三つを買いそろえてしまった。単純にぺたぺた貼り合わせるだけなら、5分とかからず出来上がってしまうものなのだけれども、とくに「1日で作るぞー」とか考えないで作ってみた。

冴えたサエッタ

 イタリア空軍の主力戦闘機。非力なエンジンながらクセのない、操縦しやすい機体で、最終的には一千機程度が生産された。ちなみに一千機、というのはイタリアでは多いほうに属する。後にエンジンを強力なダイムラー・ベンツDB605に換装し、機体を再設計したMC.202が登場する。こちらはハセガワから1/72でなかなかいいキットが出ている。

sweet0.jpg/4.5Kb  先日の日記でも写真を紹介したけれど、とにかく下のタバコが化け物のように見えるくらい、小さい中に精密なモールドがされてて驚いてしまう。全長が1センチちょいぐらいの主脚にしてこのディティールだもんな。しかもパーツはみなとてもはめあわせが良くぴたぴたと決まってくれる。ボックスには堂々と"Just 1 min"って書いてあるけど、ホントに組むだけなら一分で終わっちゃうかも知れない。

sweet1.jpg/4.4Kb  とりあえず着色版、クリア版とも、主要なパーツを接着してみたのがこれ(少し拡大320×271、14.1Kb)。第一弾のキットということで、部品の分割などでまだまだ手慣れてないところもあって、このキットでは着色版ではキャノピー部分も色プラになってしまう。まあ、ほとんどムクの部品なんでクリアバージョンの方でもフレームを塗装すれば良い、ということにはちょっとなりそうにないので、あきらめて透明部分は黒で塗りつぶしてしまうしかなさそうな感じだ。まあこのサイズだし、それでも問題ないでしょうってことで。

塗ってみよう

sweet2.jpg/3.2Kb  キットにセットされているデカールは6機分で、東部戦線とアフリカ戦線に参加した機体からチョイスできるようになっている。東部戦線の機体はグリーン主体の暗いものになってしまってちょっと淋しいので、やはりサンドイエローがメインの塗装で行こうってことで。ちなみにSWEETがチョイスしたサンドイエローにグリーンのインクスポット迷彩の"373-9"号機は、イタリア軍、東部航空管区司令、フェルディナンド・ラファエッリ准将の個人専用機で、モノクロながら実機の写真が、「モデルアート」誌の1992年5月号に掲載されている。これだけ小さいと、エアブラシを持ち出すまでもないかな、ってことで筆塗りでやっつけてみた。イエローの塗装を選んだのも、元のプラの素材の色がサンドイエローなんで、筆塗りでも塗りむらがあんまりでないかな、って思惑もあってのこと。少し薄目のラッカー系の塗料で、さっさっと塗ってやる。迷彩も同様にラッカー系で、少し先がちびた古い筆でとんとんと。割ときれいにできたと思う。

もう完成

sweet3.jpg/5.7Kb  あとはデカールを貼ればたちまち完成。デカールの室は、薄くなじみも良い、上質なものだけど、ちょっと下の色が透けてしまうのが残念。胴体の白帯は塗装した方がいいかも知れない(拡大画像、640×380、29.7Kb)。全長5センチ足らずの小さな模型で、しかも作ったのがヘタレなオレで、ここまでアップに耐えるっつーのはちょっとすごいことだと思ってしまう。

sweet4.jpg/6.8Kb  こちらは平面形(拡大画像、640×522、23.7Kb)。いかにも空戦性能の良さそうな翼がいいですな。日本の機体だと九六艦戦とか九七戦のイメージがあるかもしれないね。非力なエンジンながら運動性は良好、ってあたりも、相通ずるものがあるのかも知れない。ううん、ステキだ。こういう飛行機、好きなんだよな。MC.200の対抗馬、フィアットG.50とかもモデライズしてほしいな。ちなみに気になったデカール、どうやら高品質を誇るカルトグラフ製(ハリケーン以降はすでにカルトのデカールが採用されている)に換えたものも発売になるらしいですな。

