恋涙
どんなに哀しくても
どんなに切なくても
決して涙を見せてはなりません
貴方の涙が
多くの人の支えを奪うのですから
どんなに負けそうになっても
どんなにくじけそうになっても
決して涙を流してはなりません
貴方を想い考えている人の心を
涙で浸すことになるのですから
貴方は
常に笑顔でいなければなりません
それが
人々が貴方に貼り付けたレッテルなのです
貴方の涙には
貴方の為に流された涙が
貴方を想う人の涙が混ざっています
だからお願いです
僕の前で涙を零さないで下さい
貴方の涙を望む人は
一人もいません
だから……
お願いです……
もうそんな顔は見せないで下さい
ずっとずっと微笑んでいて下さい
いつまでも……
いつまでも……
闇涙
君は僕の前を
笑って通り過ぎた
何度も振り返り
馬鹿にしたように……
もう誰にも頼れない
夢にまで見る君の姿
でも今夜で終わり
独りの夜は
涙に消えていく
周りを見ると
いつの間にか静かな闇だった
僕は光もない
支えもないまま
手探りで進んでいく
もう誰にも頼れない
君とはこれから
出会うことはないだろう
独りきりの夜は
涙に流されていく
雲涙
広い野原に寝ころがって
二人で空を見ていた
青いキャンパスを
白い雲が泳いでいた
何処に行くとも決めずに
ただ周りに流されて……
自分の気持ちに素直になれない
僕の心は青い空を漂っている
方向を変えることも立ち止まることも
認めてくれない周囲の波は
僕の目から涙を呼ぶ
この涙もやがて空に昇り
雲となる
自分の涙でできた雲を見つめ
僕はまた涙を落とすだろう
君に信じてもらえるまで……
この空に雲がなくなるまで……
裏涙
いつも明るくて
馬鹿騒ぎしてて
でも本当は苛立つときもある
自分の本心はひた隠しにし
絶えず無理な笑みを浮かべていた
第一印象と全然違うって
誰もが口を揃えて言うけど
それは一枚目の猫のコート
ほんとはどうしようもない奴で
人を平気で悩ませて...
君の本当の姿なのかい?
そうじゃないだろう...
ほんとは独りが恐くて
誰かに支えてもらってないと
立っていられなくて
そんな姿がみっともなくて
ずっと隠してた
元気なお面を被った
しかめっ面のお面の裏には
すぐ泣く君がいた
隠さなくていいよ
君のこと知り尽くしている
何故なら君は鏡に映った僕自身なのだから......
桜涙
もう見て泣かないって決めたのに
今年も薄桃色の花に君が映った
桜並木を頭に感じ
花の隙間から洩れる太陽の光に
僕は目を細めた
枝を掴んで花を眺める
感動の前に哀しみが溢れる
君と歩いた桜のトンネル
今僕は二人で歩いてるよ
君じゃない人と...花を見てるよ
桜の花が風に揺れるたび
僕の心で君への償いの気持ちが動く
桜の蕾がその口を開くたび
僕の心は罪の意識で悩まされる
薄桃色は白く輝き
僕は足元に散らばる花びらを見た
人に踏まれ空での輝きは無くなっていた
夜空に輝く桜の花より
君の方が美しかった
僕は地面に潰れている花びらより汚い
今僕は二人で歩いてるよ
君じゃない人と...作り笑いを浮かべて
もう見て泣かないって決めたのに
今年も桜の季節はやってきた
桜の花に涙は見せたくなくて
花びらをつまんで眼をおさえた