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秘湯を目指して 立山新湯報告書


種別天候日程
晴れ 2004年8月12日〜14日
1.活動報告
 目的:本当の秘湯、立山新湯に入る。
 メンバー:税理士,ばたやん夫妻,R
 行程:12日9時名神吹田を出発。名神から北陸道を経て16時ころ富山ICに到着。富山市内を南下し有峰林道小見線で折立に到着。折立キャンプ場にてサイト。
 明けて13日5時半に折立を出発、有峰林道真川線を徒歩にてカルデラへ。14時ころ有峰トンネルを経てカルデラ内に到達。カルデラ内で廃道にまよいつつ立山温泉跡に15時頃到着。川原に湯船を作り入湯、泥鰌池で釣り等して温泉跡にてサイト。
 翌14日8時湯川谷を遡行開始。途中ばたやん夫妻が引き返し9時半税理士とRが新湯に到着。湯滝で入湯した後に湯池を見物し10時過ぎ下山開始。温泉跡に11時半帰着し、昼食をとって12時半湯川谷左岸のルートで帰途につく。カルデラ入口を通過後、折立まで残り8km付近でトラックの荷台に便乗して16時ころ折立に帰着。林道小見線で富山市街に下りて夕食(ラーメン)をとり、そのまま高速で深夜に帰阪する。
>>詳細&写真
2.活動資料
 <地理編>
・有峰林道小見線
 富山から折立へのアクセスルート。6時から20時の間のみ通行可能で往復一回で900円の通行料金が必要。

・折立
 (所在) 立山カルデラの15km南方
 (環境) 薬師岳方面の登山口として利用されている。標高1400mで夏でも夜間は肌寒い。明け方防寒着が必要。
 (施設) 駐車場、キャンプ場、休憩小屋があり何れも無料。キャンプ場は芝生で快適、炊事場とトイレもある。休憩小屋には自販機があるがジュースのみで酒類は販売していない。酒は折立に上がる前に購入しておくこと。

・有峰林道真川線
 (地形) 折立からカルデラ方面へ続く15km程の舗装路。標高1400mの折立から緩やかな下りが続くが、折立から10km付近で一気に100m程くだり標高1100mの谷へでる。そこから登り返し2kmほどで山ルート(右)と、谷ルート(左)に分岐する「カルデラ入口」の連絡所へつく。山ルートはつづら折の急坂を登り有峰トンネルに繋がる。トンネルで外輪山を抜けるとカルデラ南西域に出る。谷ルートは湯川谷沿いに外輪山の切れ目からカルデラ北西域に抜け出る。
 (通行規制) 自転車含む一般車両通行禁止であり、連絡所のゲートを通過するには通行許可証の提示が必要。徒歩であればカルデラ入口の連絡所まで通行可能。
 (連絡所) 林道始点(折立)と林道分岐点(カルデラ入口)の2箇所にある。折立連絡所は24時間常駐だが徒歩ならフリーパス。カルデラ入口連絡所では、職員の前で通ったことがないので徒歩で通過できるか不明。ちなみに、カルデラ入口連絡所は金曜日は人の気配があったが、土曜日は日中も無人だった。尚、「カルデラ入口連絡所」と言う名称らしいが、実際は外輪山の外側に位置し、ここからカルデラ内までまだまだ距離がある。
 (補足) カルデラ入口連絡所は林道の山側(東)にある。連絡所より30m程手前の低いコンクリート保護壁に上り、潅木の斜面を15m程登りきり尾根を越えると、有峰トンネル方面へ向かう林道の連絡所から見えない位置にでる。

・立山カルデラ
 (所在) 富山の南東
 (地形) 東西方向に長い楕円状の外輪山に囲まれたカルデラ。外輪山の外側斜面は弥陀ヶ原など平坦な地形が広がるが、内側は切り立って崩落が激しい。特に北、東、南が急峻。北西部で外輪山が切れ、湯川谷が流れ出す。カルデラ内は、道、休憩所、トイレ、案内板などよく整備されている。豪華な碑文なども点在する。
 (補足) カルデラ内の道は土石流で寸断される度に付け替えられるらしく、水飲みポイントから温泉跡までのルートは地形図などとかなり異なる。出来たての道は、遠目に万里の長城のようでかっこいい。

・立山温泉跡
 (所在) カルデラ北東域湯川左岸。幸田文の碑文から道なりに下り、噴泉の入り口を過ぎたあたり。
 (施設) トイレ(トレペ、水道あり)、休憩所、涌き水、碑文。
 (温泉) トイレ脇の吊橋を渡ると川原に下りる階段がある。川原に湧く源泉はかなり熱い。

