最高の医療と看護の結果の死と信じ・・・

                         代表世話人  大坂 紀子 (01/06/10)



 さおちゃんの事件は、ご両親の心に、一生癒えることのない大きな傷を残したのは
もちろんですが、共に闘病を見守ってきた私達ボランティアにとっても、大きな心の痛手を残しました。

 というのもエタノール誤注入の翌日から、さおちゃんの側に付き添っていた私達の目の
前で、誤注入はくり返されていたのです。

 そんなこととは知らず、最高の医療と看護の結果の死と信じ、退院の時には暖かい
見送りまでしてもらったと心から感謝し、不覚にも「これで良かった。」とさえ思ってしまったのです。

 さおちゃんがどんなに無念な思いで亡くなったかも知らずに。その事を思うと胸が痛みます。さらに、京大病院側の記者発表にも裏切られた思いをしました。その後も続く医療ミスの山の中で、さおちゃんが名前も顔も見えない『ミスがなくても亡くなっていた患者』という
イメージのまま埋もれていきそうで、苛立ちと焦りを感じずにはいられませんでした。

 今年に入り、新聞記者がご両親を取材したのをきっかけに、私達も新聞に投書を始め
ました。それを知った「バクバクの会」(人工呼吸器をつけた子の親の会)の役員さん達が訪ねて来て下さり、「いったいどうなっているのか。私達にとっても見過ごせない問題だ。
もっと大きく、みんなに知らせるべき。」と励まして下さいました。
 これがはずみとなり、事件と両親の思いを広く伝えようと、この会はスタートしました。

 私達にようやく、新たな目標とご両親を支える具体的な手だてが見つかり、救われた思いと共に、扱う問題の大きさに緊張もしました。

 会発足当時は、どれだけの方が、私達の思いを理解して下さるだろうか不安でいっぱいでしたが、入会申し込みと共に寄せられた多くのメッセージで勇気づけられました。
 さおちゃんを知っていた方からの待っていたかのような励ましの言葉。他人事とは思えないと入会して下さった方。ご自分も同じ思いをしたとメッセージを下さった方もあり、多くの味方を得て、本当に嬉しく思っています。

 5月末までの入会状況は、個人会員及び家族会員が合計約200名、団体会員が4団体となりました。会費と共に、多くのご寄付もいただき、お蔭様で当面の印刷・発送費用はまかなえそうです。心からお礼申し上げると共に、今後のご支援も宜しくお願いいたします。

 最後に、会の目的である事件解明といっても、京大病院を相手に、医療や法律の専門家でない私達が、理論やデータではとうてい太刀打ちできません。
できることは、ご両親と私達が見て聞いた事実を細かく積み重ね、常識に照らしてつじつまの合わない点を拾い上げていくしかありません。

 その為、ニュースレターにおける経過説明は、誇張や歪曲のないよう、ご両親から直接報告していただく予定です。
今回の「両親手記」の内容は、録音と公表を前提にした京大病院との面談・事実説明会の記録テープから要約して文章化されたものです。

 皆さんは、この京大病院側の説明をどう受け止められますか。ぜひ、ご感想やご意見をお寄せ下さい。お待ちしております。
もどる