マスカレード

異形コレクションⅩⅩⅠ

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井上雅彦 監修
カバーアート スクリーミング・マッド・ジョージ
カバーデザイン 奥沢潔(パークデザイン)
光文社文庫
ISBN4-334-73274-7 \838(税別)

ホラー立てればSF立たず

 "仮面舞踏会"がテーマの最新"異形コレクション"。そのテーマゆえ、どうしても話は内面に向かっていく傾向が強くならざるを得ないわけで、そこで「意識を外に拡げるんだぁ」を合い言葉にするロートル・SFファンとしては少々食い足りない気分になってしまうのも事実で。

 新鮮に感じるぐらいオーソドックスな難波弘之、町井登志夫氏の作品、なんというか、不可解さがかえって小気味よい高野史緒氏の作品、あと、なんだかちょっとハートウォーミングな感じが心地よい、速瀬れい氏の作品が良かったな。構成的には凝り倒した五代ゆう氏の「淋しい夜の情景」、話題性はあるけど策におぼれて自滅してる感じ。あと、限りなく悪趣味な田中啓文作品も、ちょっとオレとしてはここまでやられると、かえって引いちゃう。

 どうしてもSFの味を潜ませたホラーを期待してページをめくるので、本格ホラーとか、正統ミステリ仕立てのホラーが続くと、ちょっと個人的に辛いもんがあるな。真性ホラーファンには楽しめる本のような気がする。オレにはちょっとダメ。

02/01/26

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