羽布張りの暴風

 さて続いては、蛇の目好きなら添い寝したくなるぐらいいとおしい、ホーカー・"ハリケーン"。かの有名な英本土航空決戦(バトル・オブ・ブリテン)は、スーパーマリン・"スピットファイア"の活躍で英国がドイツを退けたように思われがちだけれど、実際には配備された数、撃墜したドイツ機の数、さらに戦闘で失われた数、どれを取ってもハリケーンのそれはスピットファイアを上回っている。それかあらぬか、英国人(と一部のイカモノ好きな日本人)は熱狂的にハリケーンを愛する傾向があるようだ。模型はごく初期に生産された、主翼も羽布張りのタイプと、金属製の主翼に換装し、さらに熱帯用に"ボークス・フィルター"と呼ばれる防塵装置を装備したタイプ。

sweet5.jpg/4Kb  第二作目になって、SWEETの部品分割のやり方はさらに冴えてきていて、無駄を承知でキャノピー、翼灯などは、あらかじめ二機分のパーツを一つのショットに納めるようになっている(上の右端の方にキャノピーのパーツがある。拡大画像、640×479、32Kb)。これだと、着色したプラ側のパーツは無駄になってしまう(使ってもいいんだけど)反面、同じ金型に透明なプラを流し込むだけで、二機分のクリアパーツがとれるわけで、なかなかうまい手だと言えるだろう。もちろん相変わらずのスーパーディティール。二作目にして、主脚収納部までもしっかりと再現されるようになっている(翼下面のクローズアップ、480×422、9.9Kb)。なんかもう恐れ入ってしまいます。デカールも天下のカルトグラフ製になって、下地が透ける心配ともおさらば。

たちまち完成

sweet8.jpg/2Kb  とにかくどちらも、気持ちいいぐらいぱちぱちとパーツがはまってくれるんで、本当に塗装が勝負ってことになってしまう。今回、先に手をつけたのはトロピカルタイプの方で、これは完全に筆塗り。塗料はいつものようにラッカー系。筆塗りの迷彩なんて久しぶりなんで、どうもうまく行かなかった感じがする。大体ラッカー系で塗った上からラッカー系で迷彩職を塗ったりしたら、ろくなことは起きないよ。エナメル系で塗るんだった、って思いついた時にはあとの祭り。ちょっと雑な出来になってしまった(拡大画像、640×437、25.8Kb)。

sweet9.jpg/2.2Kb  それでは、というので、羽布張り主翼バージョンの方は、エアブラシ+エナメル塗料筆塗り、って線でやってみたんだけど、こっちはこっちでやっぱりよろしくない感じ。ダークアース(赤茶色)とダークグリーン、さらにカルトグラフのデカールと、三者がそれぞれ微妙にツヤの具合が異なるんで、ここをならすのが結構面倒。この状態でフラットベースとクリアベースを適当に混ぜて薄目に調合したクリアを三回ぐらい吹付けてるんだけど、まだちょっとデカールの光沢が残ってる感じだし、筆塗りしたグリーンの部分が結構村が残っているし、オレも修行がたらんなあ、とちょっと鬱入ってしまいますな(拡大画像、640×526、38.9Kb)。

でもやっぱり並べるとうれしい

sweet10.jpg/3.6Kb  ってことで、今回は必ずしもうまく作れた、って気にはなれないんだけど、でもやっぱり小さなミニチュアが並んでるのを見るのは楽しいなあ。模型雑誌の広告風に並べて写真を撮ってみたりする(拡大画像、640×364、29.4Kb)。うはは、やっぱりなんかうれしいぞ。なんだかんだ言っても、やっぱりモケイは完成させて、手に持って眺める瞬間が最高やね。それが手のひらにすっぽり収まるようなサイズだと愛らしさもひとしお。いいなあ、このメーカー。オレ、SWEETシンパになることを宣言するよ。この先、F4FとかI-16とか、なんか渋いラインナップが控えてるらしいですが、このメーカーにはこれからずっと、このステキな小さなモケイをリリースし続けていって欲しいと心底願いますよオレ。

さて次回は

 キャラもの行こう、キャラもの。想像つくよね?そう、最近発売されたアレですね。

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