Stevie Nicks & Friends
('00/9/23@America West Arena - Phoenix, AZ, USA)

*写真はこちら

アメリカ・フェニックスのAmerica West Arenaで開かれた、The Wells Fargo Stevie Nicks & Friendsを見てきました。このコンサートは両親や兄弟が心臓病を患ったことのあるStevie NicksがArizona Heart Institute Foundationの研究資金を集めるのを目的として開かれたチャリティ・コンサートで、Stevieが彼女に最も近い"friends"達を集めて共演するという一夜だけの特別なイベントとなりました。中でも最大の話題は昔の恋人で'97のFleetwood Macの再結成ツアー以来となるLindsey Buckinghamとの共演で、会場内は終始Lindseyの登場に対する期待感が溢れていました。Lindsey以外にもSheryl Crowを始めとしてChris Isaak, Don Henelyが出演するとアナウンスされており(Mick Fleetwoodも参加すると言われていたが結局出演はしなかった)、Stevie & Fleetwood Macと最初の3組が大好きな私(Stevieは2回目、Sheryl、Chris Isaakは今回ので共にアメリカで3回目、Lindseyは初)は見に行くことにした訳です。

1万5千人入るという会場はバスケットボールのコートに使われることもあってアリーナに当たる部分の面積は非常に小さく、1階席に当たる部分の高さも低くて1階の左側2ブロック目の10列目(ステージからの距離はアリーナの13列目相当)というロケーションでも非常に見やすかったです。会場に入ると全員にArizona Heart Institute Foundationの季刊誌(表紙はStevie Nicks)、薔薇(私は白をもらった)一本とペンライトを配っていました。

セットリストは以下の通りで、2時間20分強のステージでした:
1. Outside the Rain
2. Dreams
3. Enchanted
4. Gold Dust Woman
5. Everyday is A Winding Road (with Sheryl Crow)
6. My Favorite Mistake (Sheryl Crow)
7. The Difficult Kind (with Sheryl Crow)
8. Stand Back
9. Leather and Lace (with Don Henley)
10. Boys of Summer (Don Henley)
11. Rhiannon
12. It's Late (with Chris Isaak)
13. Solitary Man(with Chris Isaak)
14. Baby Did A Bad, Bad Thing (Chris Isaak and Sheryl Crow)
15. Big Love (Lindsey Buckingham)
16. Go Insane (Lindsey Buckingham)
17. Landslide (with Lindsey Buckingham)
18. Gypsy (with Lindsey Buckingham)
19. Edge of Seventeen
(Encore)
20. I Need to Know
21. Has Anyone Written Anything for You?

*特に表記がないものはStevie Nicks Bandによる演奏

予定の8時を10分ほど過ぎた頃に暗転し、Stevieの父親でArizona Heart Institute Foundationの会長を25年間務めたJess Nicksが登場してStevieを紹介し、コンサートは始まりました。まず演奏されたのはOutside the Rainで、Stevieがマイクをコーラスのと間違えて歌い出しをミスるというアクシデントがありましたがメドレー形式でFleetwood Macの代表曲の一つDreamsに繋がり、会場はいきなり盛上がります(でもLindseyはまだ)。そして次のEnchantedあたりからStevieのエンジンがかかってきた感じで、動きも多くなってきました。Gold Dust WomanではStevieのシャウトも聞けてSheryl Crow & Friendsの時より良い出来だったと思います。またギタリスト(Lindseyではないが)との絡みや彼女独特のくるくる回転する踊りも見せてくれました。Stevieバンドはギター2人、ベース、ドラム、パーカッション、ピアノ、キーボードにコーラス2人の9人編成でした。

ここで一息ついて会場から"Lindsey"との掛け声が盛んに飛ぶ中、Stevieの紹介を受けて最初のゲストSherylがギターを持って登場!Sherylは黒の薄手のシャツに紺のジーンズでへそ出しルックでした。Sheryl登場後の最初の曲はEveryday is A Winding Roadでこの曲は知っている人が多いのかイントロからしっかり盛上がりました。Stevieはタンバリンを持ってサポートしつつもSherylの側で時々Sherylの方を見てデュエットしていました。来日公演でも見られたSherylのあの踊りも少し披露されましたが"high", "low"の掛け声はStevieのファン(リアルタイムファンが多いので平均年齢はちょっと高い)が主体ということもあってイマイチだったかも。そしてStevieが一旦下がってMy Favorite MistakeがほとんどSherylのソロで歌われました。イントロで(ちょうどThe Globe Sessionsのツアーポスターのように)うつむき加減でギターを弾くSherylの姿はかっこいいの一言。そして再びStevieが登場してThe Difficult Kindが演奏されました。この時も時々StevieとSherylのデュエットがありましたが、StevieにSherylを引き立てる配慮が感じられました。この曲の演奏後二人はしっかりと抱き合って(撮り損ねた!)SherylがStevieに付き添われて退場していきました。この日のSherylは喉の調子も良く、特別なイベントということで終始笑顔が溢れていてとても魅力的でした。いままで何回か共演している2人ですが、それらはビデオなどでしか見たことがなかったため二人の共演を生で見るのが一つの夢だったので、実際に見られてとても感激しました。なおStevieのSherylを紹介する言葉によると、来年初頭に出る予定のStevieのアルバムには6、7曲Sherylによるプロデュースの曲が入るらしいです。

