クリス・スチュアート 著/広瀬順弘 訳
カバーイラスト 浅田隆
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワNV文庫
ISBN4-15-040923-4 \840(税別)
中東歴訪を歴訪を終え、帰国途中の副大統領、元大統領らを乗せた"エアフォース・ワン"から突如すべての連絡が途絶。自動操縦でアメリカに戻ってきたエアフォース・ワンはやがて燃料切れで墜落。救出にむかったチームはそこで信じられないものを見る。自らの目を自分でえぐりだして死んでいる乗員の姿が。未知のウイルスによって一瞬にして副大統領をはじめとする一行はすでに機内で死に絶えていたのだった。事件の背後にイラクの陰謀を察知したアメリカは、ただちにイラクの細菌兵器製造施設への攻撃を計画。だがイラク側は、すでに次の一手に向けた行動を開始していたのだ………。
"核爆撃機リーパーズ・シャドウ"のクリス・スチュアートの邦訳第二弾。現役パイロットが描く空戦シーンの迫力はなかなかのもの。ただなあ、「リーパーズ・シャドウ」の時も感じたんだけど、どうもこの、ツメが甘いというか描き込み不足というか、盛り上がりに欠けるんだよなあ(^^;)。
"貧者の核爆弾"と言われる細菌兵器でアメリカに攻撃をかけようと画策する中東の狂信者、かつてその狂信者によって家族を殺されてしまったクルド人の女性、卓越した技能を持った"ストライク・イーグル"の搭乗員、とそれなりにシチュエーションもメンツも揃ってるし、いきなり謎の細菌兵器で無残な死を遂げる"エアフォース・ワン"の乗員乗客たち(その中にはブッシュ元大統領まで含まれてたりするんですが)、てえツカミもおっけー。
んだけんどもこのお話、突っ込みが甘い(^^;)。大体において、「ありそうもないこと」をいかにありそうに見せるかってのがお話を作る上での作家の腕の見せ所なんだけれども、残念ながらこのお話、「ありそうにないこと」が「ありそうにない」ままなんだよなァ(笑)………。
てことで今回も残念賞。
99/9/4