この涙がいつか君の心を潤せますように...


   恋涙

 どんなに哀しくても
 どんなに切なくても
 決して涙を見せてはなりません
 貴方の涙が
 多くの人の支えを奪うのですから

 どんなに負けそうになっても
 どんなにくじけそうになっても
 決して涙を流してはなりません
 貴方を想い考えている人の心を
 涙で浸すことになるのですから

 貴方は
 常に笑顔でいなければなりません
 それが
 人々が貴方に貼り付けたレッテルなのです

 貴方の涙には
 貴方の為に流された涙が
 貴方を想う人の涙が混ざっています

 だからお願いです
 僕の前で涙を零さないで下さい
 貴方の涙を望む人は
 一人もいません
 だから……
 お願いです……
 もうそんな顔は見せないで下さい
 ずっとずっと微笑んでいて下さい
 いつまでも……
  いつまでも……

  雲涙

 広い野原に寝ころがって
 二人で空を見ていた
 青いキャンパスを
 白い雲が泳いでいた
 何処に行くとも決めずに
 ただ周りに流されて……

 自分の気持ちに素直になれない
 僕の心は青い空を漂っている
 方向を変えることも立ち止まることも
 認めてくれない周囲の波は
 僕の目から涙を呼ぶ

 この涙もやがて空に昇り
 雲となる
 自分の涙でできた雲を見つめ
 僕はまた涙を落とすだろう
 君に信じてもらえるまで……
 この空に雲がなくなるまで……

  弱涙

 泣きたいとき
 誰にすがって泣きじゃくればいいんだろう
 切ないとき
 誰を求めて叫べばいいんだろう
 君からの電話が耳の中で反響する
 もう一度この番号...
 君の番号を押せば
 僕の心に潤いが戻る
 でも君に涙は見せられない
 こんなにも弱く惨めな僕を
 君に知られるのが恐い

 ずっと強がりな自分を演じてた
 君の涙拭ってあげられるくらいの強さ
 本当は求めていた
 君は気付いてただろう
 弱さを隠そうとして
 逆の方から飛び出た弱さに...
 だから僕ら涙見せられなかった
 お互い無理してたのが
 解かっていたから...
 泣きだすと
 相手まで淋しくなる事知ってたから...

 互いの必要なもの
 言わなくても解かるから
 だから一緒に悩んでいられた
 励ましあえた
 君の涙まだ見てないから
 僕は涙をまだ見せない
  暗涙

 電気を暗くして泣いている
 他の人に見られないようにって
 思ってるのかな
 僕の所からはよく見えるんだ
 他の事してる風に見せかけてるのに
 もう影を背負っていて解かっちゃう
 うつむいて...眼を赤くして...

 人生は暗闇の中
 一人で歩んでゆかなくちゃいけない
 でも君は独りでは歩けない
 だから君は一緒にいた
 "親友"という足かせと...
 よけい自分の足取りを重くしているのに
 しかも解かっているのに
 君は"親友"といる
 何かが必要なのかもしれない
 でも嫌だったらはっきり言いなって

 涙が零れる
 でも笑顔で現れる
 "親友"が来ると明るく振舞う
 そんな生活してると
 いつかは動けなくなるよ
 暗い部屋の中で独りで泣いてた

 僕はこうしか言えなかった
  あんまり無理しなくて良いよ
 君は笑って"いつも"の顔になった
 でも解かるよ
 誰だっておかしいって気付くよ
 気付かなかったのは"親友"だけ......

 涙が枯れるまで泣き続ければ良い
 心のつっかえを流し尽くせば良い
 気にしてるのは"親友"の事だけなのかい
 僕が明かりをつけるから
 暗い所で泣かないで......

