産経新聞「20世紀特派員」取材班 著
カバーデザイン sakana studio
カバー写真 AP/WWP
扶桑社文庫
ISBN4-594-03114-5 \590
ということで5巻目。今回のテーマは、んー、むりやりこじつけるならテクノロジーと人間、かなぁ。収録されているトピックは、「車が人を変えた」「素敵な商売 望郷編」「地球は青かった」の三つ。
間に挟まった「素敵な商売 望郷編」は、前の本の同じトピックの増補版ってことで、早川雪州、ジョージ・タケイなど、ハリウッドで活躍したアジア人を描いてて、ジョージ・タケイといえばヒカル・スールー(ミスター・カトーだよ)、ってことで、次の、宇宙開発を描く「地球は青かった」に無理矢理つなげられなくもない、ってことで、1→3、2→3、という変則的な関連性があるってことで。
何と言っても「車が人を変えた」が楽しい。筆者、小森義久さん自身のクルマ体験を交えて、アメリカのモータライゼーションの経緯を綴った、軽いけれども楽しい読み物。途中、ハルバースタムのこんな一文が引用されてたのが興味深かった。
「車と道路の発達はアメリカ人の根なし草ふうの真理部分を刺激し、自分の育った地方を捨て、両親の習慣を放棄し、車に乗ってどこかにいき、新たな挑戦に応じる、という性向を強める効果を発揮した。車はアメリカ人に新しい機動性を供し、もはや両親と同じ地域に住み、両親と同じ水準の教育を受けることを不必要とした。もしその地域の小さな村が気に入らなければ、車に飛び乗って、どこか新天地に向かえば、それでよいのだ」
アメリカ人の失敗を恐れない、フロンティアスピリットみたいなものって、案外クルマが育んだものなのかも知れないね。
01/4/15