・泥鰌池
 (所在) カルデラ北東域湯川右岸。温泉跡から吊橋を渡り、木道を歩いて1分。
 (地形) 湖岸はぬかるみ芦原になってるので、本気で釣るなら舟がいるかも。岸沿いに蓮が繁茂する。
 (釣り) 立山温泉が営業していたころにニジマスが放流されている。16時ごろにガンガン跳ねていたが、ポークソーセージではつれなかった。魚肉ソーセージは試していない。他パーティーから釣るならルアーが必要という話もうかがった。

・湯川谷
 (所在) ザラ峠に発しカルデラ内北よりを西流する。
 (地形) 温泉跡から上流に向かって順に左岸から兎谷、右岸から松尾谷、左岸から滝谷が合流する。川原には巨岩等の転石と礫とが入り混じる。温泉跡付近は両岸が段丘状の様相を呈するが、兎谷出会い付近では砂防工事により河岸が切り崩されているため広大な川原となっている。兎谷出会いよりも上流では両岸から尾根が迫るが、流量や傾斜に比較して川原がいやに広く、また川原の転石が締まっていない様子や、河床面より上の岩石に砂礫が不着している様子から増水や土石流の頻発がうかがえる。
 (遡行) 兎谷出会い付近の川原は野球場なみに広く谷の入り口が遥か彼方なので、できるだけ上流まで道路を歩いたほうがよい。兎谷出会いから新湯までの間には6つか7つの砂防堰堤がある。そのうち容易に乗り越えられない高いものは4つある。ただし何れも左右どちらかの端に踏み跡があり通過できる。一部にフィックスロープもあるが、なくても何とかなる程度の困難さ。ただし、どちらの端を通過できるかは下流側からなら遠目に見て取れるが、上流からはわかりにくい。堰堤の幅が広いだけに左右にうろうろするのは面倒だし、堰堤直上で渡渉するのはうっかりするとあれなので、帰路のために遡行時にしっかり覚えておくのが吉。
 全般として左岸の方が傾斜が緩く木が茂っているためこちらを通れる。一箇所だけ両岸が岩壁になっている堰堤があり、ここは右岸の岩壁と堰堤の間をチムニーっぽく登る。

・新湯
 (所在) 湯川谷最上流の堰堤からさらに50m上流の左岸、河床面から15m程あがった林内に位置する。
 (地形) 河床から尾根までの斜面途中に平坦地があり湯池が沸く。湯池周辺は湯気と樹木により見通しがきかない。崖上の湯池は斜瀑となって河床面に落ちる。
 (入湯) 湯池は熱くて入れないが、河床まで流れ落ちて来る間に適温になる。湯滝直下は転石帯のため、落ちてきた湯は伏流する。直接湯を浴びるか滝下にテントシート等を敷いて湯船を作り入湯する。
 (登攀) 湯滝は傾斜やホールドの具合からすると登れそうだが、熱くてとても登れたもんやなかった。しかし湯池まで直登した記録もあるから挑戦するのもよいかもしれない。全身がネコな方のためには滝の10m程上流側の土壁に、ザイルやトラロープがフィックスされている。下三分の一あたりはフリーの区間であるが足場が悪いため、今回20mの細引きをダブルで使用した。
<アプローチ検討編>
はじめに
 新湯へのアプローチは、林道を車で走れば非常に容易なものである。しかし、関係者以外は林道の通行許可を取得できないらしいので、新湯を目指す者は他の方法を検討する必要がある。
 例えば、今回は"山と高原の地図"に記載された「一般の自動車は通行できません。」という記述を拠り所に「自転車ならいけるのでは?」とゴリ押し気味にサイクリングで行く計画を立てた。実は他のどこかで「一般車両通行止め」と書いてるのを見た気もしてたし、さらに言うと車両ってのは自転車を含むよなと思いもしたが、とりあえず自転車を積んで折立に行ったところ、案の定「自転車を含む」と看板に明記されていた。「無許可で通行した者は条例により罰せられます」とまで書かれては、尻の穴の小さい我々としては断念せざるを得ず、結局、折立から温泉跡まで20kmの道のりを延々歩くことになった。
 では、他にどのようなルートがあったのか。ここでは、20kmの道のりは失敗だったのかを検証するため、現地で出会った他のパーティーが実際に利用していたルートや、ネットに公開されているルートを紹介する。

