イタリア日記
〜 Roman Workingday 〜

2005/Jun/02

ローマ(7日目/「連休初日」)


終戦記念日。

うだうだしてたら、 ホテル上空を戦闘機の爆音が。
って、 中央林間に行けばいつだって見られるけどね。

結局ホテルのテレビをチェックしてたら、 パレード風景を放送していた。 しばし見入る。
観覧席にはお偉いさん方。 その前をジープに乗った軍人さんが、 勲章ぶらさげて通過。 とか、 正装した軍楽隊とか。 そんなんばっか。

戦車は?
石畳で戦車は無理じゃろと眺めてたら、 ローダーに乗っけて登場。
ち。 行けばよかったか。

てゆーかさぁ、 敗戦国でしょ? しかも、 一番最初にあっさり負けちゃってるし。
独裁政権から解放されて民主化されたってか? その政党を支持したのは民衆でしょうに?
  • ひたすら謝罪してきたドイツ
  • 謝りはしつつも、 国内の右翼に遠慮してか、 なんとなく歯切れの悪い日本
  • あっけらかんと忘れちゃったイタリア
おめでたい、 というか、 いい性格してるよ。



出遅れまくったが、 12:00のバスに乗ることにする。
「今日、 市内までは行かんよ。 地下鉄の駅までの送迎。」
ここで少し気が萎える。 13年前、 つるんだ連れが地下鉄車内でかばんを切られて中身を盗まれかけたことがあったのである。 わんさか群れてくるジプシーのガキもいたし、 ローマにはうんざりしてオリンピック直前のバルセロナに移動したのであった。

E.U.R. Maglianaに下ろされる。 切符買って、 どのホームか迷って、 落書きだらけの薄汚い地下鉄に乗って、 コロッセオを目指すも、 車内放送でコロッセオがどーたらこーたらイタ語で言っているのを、 「パレードでコロッセオ付近が混雑しているので、 停車せず通過します」と告げているのだと推測、 手前のチルコマッシモで降りる。

正解。
パレード終了後の騎馬隊の集結地点であった。
鞍を下ろしたり、 着替えをしたり、 その周りを子供が取り巻いてたりする図を撮る。

のどかなチルコマッシモからヴィットリオエマヌエーレ2世記念堂方面へ、 散歩写真を撮りながら向かう。
けどなぁ、 なんかおっかしいなぁ。
ISO100のフィルム。 晴天。 f8まで絞れば、 だいたい1/250秒ってとこじゃないか? なのに御神体は1/4000秒で切ってくれている。
露出計いかれたか?
はたまた・・、 あ、 パトローネのDXが読み取れてないとか?
感度設定をDXから100に変えてみる。
・・・妥当な値を示すじゃないのさ。

ちうことは、 はい、 騎馬隊の休憩風景は全滅。 オートなカメラはこれがあるから怖い。



パレードはすっかり終わっていた。
なにしに来たんだか。 トラヤヌスの市場前の木陰でぼんやり。
トイレ・・・。 探すんか。 あぁうざい。
と、 視界になにやら青いボックスが。 もしかして?
パレードの観客相手に設営された移動式トイレじゃないですか?
おかげさまで救済されました。 歩けるようになりました。

てなわけでさてどこ行こ。
お店も閉まっているであろうがとりあえずコンドッティに向かう。 トレビ、 スペイン広場と来て、 ああやっぱり閉まってる。 じゃあどこに行く?
とガイドブックをぺらぺら。
ランボルギーニ・ショールーム。 ・・・行くか。



スペイン階段を上ったところの通りをどんどこ下っていけば到着する。
スペイン広場に引き返す。
相変わらずごった返している。
と、
「ノカータ」
またかよ。
「ノカータ」
手で「分かったよ」と合図すると、 一人が寄ってきた。
で、 右手をつかんで指に糸を絡めてくる。
「?!」
「まぁまぁ」
みたいな感じであっという間にミサンガ完成。
「25ユーロ」
「ざけんな。 要らん!」
「じゃあいくら?!」
2ユーロコインをくれてやる。
「のーのー」
うざい。 つかこの場から立ち去りたい。
1ユーロコインをくれてやって立ち去る。
スペイン階段を足早に登り、 高台から街を見渡すこともせず、 右手首に結わえられた、 緑・黄・白の糸を恨めしく睨む。
やられた。
今までのナカタ攻撃の伏線があったとはいえ、 やられた。

ナカタは悪くない。 隙を見せた私が悪い。

恥辱のミサンガ: 3ユーロ。
二度と来るもんか、 なローマ:Priceless

この屈辱は忘れない。
そのためにも、 このミサンガは外さない。
いまどきミサンガ? と白眼視されようと、
その配色にセンスを疑われようと、
服装と明らかにミスマッチであろうと、
この屈辱のミサンガは外さない。

そして、 二度とこんな街には来ない。
結局、 あの頃となんにも変わってないんじゃん。
笑顔で近づいて、
同郷の選手の名前を使って、
人の心の隙をついて、
糸くずを売りつけるようなヤツがいる、
こんな街、
二度と来ない。

トレビの泉よ、 教えてくれ。
いったい何枚投げれば、 二度とローマに来なくて済むようになるんだ?



ふつふつと暗黒面を沸騰させ、 魔闘気すら帯びかねん心境で、 システィーナ通りを行く。
もうどうでもいいや、 てな感じでガラス越しにガヤルドを眺める。 ムルシィならまだしも、 ガヤルドかよ。 けっ。

地図を見るのも億劫。 てきとーに歩く。

クィリナーレ宮を横目に、 行列の理由を聞く気にもならず、 再び、 トラヤヌスの市場まで戻る。

仮設トイレで用を足して、 バス乗り場でしばし待ってみても、 今日はどうやら来ないらしい。

観光客でごった返すフォロロマーノに歴史ロマンを感じろというほうが無理、
これを迂回して、
傾いた日を映すテヴェレの流れを覗いて、
チルコマッシモで砂埃まみれになって、
地下鉄に乗る。



ホテルに戻り、 7時を待ってリストランテに。
ここのカルボナーラは悪くない。 ベーコンがしょっぱいんだけど、 まぁ、 アクセントと思えば思えなくもない。


いつもの年配のウェイターが笑顔で声をかけてくれる。

人を救うのは、 いつだってこういう笑顔だ。


ぼなのって。




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