「不思議な猫たち」

表紙

 アイザック・アシモフ他 著/J・ダン&G・ドゾワ 編/深町眞理子他 訳
 カバーイラスト 田中光
 カバーデザイン 岩郷重力+WONDER WORKZ
 扶桑社ミステリー文庫

 アイザック・アシモフ、フリッツ・ライバー、タニス・リー、マイクル・ビショップ、ルーシャス・シェパードにアーシュラ・K・ル・グゥィン………そうそうたる作家たちに、浅倉久志、伊藤典夫、深町眞理子、酒井昭伸、小川隆………とこれまた豪華な翻訳陣で贈るアンソロジー。これが面白くなかったらウソだぜ!と期待して買った本だったのですが、一つ大きな誤算をしてました。わたしゃ特に猫好きってわけじゃないんですよね。でも、この本は猫をテーマにしたアンソロジー………(爆笑)

 えー、"猫"てえ生き物、人間との付き合いも長く、人と暮らしながら人に媚びないその気位の高さと、種族によって愛らしかったり美しかったり高貴だったりするその見ばえなどでファンの多い生物でありまして、いろいろな小説で主役を張ったり脇役としてシブい演技を見せてくれたりしてますな。特撮ファンなら"エイリアン"のジョーンズ君なんか、連想するかも。

 そんな、(人によっては)魅力あふれる猫って生き物を主役に据えた短編小説アンソロジー。さほど猫好きでもない僕としては、読みはじめた瞬間「しまった!かなあ」って感じもあったのですが、意外と疎外感みたいなものは少なくてすみました。それと言うのもこのアンソロジー、実は猫小説アンソロジーとしては第二弾にあたるもの(『魔法の猫』という作品集がすでに出ているんだそうで)で、こちらでは"猫"限定じゃなく"猫族"ならおっけー、てな具合に規制緩和がされてまして、その分一般的な"猫との付き合い"に実感がない読者でもそこそこ楽しく読めるようにできているようです。

 猫族ファンというわけでもない我々としては、虎を扱ったタニス・リーの作品、ジャガーを扱ったルーシャス。シェパードの作品、どんな話を描いてもピリッとアイディアの効いたアシモフの作品あたりで一応モトはとったか(^^;)。純粋に猫好きな人にはどうなのかな?却って不満の多いアンソロシーになるのかもしれないな(苦笑)

99/10/4

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