【 毎日新聞 2005年4月1日朝刊 】
【 京都新聞 2005年2月10日朝刊 】
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          【 京都新聞 2005年2月10日記事 】

 京大エタノール誤注入事故 担当医ら再び不起訴
     
    京都地検 隠ぺい断定できず

 京都大医学部付属病院(京都市左京区)で2002年、入院中の藤井沙織さん=当時(17)=が人工呼吸器にエタノールを誤注入され死亡した医療事故で、京都地検は9日までに、死亡診断書に「病死及び自然死」などとうそを記載した虚偽有印公文書作成などの疑いで書類送検され、不起訴処分になった担当医師(50)と、副看護師長(47)を再び不起訴(嫌疑不十分)にした。京都検察審査会が昨年9月、2人の不起訴処分を不当と議決し地検が再捜査していた。

 地検は「担当医師は診断書作成時にエタノール中毒死と認識していなかった。事故隠しの意図を断定できず、起訴に足る証拠がない」と判断。副看護師長も「有資格者を信頼しても注意義務違反にあたらない」とした。

 京都府警は、最初にエタノールを誤注入した看護師(28)や副看護師長ら7人を業務上過失致死の疑いで、担当医師を虚偽有印公文書作成などの疑いで、それぞれ書類送検したが、地検は看護師1人を起訴し、担当医師らを不起訴にした。藤井さんの両親は、担当医師らの処分の審査を京都検察審査会に申し立て、審査会が「医師に隠ぺいの意図がうかがえる」「副看護師長は看護ミスはないと過信していた」と不起訴不当を議決した。

 両親はこの日、会見し「審査会が市民の視線で事件をとらえたのに、検察は応えなかった。『知らなかった』を押し通せば罪に問われないのなら、現行法は明らかに問題だ。悔しい」と話した。



          【 毎日新聞 2005年2月10日記事- WEB 】

 京大病院・エタノール誤注入
 
両親「捜査に疑問」−−再度、不起訴処分で /京都

 ◇エタノール誤注入事件

 京大病院で起きた消毒用エタノール誤注入事件で、京都地検が当時の担当医と副看護師長を再度、不起訴処分としたのを受け、亡くなった藤井沙織さん(当時17歳)の父省二さん(48)と香さん(48)さんが京都市内で9日、記者会見。「被害者の自分たちから聴取もせず結論を出した。公正に捜査されたのか疑問に思う」などと語った。

 不起訴の理由について地検は「診断書作成段階で、担当医にエタノール中毒という認識はなかった。副看護師長が注意義務を怠ったとまではいえない」などとした。

 会見で両親は「地検から説明を受けたが、民事訴訟での国と医師の主張をなぞったような内容。現行法では事故隠しの刑事責任を問えないとの印象も持った。再度の申し立てが可能か検討したい」と語った。【中村一成】



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          【 京都新聞 2005年2月25日記事- WEB 】

 エタノール事故再審査申し立て
   死亡した女性の両親


 京都大医学部付属病院(京都市左京区)で2000年2月、入院中の藤井沙織さん=当時(17)=が人工呼吸器にエタノールを誤注入され死亡した医療事故で、藤井さんの両親は24日までに、京都地検が再捜査でも不起訴処分にした担当医師(50)について、京都検察審査会に再審査を申し立てる方針を決めた。

 担当医師は死亡診断書に「病死及び自然死」などと記載した虚偽有印公文書作成などの容疑で書類送検されたが、地検は2002年10月、嫌疑不十分で不起訴にした。両親は京都検察審査会に審査を申し立て、審査会が不起訴不当を議決。地検が再捜査したが「事故隠しの意図を断定できない」として、再び不起訴処分にした。

 父親の省二さんは「市民感覚では診断書が虚偽なことは明らかで、地検の処分は納得できない。医師がこのまま不起訴になれば、医療事故が起こっても『病死及び自然死』と書いておけば事故を闇に葬って罪にも問われないことになる」と話している。



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          【 京都新聞 2005年4月1日記事 】

 「不起訴は不当」再審査申し立て
  
京大病院医療事故

 京都大医学部付属病院(京都市左京区)で2000年2月、入院中の藤井沙織さん=当時(17)=が人工呼吸器にエタノールを誤注入され、死亡した医療事故で、藤井さんの両親が31日、京都地検が再捜査でも担当医師(51)を不起訴処分にしたのは不当として、京都検察審査会に再審査を申し立てた。

 検察審査会法では「同一事件についてさらに審査の申し立てをすることはできない」となっている。同会事務局によると、地検の不起訴記録などを検討し、2度の不起訴がそれぞれ独立した捜査の結果、付された処分であることがわかれば、2度目の不起訴処分に対して再審査を開始できるという。

 事故では、医師が死亡診断書に「病死及び自然死」と記載した虚偽有印公文書作成などの容疑で書類送検されたが、地検は2度の捜査でともに不起訴にした。

 申し立ての後、記者会見した妻の香さん(48)は「医師の虚偽の記載が罰せられずにまかりとおる現状を変えたい」と話した。



          【 毎日新聞 2005年4月1日記事 】

 京大病院 誤注入事件
 再審査、異例の受理 遺族申し立てで検察審

 京都大病院(左京区)で00年2月、入院中の藤井沙織さん(当時17歳)が人工呼吸器の加温加湿器にエタノールを誤注入され、中毒死した事件で、京都地検が今年2月に当時の担当医を改めて不起訴処分としたのを受け、遺族側は31日、京都検察審査会に2度目の審査を申し立て、受理された。検察審査会法では審査会が一度議決した事件については原則的に再度申し立ては認められておらず、再審査の申し立て受理は異例。

 申立書は、担当医は沙織さんが死亡する約2時間前にはエタノールが約53時間誤注入が続いていたのを知りながら、「病死及び自然死」という内容の虚偽の死亡診断書を作成したなどとしている。

 受理後に京都市内で会見した父省二さん(49)は「こんなことが許されていいのかと、検察に不信感をおぼえている。検察審査会は前回の議決で事件を市民感覚でとらえてくれた印象がある。(申立書には)担当医はエタノールの影響を十分に認識していたという証拠を追加した。もう一度きちんと追及してもらいたい」と述べた。【八田浩輔】


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