イタリア日記
〜 Roman Workingday 〜

2005/May/30

ローマ(4日目/「仕事初日」)


通常、 9:00出社、 18:00退社。
だそうである。
8:10ごろ、 Taxiに乗る。
「びあれでらぐらんでみらーりあ?」

10分で到着。 あらら。

大きな通り。 ロータリーがあって、 ちょっとした広場があって、 それらを囲むように今様のビルが対面している。 携帯のアンテナをおったてたあのビルにうちのオフィスがあるんだろな。
一服したところで、 P氏に電話。
「5分ぐらいでいくよ」

15分ぐらい待ってると、 近寄ってくる人影。 P氏登場。

電話の声より若い。 ぎりぎりと握ってくる手を負けじと握り返し、 初対面の挨拶終了。
「かふぇえ?」
「(うっ、 まいっか)おっけ」
「朝飯食ってないからさぁ」
「あっそ」

近所のカフェ。
「どぅかふぇ」
「あ、 おれ払うから」
「ぐらーつぃえ」

はたして2個、 小さなカップが出される。 エスプレッソ。
うっ、 まじっすか。

緑茶のカフェインは一向平気。 何杯飲んでも寝られるんだけど、 コーヒーはダメ。 香りはいいんだけどねぇ。 ふつーのブレンドコーヒーですら、 思考がスキップするという形容が個人的にはふさわしい状態に陥ってしまう。
しかも目の前にあるのは、 さらに高純度のカフェインの液体。
砂糖を入れ、 ぐるぐるっとかき混ぜ、 一気にぐいっと!

にが。

「行くべか」
「(これが朝飯代わりかぃ?!)お、 おっけ」



大雑把にではあるが、 うちうちで方向性だけはつけてある。 客先がこれに乗ってくるかどうかは不明。 まぁ、 日伊比較みたいなもん。
乗ってくるように誘導すべきであるし、 ここから先の業務内容の詳細については、 たたき台を作ってその後のディスカッションで確定していくべきなのであろう。
幸い(?)、 メールアカウントもツールへのアクセス権も準備中とのことなので、 他にできることなし。



チェックすべきパラメータとかをざっくばらんにリストアップ。

ネットワークのパフォーマンスもお互い比較すべきだなぁ。 てことで、 どの指標に注目するかピックアップ。

でも、 そーゆーことやろうと思うと、 ツールとかデータベースとか提供してもらわんとなぁ。 それも書いとくか。

やってもらうことだけじゃなくて、 自分がやる宿題も整理して、
おいおい、 こんなにできるんかい? 時間限られてんねんぞ。
んじゃあ、 スケジューリングしないとね。

そもそも何のためのアクティビティかってところをはっきりさせないと、 客が食いついてこないんでないかぃ?
えーっと、 最新の日伊比較結果がメールボックスのどっかにあったなぁ。 あぁこれこれ。 ニッポン優秀だねぇ。 年季とコストが違うってことかねぇ。

でもさ〜、 パラメータの違いがなかったらどーする?
それが一番寒いよなぁ。
予防線、 張っとく?
はっとくはっとく。
ローマと大阪の地形的・土地利用区分的相違とか?
それいーじゃん。
細い路地を挟んでさぁ、 石造りのそれも5〜6階ぐらいある建物がさぁ、 びっしりあんだからさぁ、 電波入んないら?
つか消防車も入んないんちゃう?
大阪にも細い路地とかあるけど、 せいぜい木造2階建て、 モルタル3階建てってとこじゃない?
電波伝播的にはまだましだよなぁ。
それに、 ローマってけっこう坂多いし。
7つの丘で出来てるとか書いてなかったっけ?
7つはシェラトンじゃん?
それはそうだけど。
大阪もアップダウンあるでよ。
けどローマほどじゃないら?

あと、 ホットスポット!
世界中から人が集まる超有名スポット満載。
遺跡とか寺とか広場とか。
大阪はせいぜい天守とヨドバシってとこか。
通天閣は?
却下。

つかそーゆーのは旧市街じゃん? どこまでがローマなわけっつーハナシ。
それはG.R.A.って言われてたじゃん。
外環的な高速道路ね。
結構広いよねぇ。
どんくらい?
ネットで地図探せば?
おんなじぐらいの縮尺で大阪と比較してみっか。
って結構でかいじゃん! 東の端を生駒の麓とすると、 西は?尼崎?
北の端を中国道で区切るとして、 南は?堺?
げっ、 ざっくりRNC8台?
ローマは2台。
局数ダンチ。
・・・まぁ、 こっちはGSMあるし。
3Gのトラヒックはまだ少ないっつってたからなぁ。
それも確認せんとなぁ。
いやそれはパフォーマンス指標のところにメモったから。