・林道トンネルルート(情報源:自分)
 (1)概要 折立から三峰トンネルを経て温泉跡まで舗装路を20km延々と歩き(8h)温泉跡から湯川谷を遡行(2h)する。
 舗装路の前半10kmは緩やかな下り、後半10kmは概ね上りだがカルデラ内で多少アップダウンがある。湯川谷の遡行では、堰堤を越せる側が右だったり左だったりするため幾度か渡渉が必要となる。
 (2)必要装備 林道では舗装路を20km歩くので登山靴よりも軽いスニーカーがお勧め。遡行には必ずしも沢装備の必要はなかった。僕らが遡行した時の流量は、場所を選べば水位は膝レベルであり、河底のフリクションもよく効き登山靴でも不安なく渡渉できた。ただし、ザラ峠から下降してきたパーティーは全員沢靴を履いていた。
 堰堤の乗り越しは、沢登りで軽い高巻きの経験があればそれほど困難ではないが、不安があれば10m程度のスリングを用意しておくと良いかも。帰路も登攀ルートを容易に下れるので、装備の出し入れを考えると懸垂下降で直進するよりも、堰堤を迂回気味にフリーで下った方が速い。
 (3)特徴 高低差が少ない舗装路なので歩き易いものの距離が長い。さらに、連絡所を迂回した記録がネット上に散見され、この経路でカルデラ入口連絡所より奥に入域できるか不明である。また、連絡所迂回でタイムロスがある。しかし、連絡所の迂回では、パーティーの誰かがくしゃみをするとドリフばりに楽しめる。さらに連絡所より奥では車が来たときに路肩の茂みに飛び込んだりして脱北ちっくな緊張感も味わえたりする。ただし、普通に車とすれ違っても特に何も言われなかった。
 トンネル通過後は、温泉跡までの道すがらカルデラ内の様々な景色が堪能でき、天涯の水にもよれる。

・林道谷ルート(情報源:自分)
 (1)概要 折立からカルデラ入口連絡所までの区間は、林道トンネルルートと同じ。カルデラ入口連絡所から水平台分岐までは舗装路で3km程。水平台分岐から温泉跡までは荒れた登山道風の道で1.5km程。
 (2)必要装備 林道トンネルルートと同じ。
 (3)特徴 トンネルルートに比較して4km程短くアップダウンも少ない。さらに途中で新たなトンネルが建設中で、完成するともっと距離が短くなるかもしれない。
 湯川谷からカルデラ内に入るときに、展望台から水平台作業員村と巨大な白石ダムを見渡せる。また、水平台分岐から水平台方向へ橋を渡ると天涯の湯に寄れる。水平台分岐から奥は道の上方で法面工事をしており通行止め。工事区間を過ぎると温泉跡の直前に噴泉がある。
 全体的に谷の中腹を通過するため見晴らしは悪く、トンネルコースよりも景色が単調。

・ザラ峠ルート(情報源:Web)
 (1)概要 室堂までバスを利用し、室堂から五色ヶ原山荘方面に向かう尾根伝いの登山道でザラ峠へ。ザラ峠から湯川谷をカルデラ内へ下る。
 (2)必要装備 お盆時期にも雪渓が残る模様なので、それなりの装備が必要かも。
 (3)特徴 ビーパルでも掲載された有名なサイトが情報源。現地であったパーティーやソロの人ももこのルートで来ていた。

・松尾峠ルート
 (1)概要(※現地で会ったパーティーから聞いたルート。往路に利用できるか不明なので行程を復路で記載)
 新湯から湯川谷を下り、出会いから松尾谷へ登り返す。途中で右岸へあがり、薮漕ぎで外輪山北稜の松尾峠を目指して直登する。松尾峠からは弥陀ヶ原の立山アルペンルートへアプローチ容易と思われる。
 (2)必要装備 前半は松尾谷用の沢装備、後半は薮漕ぎに適した服装。あと立往生した時のためにザイル下降セットもあるほうがよさげ。
 (3)特徴 距離的には最も近いルートであるが必然的に最も急峻。登山道以外の山歩きになれてるひとや薮マニアには良さげ。利点とも欠点とも受け取れる極端さに引かれるが、詳細なルートがわからないためミスルートで立往生のおそれあり。それもまたよし。
<参考資料>
(サイト)
・新湯の入湯経験が報告されてるサイトを3つほど参考にさせて頂いた。場所がなんなのでサイト名やURLは明記しませんが感謝してます。
・立山カルデラ博物館HPにあるカルデラ地図はカルデラ内各ポイントの位置関係を把握するのに最適でした。
(地図)
・山と高原の地図36「剱・立山」(昭文社)
・ 地形図(実際にはカシミール3Dを使用)



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