Daryl Hall John Oates: Live in Canada '05
9/5@ Salle Wilfred Pelletier, Place de Arts (Montreal, Quebec, Canada)
9/6@ Ottawa Civic Center (Ottwa, Ontario, Canada)
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カナダでのHall & Oatesの単独公演2つを見てきました。ここ数年は頻繁に来日してくれるし、アメリカではジョイントツアーが多かったこともあって、来日公演だけで満足していたのだけど、今年の来日公演があまりに良かったのと、Our Kind of Soulの収録曲を聞けるうちにもっと見ておきたいという気持ちがあって、来日公演直後に今年はひさしぶりに海外の公演を見に行こうと決めていました。でも、すくなくともここ数年はアメリカに行くつもりがないのと、やっぱり単独公演が見たいので、カナダの2公演−モントリオールとオタワ−を選んだのでした。結果的には、DarylがLyme病にかかってキャンセルが相次いだにも関わらず、その影響を受けずに済んだのは幸いでした。また、内容的にも十分満足できる物となりました。
8月後半はTodd Rundgrenとのジョイントツアーでしたが、今回の2公演は単独公演。それでも北米のコンサートなので前座はいて、今回はFunk Brothersでした。Our Kind of Soulに収録のモータウンクラシックスにももちろん関わっている人たちなので、共演をひそかに期待していたのですが(特にStanding in the Shadows of Love)、、残念ながら共演はありませんでした。それにしてもFunk Brothers、映画"Standing in the Shadows of Motown"のエンドクレジットでもメンバーが映画製作中に亡くなったことが紹介されていましたが、いまは3人(ベース、ギター、ドラムス)だけなんですね。。。今回12人編成という大所帯のバンドでしたが、当然そのほとんどはバックアップのメンバーで、またオリジナルメンバーにシンガーはもともといないので、男性1人、女性2人のシンガーが代わる代わるボーカルを取っていました。ホーンセクションとセカンド?ドラムの音がやや目立ったのが気にはなりましたが、演奏はかっちりまとまっていて良かったです、歌を除いては。歌は単なるお飾りの人達なので(オリジナルシンガーはもちろんこの場にいないし)、もともと歌には期待していなかったのですが、3人とも並のシンガーでした。。。男性シンガーは良きエンターテイナーでしたが、、、女性シンガー2人のうち大きい方は声を張り上げるばかりでDarylのような感情表現は望むべくもなく。。。もう一人の女性シンガーはまだまともでGladys Night的な歌声だと思ったのだけど(でもこの人がNeither One of Usを歌った訳ではない)、曲によっては歌声が単調になってしまっていたのが残念でした。この2日間でGet Ready, What's Goin' On?, Neither One of Usとかも歌われたのだけど、いずれも「Darylに歌わせて!」と願わずにはいられませんでした。。。Darylとくらべるのがそもそも無理があるのだろうけど、、、What Becomes of the Broken Hearted?もPaul YoungやJoan Osborneの歌声を思い浮かべながら聞いていました。。。でも、観客の受け、または反応はとても良くて、特にオタワ公演ではHall & Oatesの時よりも盛り上がっている人が周りにいました。
○モントリオール公演
Funk Brothersが40分弱演奏した後、ほんとうなら30分ほどでHall & Oatesの演奏が始まる予定だったそうですが、機材のトラブルがあったとかで("technical glitches"と言ってた)、さらに10分かかるとアナウンスがありました、そういえばホールの開場も遅れたし(本来の開演時間にやっと入れた)、Funk Brothersが登場する前に不快な破裂音がしたよなと思って待っていたのですが、実際にはさらに10分遅れて、結局Funk Brothersが終わってから50分も経ってから幕があきました(こんなに間が空いたら前座の意味ないよね、、)。幕が開いてみると、そこにはDaryl & Johnを含むバンドメンバーが勢揃いしていて、ちょっとひねた話し方でDarylが「技術的問題があったとか言ってたけど、何が起こったのか知らないんだ。何が起こったか話してくれなかったからね。」