前号からこれまでの経過



 昨年9月6日の初回尋問から約半年、3月1日の第10回口頭弁論をもって予定されていました証人尋問は全て終了しました。尋問期日にはたくさんの方が傍聴に駆け付けてくださり、法廷の重苦しい空間にあって仲間のみんなの存在は私達にとって何よりの支えでした。心から感謝しています、本当にありがとうございました。


 尋問終了後の3月29日と4月20日の両日に和解期日が設けられ、私達原告から和解条項案を提示しました。患者の人権・命の尊厳を第一に、病院自らが事故に真摯に向き合い再発防止に尽力してくれるのであれば、判決以上の成果も期待できます。事故隠蔽をしない(できない)病院体質に変わらなければ事故防止にも繋がらない、提訴からこれまで声にし続けてきたことですが、京大病院(国)側の姿勢は、私達が願うそれとは程遠く、和解は不成立に終わりました。
(看護師たちは一様に和解条項案に理解を示してくれたようですが、これまでの経緯より京大病院という虚構の権威が簡単に受け入れるとは当初より考えてはいませんでしたので、予想通りの結果でした。)

 予定通りに6月14日弁論終結(結審)、そして、当日に判決言い渡し期日が決定します。尋問で明らかとなった事実や全ての証拠を踏まえ、原告主張を整理した最終準備書面の提出をもって、私達が民事裁判(一審)でやるべき手続きは終了します。


 一方の刑事手続きですが、4月7日に京都検察審査会から再審査通知(3月22日議決)が届き、H担当医(虚偽有印公文書作成・同行使容疑)の「不起訴処分は相当」と議決されました。2度の捜査で京都地検が不起訴としたH担当医の3度目の捜査は、残念ながら叶いませんでした。わずか半ページほどに書かれた議決理由は、前回の「不起訴不当」の議決書とは一転し、京都地検検事から聞いた不起訴理由そのままに変わっていました。伝え聞いたところでは審査は2回しか開かれておらず、きちんと審議されたのか、一般市民審査員で構成される検察審査会の不透明な実態を改めて感じています。

 私達市民が関与できうる刑事手続きは現時点ではここまでです。署名活動の際には多くの人たちが支持して下さり確かな民意を肌で感じました。残念な結果ではありますが、これまでやってきた事を決して無駄にはしません。機会あるごとに私達の体験を声にしていきたいと思います。

                        藤井 省二(2006/05/03)
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