Sheryl退場後、Stevieバンドによって1曲、Stand Backが演奏されました。Stevieのソロで屈指の知名度を持つこの曲はEveryday is A Winding Roadを思わせるパーカッシブなイントロで始まり、バンドが一体となった演奏で非常に良い出来で、一度は静まった会場をまた盛り上げました。その興奮覚めやらぬうちにStevieのソロ第一作からLeather and Laceが演奏され、途中からはこの曲をアルバムでデュエットしているDon Henleyが登場し、一段と会場は盛上がりました。Stevieは「'76からつきあいがある」というDon Henleyの方を見ながらデュエットしてました。Stevie退場後、Donはソロでの代表曲Boys of Summerを(楽器はエレクトリックだがアレンジが)ちょっとUnplugged風な演奏で歌ってました。

StevieがDonに付き添って退場後、ピアノのソロにつづいてStevieの名刺代わりの曲、Rhiannonが演奏されました。この曲では力強いStevieのシャウトがふんだんに聞かれ、(Mick Fleetwoodではないものの)力のこもったドラムも良かったです(あとはLindseyのギターさえあれば。。)。この後またしても"Lindsey"の掛け声が飛ぶ中今度はChris Isaakが登場!Stevieへ挨拶のキスの後、赤のキラキラのスーツ姿のChrisはまず自己紹介代わりのジョーク。そしてStevieが4、5才の頃におじいさんに聞かされたというオールディーズ・ナンバーIt's LateをChrisとデュエットしました。私は曲そのものは知りませんでしたが、Roy Orbisonを敬愛するChris Isaakにはおあつらえ向きの、楽しい演奏でした。この後Stevieが話そうとするのを遮って(二人のやり取りはなんか漫才やってるみたいだった)Chrisが「二人の馴れ初め」を話し始めました。それによると出会ったのは'77で当時StevieはHappy、ChrisはEarlieと名乗って小さなクラブで時々一緒に演奏していたとのこと(もちろんジョーク)。そしてChrisのソロでSolitary Man(4作目のSan Francisco Days収録)が演奏されましたがちょっと意外な選曲。けどChrisは声も良く伸びていて良かった。この後Stevieが「15分の予定なんだから30分演奏しないでね」と注意をして下がり、その後しばらくChrisが得意の軽口(主に女性向け?一人で来てる人は11時半にセブンイレブンで待っててね、だって)をした後、5作目Forever Blueの1曲目で映画Eyes Wide Shutに使われたBaby Did A Bad, Bad Thingが演奏されました。低音で呟くようなイントロから一転してハイトーンで歌われる瞬間がやっぱりかっこいい。そして驚いたことに途中でSherylが登場!Chrisとマイクを分け合ってデュエット(これも自分にとっては夢のデュエットと言える。二度と見られないでしょう)を聞かせてくれました。SherylはChrisが歌っている最中に下から匍匐前進して(笑)Chrisに迫るお茶目な仕種をしたりして会場を笑わせていました。様々なポーズを取って演奏するChrisのギターもたっぷりと聞けました。

そして嬉しそうな表情のStevieの紹介を受けて遂にメインゲストのLindseyが登場すると会場はスタンディングオベーションで彼を迎えました。Lindseyは紹介の後離れようとしたStevieの手を握って引き寄せつつ(この時Stevieの目には涙が溢れていたらしい)、フェニックスが自分にとってどれだけ重要な存在であるかを語った後、The Danceの時のように一人でBig Loveを演奏し始めました。会場内の誰でも知ってるであろうこの曲ではLindseyならではのエキセントリックさを感じさせる演奏がたっぷりと聞け、結局生でFleetwood Macのコンサートを見られなかった私はThe Danceでの演奏を脳裏に思い浮かべながら聞いていました。最後の掛け声はいつもより2回多かった(気がする)。そしてもう1曲、Lindseyが一人でThe Danceでもやはり演奏されたソロ第2作のタイトル曲Go Insaneを演奏しました。

その後Stevieが出てきてLindseyと二人だけで、この曲のモデルとなった亡くなった友人に捧げると言ってLandslideが演奏されました。演奏中、Stevieは終始Lindseyの方を向いて、時々二人の目は合っていました。そしてStevieの「Lindseyとはこういう形で演奏したことなはい」という言葉の後、Stevieバンドのギタリスト二人が出てきて4人でGypsyが演奏されました。この曲を録音した時より大分声が低く、ハスキーになったStevieですが、やはりこの曲にはStevieの魅力が溢れていて、Christine McVieのキーボードの不在もLindseyのギターが埋めていてとても良かったです。個人的に最も敬愛するこの曲は'98のソロツアーでは歌われなくて残念だったのですが、それがこれから先もまずないであろうこのような形で演奏されたので、文句無しにこの曲がこの日のベストトラックとなりました。この曲の後、LindseyはStevieにキスをしてステージを後にし、Stevieも彼に続いて一旦退場しました。パーカッションとドラムによる長い白熱したイントロの後Stevieが再登場してEdge of Seventeenが演奏され、会場総立ちのなか本編は終了しました。

しばらく間が開いた後バンドが再登場し、アンコールで2曲演奏されました。1曲目のI Need to KnowではStevieは思いっきりロックしてる歌いっぷりで、最後のStevie自身のお気に入り曲、Has Anyone Ever Written Anything for You?ではピアノの演奏を基調にしっとりとした演奏で締めくくってくれました。この後オールスターで再登場してもう1曲やるかと思いきや、みんな出てきたものの全員で1列に並んで挨拶(SherylはStevieの隣あたりにいた)をして終わりで、最後は意外とあっさりしていました。退場時に一番先に歩いていたStevieの肩にステージ端にいたChris Isaakが手を掛け、そしてSherylはLindseyと肩組みながら退場していきました。

一度にこれだけ自分の好きなアーティストが登場するだけでも凄いのに、見ることを諦めていた共演も見ることが出来てこのイベントは大変思い出深いものとなりました。

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