などと言ってました。Funk Brothersの演奏時には特に音響面の問題は感じなかったのだけど、結局なんらかの問題があっていつもとはちょっと違うコンサートとなりました。Daryl, JohnとT-Boneの3人は前に一列に並んで椅子に座っていて、JohnとT-Boneはアコースティックギターを抱えて(Darylが持っていたのはエレキギター、、)、コンサートの前半は3人が椅子に腰掛けながらUnpluggedライクなスタイルでの演奏となりました。Johnは全編アコースティックギターで演奏していたのに対し、T-Boneは途中(She's Goneのあと?)でエレキに持ち替えたのだけど、全体的にアレンジがいつもとは一味違っていました。また、時間的にはやや短かったですが、新旧うまく取り混ぜて構成的にとても良かったと思います(本当ならもっとOur Kind of Soulの曲を聴きたいところですが、この構成なら文句はありません)。
まず最初の2曲はAcoustic Powerツアーを思わせる演奏で、とても新鮮に耳に響いてきました。リクエストに応えて演奏されたMe & Mrs. Jonesでは椅子に座りながら歌っていたDarylが次第に熱が入ってきて途中からは中腰の状態になって熱唱していました。このあとDarylがAbandoned Luncheonetteについて触れたのでShe's Goneかと思いきや、Las Vegas Turnaroundが演奏されたのは嬉しい驚きでした(Johnの歌声がたっぷり聞けました)。続いてOur Kind of SoulについてDarylがあらためて言及した後、その中からの2曲が演奏されて、新作に伴うツアーだという意識がDarylにちゃんとあることが確認できて安心しました :- )。You Are Everythingは、来日公演のときとちょっと違うと思いながら聞いていたのですが、この日はDarylがファルセットの部分をしっかりコントロールしながら歌いきっていたのがその理由でした(来日公演ではJohnやT-Boneのコーラスとの掛け合いで、ファルセットはあまり使ってなかったですよね)。そしてこの日なんといっても一番印象的だったDo What You Want, Be What You Are。この曲もやはりややUnpluggedなスタイルで、ストリングス主体で気だるい雰囲気を持つオリジナルバージョンとは違ってややジャジーなアレンジでした。Darylも声量やピッチをむやみにあげることなく、抑えの利いたスムースな歌声で、いまのDarylだからこそできる表現をしているとあらためて思いました。"You can change..."の部分でDarylとJohnのハーモニーが聞けたのも良かったです。個人的にはここらへんで(特にI'll Be Aroundからの3曲で)すっかり心酔した状態となり、今年の来日公演での渋谷のときに近い状態になりました。。。このあとはいつもの展開になったのですが、あまりの歓声のすごさに当初予定されていなかったと思われる3回目のアンコールが行われ、ひさしぶりにSo Closeが聞けたのは嬉しかったです。この曲、最近演奏されることがほとんどなくなってしまっていて、つねづねまた聞きたいと思っていただけに、途中まではほぼストリングス系だけの演奏で最後の最後にドラムスやキーボードも入ってくるというまさにUnpluggedなスタイルで(※Darylはエレキ持ってましたが、、)演奏されたこの曲は、この日のコンサートを締めくくるのにぴったりでした。
コンサートの途中で、観客の反応に気を良くしたのかDarylが来年は半分アコースティック半分エレクトリックでのツアーを考えてるみたいなことを言ってたように思うのだけど、実現しないかな、、、
9/5@ Salle Wilfred Pelletier セットリスト
1. Maneater
2. Say It Isn't So
3. Do It for Love
4. Me & Mrs. Jones
5. Las Vegas Turnaround
6. She's Gone
7. I'll Be Around
8. You Are Everything
9. Do What You Want, Be What You Are
10. Sara Smile
11. I Can't Go for That (No Can Do)
(Encore 1)
12. Out of Touch
13 You've Lost That Lovin' Feeling
(Encore 2)
14. Kiss on My List
15. Rich Girl
(Encore 3)
16. So Close
(演奏時間:1時間40分)