  罪涙

 いくら犯した過ちに涙を落としても
 その傷が癒えるわけでもなく
 ただ反省した事を
 他人に解かってもらいたくて
 罪の涙は床にしみを作った

 やってしまった事
 それはもう戻らなくて
 でもその事でいつまでも悩んで
 僕は一つの事で何回も泣いた
 それによって全てが許されるわけではないのに
 何度も何度も繰り返し謝った
 涙の量が減ってきて最後には枯れてしまう
 でも僕には罪の烙印がおされていた

 自分の弱さを見つめなおしても
 また同じ事を繰り返す
 誰もが僕の行いで傷付けられ
 そして僕との縁が切れてゆく
 離れてゆく被害者に
 加害者である僕はどうする事も出来ず
 ただ名前を叫び泣き声をあげるだけだった

 罪の涙
 流すことが許されることではなくて
 でも何かしてもらうことを期待して
 だから僕は流し続ける
 それに見返りを求めてるわけじゃなく
 でも......何かは求める

  心涙

 ココロの中がからっぽで
 何も考えていないのに
 僕の眼からナミダが零れた
 理由もなくてキモチも含まれていなくて
 ただココロの液体が流れ出ただけのようだった
 君のこと想ってたわけじゃない
 でもこのナミダは君のことかなって疑ってしまう
 いつものナミダの原因は君だから
 でもその問いにココロは何も応えない

 泣かないで ずっと傍にいるよ
 そんな励ましも もう遠くにしか聞こえなくて
 僕は自分のココロに鍵をかけた
 あと1週間ぐらいで
 このココロの部屋は水に沈むだろう
 でもいまさら何ができるというのか
 泣かないように我慢して
 でもココロにはたまっていく
 僕のナミダは何処からあふれて
 何処に流れるのかなんて知らない
 でもココロを通るときに何とかしたい
 何ができるなんて具体的には言えない
 でもこのココロはもう洪水寸前
 破裂したらもう元には戻らない......

  哀涙

 なんとなく...この空気は淋しい
 いつもと同じ場所の
 いつもと同じ時間帯の空気だけど
 でもなんとなく...淋しい
 哀しいときはいつもここに来た
 風が僕の心に吹きつけ少し涙が滲み出るけど
 ここはなんか落ち着く
 一人で涙をためてると君は横に黙って座る
 泣いてる理由解かるから君は何も言わなかった
  大丈夫だって...
 そんな言葉をかけても無駄な事も知ってるから
 君は僕が泣き終わるまでずっと横にいる

 でももうここには来ない
 僕は涙を流す理由を消すため
 勇気を出して笑顔を作った
 まだ笑うって事に慣れてなくて
 君はぎこちないって笑うけど
 君ももう涙を望んではいないだろう

 風が吹いてこの場所の空気は飛んでいく
 淋しい匂いがしたこの場所は
 僕の涙に濡れたこの場所は
 哀しみしか渦巻いてない
 風は淋しさしか吹き飛ばせなくて
 いまだに哀しい音が聴こえる
 僕以外の人にこの地を踏ませたくない
 哀しい気持ちになってほしくないだけだけど
 僕はこの扉にカギをかけた

  桜涙

 もう見て泣かないって決めたのに
 今年も薄桃色の花に君が映った
 桜並木を頭に感じ
 花の隙間から洩れる太陽の光に
 僕は目を細めた
 枝を掴んで花を眺める
 感動の前に哀しみが溢れる
 君と歩いた桜のトンネル
 今僕は二人で歩いてるよ
 君じゃない人と...花を見てるよ

 桜の花が風に揺れるたび
 僕の心で君への償いの気持ちが動く
 桜の蕾がその口を開くたび
 僕の心は罪の意識で悩まされる
 薄桃色は白く輝き
 僕は足元に散らばる花びらを見た
 人に踏まれ空での輝きは無くなっていた
 夜空に輝く桜の花より
 君の方が美しかった
 僕は地面に潰れている花びらより汚い
 今僕は二人で歩いてるよ
 君じゃない人と...作り笑いを浮かべて

 もう見て泣かないって決めたのに
 今年も桜の季節はやってきた
 桜の花に涙は見せたくなくて
 花びらをつまんで眼をおさえた

  霧涙

 手探りで進む僕の前に
 何が出てくるんだろうか
 この深い霧の向こうには
 何が待っているんだろうか
 霧は晴れることなく
 音すらも霧によって消されていた
 僕を支えてくれてた仲間とも
 今ははぐれてしまってもう逢えない

 信頼という言葉が
 霧の中に消えていく
 誰かを信じて頼る事はもうできない
 誰か本気で信じられる人が来るまで
 僕は心を閉ざす...何も話さない
 これからすぐには現れないと思う
 僕が信頼する人は...

