【 京都新聞 2006年6月14日記事 】

  11月1日に判決 
  京大病院エタノール事故 
民事訴訟が結審

 京都大医学部付属病院(京都市左京区)で2000年、入院していた藤井沙織さん=当時(17)=が人工呼吸器に誤ってエタノールを注入されて死亡した医療事故で、両親が国と医師、看護師ら9人に1億1200万円の損害賠償を求めた民事訴訟の第13回口頭弁論が14日、京都地裁(中村哲裁判長)であり、双方が最終準備書面を提出して結審した。判決は11月1日に言い渡される。

 訴状によると、同病院の看護師が2000年2月28日、蒸留水と間違えて容器が似ているエタノールを加湿器に注入、沙織さんは3月2日にエタノール中毒で死亡した。

 訴訟で両親は、誤注入した看護師らの過失を問うとともに、担当医が死亡診断書に「病死及び自然死」と記載し、エタノール誤注入について記述しなかったことなどから「病院が組織ぐるみで事故を隠ぺいした」と主張。医師側は「当時、死因がエタノールであるとは思わなかった」と隠ぺいを否定している。

 事故をめぐっては、最初にエタノールの容器を設置した看護師が業務上過失致死罪で大阪高裁で有罪判決を受け、間違いに気付かずに注入し続けた他の看護師は起訴猶予。死亡診断書に虚偽の死因を記載したとして偽造有印公文書作成容疑などで書類送検された担当医は不起訴になった。





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