モントリオールの観客は、Funk Brothersのときから暖かい反応を示していましたが、20数年ぶりの公演(らしい)ということもあるのかDaryl & Johnに対して終始良好な反応で、とても熱かったです(渋谷公会堂の観客と遜色ないくらい)。会場は4階席までありましたが、ほぼ満員に思えました(1階の真ん中くらいだったので上の階はよく見えなかったけど)。特に凄かったのが2回目のアンコールの後で、一度はもう終わりという雰囲気になったのですが(実際帰ってしまった人は結構いて、そのおかげでほぼ中央の席に移動できた)、しばらくたってからどこからともなく歓声があがって、それが次第に大きくなり、そして会場一丸となっての歓声となって、ふたたびDaryl & Johnを引きずり出してしまったのはなかなかできない体験でした。
○オタワ公演
この日はFunk Brothersが良好な反応(モントリオールのときよりさらに盛り上がりました)に気を良くしたの、かモントリオール公演よりも多くの曲を演奏し、55分ほども演奏しました。その後特に問題なく30分ほどしてPick up the PiecesがかかってMCの紹介があり(そういえばモントリオールではどちらもなかった)、バンドメンバーに続いてDaryl & Johnが登場してコンサートが始まりました。この日はフルエレクトリックな演奏(Johnは数曲でアコースティックギター持ってましたが)で、とても盛り上がったFunk Brothersの演奏に影響されたのか、Darylも元気いっぱいでした。実際、DarylはFunk Brothersに対抗心?があったのか、Tommy Belle, Gamble & Huffなどと一緒に働いていたことを紹介して、自身のことを「フィラデルフィアのFunk Brothers」みたいなもんだと言ってました(笑)。
フルエレクトリックということで、アレンジ面では来日公演のときと同様で、驚くようなことは特にありませんでしたが、この日はリクエストに応えて演奏された曲が印象的でした。まずIt's a Laughは、個人的には実際にこの曲をライブで聞いたのは初めて。JohnやT-Boneのコーラスはほとんどなく、Darylが一人で歌いきったかたちとなりましたが、Darylはさっぱりした表情で気持ち良さそうに歌っていました。Me & Mrs. Jonesは、Darylは立ちっぱなしで歌ったこともあってか、モントリオールのときと違って熱唱というにふさわしかったです。またリクエストでRock Steadyが演奏されたのも嬉しかったです。この曲、自分の後ろの列の人がしつこくリクエストしつづけたおかげで歌ってもらえたのですが、新作の曲をリクエストで歌えるのが嬉しかったのか、Darylはとても楽しそうに歌ってました(観客の反応はいまいちでしたが、、)。あと、この日はOne on Oneと、渋谷公演以来にOoh Childを聞くことができたのがうれしかったです。アンコールの2回目は日本公演のような構成でしたが、Kiss on My Listでコーラスのところで少し変化をつけていたのが新しかったです。アメリカでもPrivate Eyesをまた抵抗なく演奏できるようになったのは日本での印象が影響を与えているのかもしれないですね(そういえばRock'n Soul Liveが収録されたのはモントリオールでした、あそこまで手拍子は揃わなかったのですが)。モントリオールでもそうでしたが、Darylが演奏中や曲間にJohnと何回も話しながらステージを進めていたのが印象的でした。
9/6@Ottawa Civic Center セットリスト
1. Maneater
2. Do It for Love
3. Say It Isn't So
4. It's A Laugh
5. Me & Mrs. Jones
6. I'll Be Around
7. One on One
8. She's Gone
9. Rock Steady
10. Sara Smile
11. I Can't Go for That (No Can Do)
12. Ooh Child
(Encore 1)
13. Out of Touch
14 You've Lost That Lovin' Feeling
(Encore 2)
15. Rich Girl
16. Kiss on My List
17. Private Eyes
(演奏時間:1時間43分)
今回、グッズ類の販売がまったくなかったのが意外で、唯一の心残りです(特にInstant Liveがないのが、、)。
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