 誰にも見せられない涙を
 霧の中で声を出さずに流した
 霧がさらに深く感じた

  木古 シ戻

 夜7時 僕は泣いた
 君の言葉が嬉しくて
 ずっとずっと泣いていた
 今までの憂鬱が
 星の輝きで消されたような気がする

 夜9時 僕は泣いた
 電話が一言も喋らなくて
 ずっとずっと待っていた
 時間だけが僕を抜かし
 月の光だけが僕を見ていた

 朝8時 僕は泣いた
 君の姿がなくて
 ずっとずっと探してた
 外は雨が降り続き
 雷は僕を脅かした

 哀しくて君に逢いたいのに
 僕の涙はもう枯れ果てた
 毎日泣きたいことばかりで
 笑える日なんてなかった
 涙はもう出ない
 でも...まだ泣き足りない

  夏涙

 向日葵が咲いている
 太陽が燃えている
 でも君の涙に勝てはせず...
 向日葵の黄色も霞んで見えず
 太陽の赤も鮮やかでなかった
 君の涙の前ではすべてが淋しくなった

 夏の空の下で大きな声で叫んでいた
 その声が聴こえていたから
 君の白い運動靴が砂で茶色くなっていた
 それが見えていたから
 君の涙が僕の心に落ちた
 ただすれ違っただけで
 君の気持ちもよく解からなかった
 でも...僕も泣いてしまった
 何故かは解からない
 泣く理由なんてなかった
 ただ......君の悔しさを感じたから

 背の高い向日葵を蹴飛ばしても
 夏の太陽に石を投げても
 この涙が治まるわけじゃないけど
 こんな気分のときに
 馬鹿みたいに明るい夏を感じて
 急に夏が嫌になった

  乾涙

 哀しいのに涙は落ちなかった
 淋しいのに涙は流れなかった
 いや...涙は出たはずだった
 でも感触がない
 泣き声はあげていた
 目が熱くなるのも感じた
 でも頬に水滴が感じられなかった

 嬉しすぎて泣きそうになった
 感動して涙が出そうになった
 でも...涙はいくら待っても零れてこない
 手で目を覆っても
 空を見上げていても
 頬に水滴が感じられなかった

 もう乾いてしまったのか
 もう涙は出ないのか
 つまらないことで涙していたあの頃が
 今になって思い出してくる
 もっと大切に涙を使ってれば...
 無理なことばかりが頭をよぎる
 泣けない自分が淋しくて
 哀しい顔だけはしていた......

  去涙

 別れの言葉が喉まで来てるのに
 君を目の前にするとやっぱり出てこなかった
 絡んでた指が離れ
 その手を使って君に別れるのは
 やっぱり嫌だった
 君は僕に触れた逆の手を僕に振った
 まだ君の温もりが手のひらにあって
 僕は君にその手を振りたくなかった

 君の後姿なんかもう既に見えなくなっていて
 足音だけが地面に響いていた
 君の体温を手のひらに感じ
 未だ覚めない君の魔法に
 僕は去った君を想って涙を零した
 涙を落とせば魔法が解ける...
 そんなコトもなく
 僕の手に残った感触はずっとずっと消えなかった

 手を洗うと君まで流されそうで
 僕は帰っても自分の手を見つめるだけだった
 この手で君と...
 自動ドアの向こうに消えた君が
 また僕の眼の奥に甦った
 洗面所の蛇口は捻りっぱなしで
 鏡には僕の泣き顔が映っていた...

  暖涙

 1ヶ月の記念日を
 君は覚えててくれたんだね
 電話の向こう側の君の声が
 手の届くところにあった
 もちろん僕は知ってたけど
 まさか君が知ってるとは思わなかった
 電話の何気な一言が嬉しくて
 君の声が聴こえなくなるほど
 涙を流してしまった

 頬を伝う涙は暖かかった
 君の温もりまでもが
 涙に含まれていそうな気がした
 涙に映る君の声が優しくて
 一度は止まった涙がまた流れ出した
 夏の夜中はまだ蒸し暑くて
 それに君の電話もあったから
 その日の夜は瞼が閉じなかった
 いつまでも声の残響は鳴り続け
 僕の目は渇くことはなかった

 たった1ヶ月でも
 いろんな事がありすぎた
 想い出は1年分以上もあって
 保存しきれないほどまでになった
 でも君のことで泣いたのは
 たぶん初めてだったよね
 久しぶりに流した涙が
 こんなに暖かかったなんて
 ずっと忘れてた......




Back to POEM