ぶらんこ

 あそこのこうえんには
 ぶらんこしかなかった
 べんちもすべりだいもすなばもない
 でもぼくはすきだった
 よるのしずかなくうきにひびく
 かなぐのこすれたおとも
 いつもつめたいくさりもすきだった

 ぶらんこゆれる ぼくをのせて
 がいとうよりたかく
 となりのきよりたかく
 あのほしよりたかくゆれる

 ちいさいころからかわっていないこのふうけい
 ひとりでぶらんここいでると
 いつもきみがはなしかけてきた
 あのときも いまも...
 ぼくらのこえはほしよりもかがやいていた

 ぶらんこゆれる ぼくをのせて
 まえのこんびによりたかく
 となりのまんしょんよりたかく
 あのほしよりたかくゆれる




  春に

 空気が薄く恋の色に染まりだし
 周囲との変化に自分だけが取り残されている気がした
 友との別れにももう涙は果て
 ただ風が僕らの間を流れていた
 それでも...春に何かを求める

 それはいったい何であろうか
 それはただの夢なのだろうか...

 無理して自分も恋色にまみれ
 周囲の変化に自分まで変わろうとする
 それは...春の訪れのせいなのだろうか
 ふと輝きはじめた桜の樹が目に入り
 また肌に風の香りを感じた




  ハーモニカ

 雨の日だった
 ものすごく低い空が
 学校の先にひっかかり
 何時までも哀しい雲は
 頭の上を迷っていた

 片足の老人が
 昔の事を懐かしむかのように
 時々目を細め
 優しくハーモニカを吹いていた
 何十年も前の知らない曲に
 何故か涙がこみ上げてきた

 それは雨の日だった
 響くハーモニカは
 老人の人生を静かに語っていた
 屋根に当たる雨までもが
 想い出に浸り
 お辞儀の後松葉杖で帰る彼を
 ちょっと雨を弱めて
 見送っていた...
 椅子の上に忘れてあったハーモニカが
 何時の間にか光るのをやめ
 滲んで消えていった......




  
White

 何もかも白く染めて
 何もない世界に在りたい
 心もみんな白に浸し
 何もない自分で在りたい

 白い雲は高く
 白い鳥は美しいけど
 僕を染める白には何もない
 記憶を消し...感情を消し...
 時間を消し...他人を消し...
 白い花は淡く
 白い花は鮮やかだけど
 僕を包む白には何もない
 ...何もない

 何もかも白く染まり
 何もない世界に在る
 心もみんな白に浸し
 何もない自分で...在った

next~