ブレードランナー3

レプリカントの夜

表紙

K・W・ジーター 著/大野晶子 訳
カバーイラスト 木島俊
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワSF文庫
ISBN4-15-011317-3 \900(税別)

 タイレル社の崩壊後、身分を隠して火星に移り棲んでいるデッカードとサラ。だが二人の間の心の溝は埋まることもなく、日に日に冷え冷えと、そしてささくれだった空気が充満していく。そんなおり、デッカードの許を訪れる一人の人物。彼はデッカードに一つの提案を持ちかける。それは………。

 これ以上はネタバレになるんで自粛(^^;)。ジーターによる、いつ続編が作られるかもわからない"ブレードランナー"のノヴェライズ………というかこれはもはや"ブレードランナー"ってテーマをジーターがいかに料理するかを楽しむ本と言えましょう。で、そういう点から見てみるならば前作"ブレードランナー2"以上に成功した作品といえるかも。ただ、いわゆるジーターらしさを期待するとちょっとそちらは希薄かも。

 ジーターの持ち味っていうと、やはり"ドクター・アダー"なんかに代表される、ダークでパンクな雰囲気ってことになるかと思うんですが、で、そのパンクな雰囲気って物を初めて映像化したといえる"ブレードランナー"という素材を使っていながら、あの、雨のそぼ降るじとっとくらい雰囲気よりは、むしろ乾いた、砂を噛むよな雰囲気が先に立ってるような気がします。舞台の一方は火星ですし。

 ちょっとミステリ仕立てになった部分もあり、また、例のディックがディックたる由縁である"オレってホントにオレ?"ってテーマを、ジーターがかなりアクロバティックに料理してくれているあたりとか、結構見所の多い一冊といえるかも。前半少々退屈なんですけどねえ(^^;)

00/8/1

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