特攻艇基地を撃破せよ

栄光の海兵隊

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ダグラス・リーマン 著/高津幸枝 訳
カバーイラスト 野上隼夫
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫NV
ISBN4-15-040978-1 \900(税別)

 代々の男たちが海兵隊で武勲をあげているブラックウッド家のマイク。彼もまた英国海兵隊大尉として、第二次世界大戦の渦中にあった。ビルマ戦線の苦闘を経て、現在は地中海に転戦したブラックウッドたち英国海兵隊員たちは、連合軍のイタリア侵攻に向け、さまざまな戦闘を経験する。そしてついにイタリアに上陸した連合軍。だがドイツ軍は特攻用の小型ボートの一群を巧妙に隠匿しており、いま、その一団を配置転換しようとしていた。彼らが解き放たれれば、連合軍側の輸送船団に壊滅的な被害が出ることは間違いない。特攻艇部隊の秘密基地に対する奇襲命令を受けたブラックウッドたち海兵隊の一団は直ちに出動するが………

 ダグラス・リーマンことアレグザンダー・ケントの、"ボライソー"物と並ぶ海洋冒険小説シリーズ、「栄光の海兵隊」シリーズ第四弾。帆船時代から続いく海兵隊一族、ブラックウッド家の男たちを描くドラマ。前作「紅の軍旗」が'97年の刊行だったから、かれこれ4年ぶりか。

 そんなこんなでわくわくで読んだんですが、んーこれはどうしたことか、いつものリーマン(=ケント)らしさが全然ないんだなあ。こう、お話的に盛り上がりに欠けるというか、淡々と同じようなヤマが、おんなじようなサイクルで繰り返されるというかなんというか………。リーマンの作品の魅力ってのは、毎度ワンパターンなのに読み始まったら止まらないおもしろさにあると思うんだけど、今回はそういうのが感じられない。

 もう一つは、主人公のおかれた境遇。これもリーマン的ワンパターンの一環なんだけど、リーマンの主人公って言うのは常に、無能か横暴な上司によって苦労させられ、部下たちからは絶対的な信頼を置かれてる人物なんだけど、今回上司がダメダメ。悪いヤツなのかそうでないのかわからないし、そもそも何を考えてるのかイマイチ見えてこない。よって主人公の苦境もそれが誰のせいなのかがイマイチ見えてこない。んー、大好きな作家なんだけど、今回はいいとこなし。読まんでいいです。

01/4/1

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