「こーひーいかへん?」
「へ、 あぁ、 胃に来るから」
「まぁ来いや」

P氏のほか、 R氏、 イタ語ばりばりのロシア女性、 S嬢とお昼。 クルマで高台のリストランテへ。
ここから電波吹き降ろしたら、 干渉がすごいんだろうなぁ。
40Wとか言ってたしなぁ。
ほんまかいな。
それはまぁ、 データベース貰ってから確認ということで。
そこそこの味のパスタを食った気がするものの、 やっぱ、 みんなで食うってのは苦手。 一人にしてくれ。



夕方、 客の一人が寄ってくる。
「?」
「ハナシ、 できる」
「できますよ」
「何やってんの?」
極東から東洋人が来たのはいいが、 ディスカッションするでなく、 一人なにやらPCに向かっている。 ほんまに働いとるんかい、 という目。
「今後の業務内容を整理してます」
「6階で問題解析とか・・」
どうやら違うことをさせたいらしい。
「資料ができてからご相談ということで」
うーん、 プレッシャー。 久々に感じる、 この、 胃の不快感。

「これがたまらない」って、 ニコラス・ケイジがなんかの映画でやってたなぁ。 アルカトラズだっけか。
こんなんが快感になってたまるかぃ、 と思ったものの、 そういう風に感じて受け流すのも妙手だなぁと感じ入ったりもした。 激流には静水。



「今晩さぁ、 もう一人ローマに来てさぁ、 パーティするんだけど、 来ない?」
「(勘弁してくださいよぉ)あ、 いいっすね、 行く行く」
「おれは別件あるからばっくれるけど、 R氏の部屋まで送ってってあげるから。
帰りはR氏がホテルまで送ってくれるし。」

長い夜になりそうな・・・。



R氏の部屋はオフィスから車で5分ほど。
「ぼなせら」
「まぁ入って」
「じゃ、 おれ行くし」
「ちゃお」

今朝あったばかりの人んちにパーティで呼ばれる居心地の悪さ、 プライスレス。

聞くに、 P氏もS嬢も今夜初顔合わせのPZ氏もこの建物に住むとか。 賃貸アパート。 部屋は2つか。 ドアを開けるとすぐキッチン・ダイニング。 8畳ぐらいか? ちっちゃいテレビとソファぐらい。 ものがないのと、 大きなバルコニーのおかげで、 狭苦しさは感じない。 隣は寝室か。 立ち入り禁止。
バルコニーに出てみる。 緑。 空き地? 送電線の鉄塔が目の前。 見るべきものは何もないが、 ぼんやり夜風に吹かれつつ、 このパーティとやらが早く終わることをただただ念じる。

S嬢がにんにく持参で登場。 R氏料理開始。 上手らしい。
PZ氏登場。 ぎりぎりと握手。 バルコニーのテーブルをきれいにするもの、 切れないナイフでパンと格闘するもの、 ひたすら料理するもの、 それらを眺めるもの。 四者四様。

席について、 赤ワインで乾杯などして、 パンとチーズを食い始めて、 ご歓談などなさって、 あぁ、 疲れる。
料理はパスタ。 ビーフと思しき肉が肉系のソースで絡めてある。
あ、 いや、 そんなに盛らなくていいって。 食えないって。 あ〜ぁ、 盛っちゃった。 しゃーない、 食うか。
まぁ、 もう味とかカンケーないし。 ひたすら飲み込む。 くるし。

なんとか完食。
ちょっとだべれば散会か?
あと少しだ。



「そーだ、 アイス!」とS嬢。
勘弁してくださいよ。
「いいねぇ」とPZ氏。
勘弁してくださいよ。
自室に取りに戻ったS嬢。 タッパとなにやらビンを持って御帰還。
リモンチェッロというレモン系食後酒。
愛妻が興味を示したので前回のミラノで購入したものの、 まだ開封してない。
グラスにちょびっと注いでもらう。 濃い。 黄色い。 とろっとしている。
乾杯。

感想:「におい、 色、 とろり感、 まさにバスマジックリン」

うちのリモンチェッロは、 だれかにあげよう。



PZ氏がチョコアイスを食いつくしたところで、 やっと散会。 「タクシーでいい?」
「シェラトンローマって行き方わかんないのよ」
「いい、 いい、 おっけーおっけー」
どうせ会社請求。
どうせ10数ユーロ。
それで買える解放感、 プライスレス。

R氏の部屋からみんなで階段を下りる。 あたし、 この部屋。 とS嬢。
ちゃお〜。
PZ氏も部屋に。
R氏のみ外までお見送りに来てくれる。 タクシーが来るまで、 一言・二言会話。 あとは二人して、 ストリートガールがたまに通るクルマに声をかけたりするのを無言で眺める。

タクシーが来た。 ちゃおぐらーつぃえちゃお。 すぃーゆー。

23:00過ぎ。
ホテル着。
シャワーは明朝。 寝かせてくれ。

ぼなのって。




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