「さおちゃんの談話室」(旧掲示板)書き込み

             2004/04/03〜04/11 投稿記事より



刑事控訴審・第1回公判傍聴より
            投稿者:さおちゃんの会スタッフS  投稿日:4月3日(土)


第1回公判では、発見看護師の証人尋問が行なわれました。
「自分も確認原則を実行しておらず…、(後続の) 誰かがタンクのラベルを確認していたら
亡くなる事は防げた…。安全管理、危機管理が全くなかった…」と、一審の被告看護師や看護師長・看護部長らと同様の証言がありました。

また、発見後その場で事実を (ご両親に) 話さなかった件については、
「一人だけが携わっていたものではないし自分が言うと混乱する…。他のスタッフも同じ思いだったのでは…」と証言。

これって、事故から1年後の説明会で看護師長が述べている
「私自身が、医療事故が起きた場合に、必ず患者さんに直ぐ知らせるというような教育は受けておらず、どちらかと言えばミスは余り喋るな、という教育を受けている。だから、無意識的に誰も言えなかったのでは…。組織の中の一人としたら、そんな簡単に何でも言えない。多分、組織の人間として動いてしまった」と同じなのでは。

関係したスタッフの皆が、自らを組織の一人と認識して、(嘘までついて) 事故を隠した。
それでも看護師さん達は、今でもその行為を「組織的な事故隠しではない」と否定するのでしょうか? 社会常識と著しく乖離した認識なのでは、と私などは思うのですが…。

と、それは置いておくとしても、事故発見後 (事故隠し) の点を除けば、刑事公判での看護師さん達の証言と、民事裁判でのご両親の主張とに、ほとんど隔たりは無いのでは…。
なのに何故、看護師さん達は、刑事裁判・公判での証言を、そのまま民事裁判・書面で述べようとしないのだろうか? 何故、刑事と民事とで相反する主張をするのだろうか? 
私には全く理解できません。裁判上の方法論、裁判戦術なの? これでは、いつまで経っても真に反省しているとは伝わって来ません。
ご両親の言われる「病院関係者の事後の不誠実な対応」って、こうした一つ一つの行為にあると思います。



京大病院長「事故調査委員会は設置しない」!!
                    投稿者:さおり父  投稿日:4月6日(火)


 3月24日に行なわれた刑事控訴審・第1回公判で、証人として発見看護師が法廷に立った。一審の被告看護師と同様に、安全管理・危機管理に対する問題意識が当時の病棟には全くなかった事実などを証言した後、京大病院の事故調査に関する尋問へと移った。
そこで、証人から出た言葉 (新事実) に、私は心底あきれてしまった。

 『先の3月8日に、京大病院長から「刑事・民事裁判が継続中であり、事故調査委員会は設置しない」との回答があった』・・・(発見看護師の証言)

 昨年11月10日の京都地裁判決後、事故に関係した看護師達が中心となって、京大病院側に事故調査委員会の設置を求める署名活動が、12月より病院内で行なわれていた。
 『2000年3月の人工呼吸器エタノール誤注入事故に関して、院外委員をまじえた「調査委員会」を早急に設置し、調査結果を公表してください』とする要請書に対する病院長の回答が「刑事・民事裁判が継続中であり、事故調査委員会は設置しない」なのである。

 昨年11月22日の当掲示板に、私は以下の書き込みをしている。
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 京大病院エタノール中毒死事件 (2000年3月) の前年に起きた、横浜市立大学病院の「手術患者取り違え事故」、都立広尾病院の「消毒剤点滴事故」では、それぞれの病院は、外部の第三者を交えて事故原因の解明と再発防止策に努め、後日「事故報告書」を公表しています。Web上で「事故報告書」を確認することも出来ます。
 しかし、京大病院は事故の原因究明を、警察への事故届けと同時に放棄しているのです。社会問題である医療事故に対する認識、病院内の自浄作用は著しく欠如しています。民事裁判過程でも、京大病院の歪んだ組織体質を目の当たりにしています。
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 前述の横浜市立大学病院や都立広尾病院の事故も、事件として刑事裁判となっている。ましてや、都立広尾病院事件は、民事裁判が今年1月30日の東京地裁 (原告勝訴) 判決で終結したばかりであり、刑事裁判は現在も継続中だ。
 京大病院長の「刑事・民事裁判が継続中であり、事故調査委員会は設置しない」との回答は、何の理由にもなっておらず、事故を起こした病院としての社会的責務を放棄したものである。



京大病院「調査は終了し、報告も済ませてある」・・・その実態は?
                    投稿者:さおり父  投稿日:4月7日(水)


 京大病院長宛の要請書[趣旨]に
『……、2000年のエタノール誤注入事故について、病院は「調査は終了し、文科省などへの報告も済ませてある」としています。事故に関わったひとり一人は充分な調査をされた覚えはなく、さらには調査結果については院内にも公表されていません。京大病院のスタッフの内、どのくらいの人たちが事故の全容を知っているのでしょうか。……事故の全容を明らかにし、分析し、その結果を公開することにより、適切な事故防止対策を取ることが出来ると考えます。』 とある。

 私の手元に、京大病院が文部省 (当時) に提出した『医療事故に係る経過報告』なるものがある。事故から1年後 (01年4月) の病院側との事故説明会で開示を求めたもので、
病院が言う「調査は終了し、文科省などへの報告も済ませてある」が示しているものだ。

 文部省への報告書は50頁から成っているが、同時期に提出した厚生省 (当時) へのものは19頁、京都府保健福祉部へは3頁である。すなわち、文部省へ提出した50頁の内訳で、病院が言う調査・報告 (?) に相当するものは、府に提出した3頁分に過ぎない。
その他は、事故発生防止委員会の設置に関する議事録、薬剤部システム等の説明資料、云々である。

 さて、「調査は終了し、報告も済ませ」たとされる『医療事故に係る経過報告』から読み取れる内容を要約すると以下のようになる。

 『人工呼吸器の加湿器に蒸留水 (精製水) を入れるべきところ70%エタノールを平成12年2月28日18時頃から3月1日23時頃まで補充。
 2月28日、担当看護師は、ストックが保管してある場所からラベルを確認せずに白い5L
プラスチック缶を持ち出し、人工呼吸器の足元に設置。3月1日23時頃、看護師が補充しようとしたところ、うまく吸えず、缶を傾けようと動かした時、エタノールのラベルに気付いた。担当医に連絡し、蒸留水 (精製水) にすぐに取り替えた。
 2月28日の担当看護師が取り違え、病室に持ち込み、のち消毒用エタノールが加湿器に補充し続けられていたことは、看護師への聞き取り調査により3月2日18時に判明。
 3月2日19時54分、患者死亡。
 消毒用エタノールは、病棟師長が請求し、病棟倉庫に保管。5Lエタノールは4L精製水と同じ大きさの乳白色のポリ容器に入っていた。倉庫には、注射薬と区別するため、4L精製水は、消毒薬と同じ場所に保管していた。4L精製水の使用を禁止した。』

 単なる経過報告である。『医療事故に係る経過報告』は平成12年3月9日付で文部省に提出している。前々日の3月7日夕刻に京大病院は記者会見をしており、それまでに判明した事故経過を発表した。要するに、調査・報告 (?) と称するものの中身は、3月8日の新聞各社の記事と何ら違いはないということだ。

 「調査は終了し、文科省などへの報告も済ませてある」は、京大病院側の詭弁に過ぎない。横浜市立大学病院や都立広尾病院をはじめとする、事故を起こした病院が公開している「事故報告書」に値するものは、京大病院には存在しないのであり、公表できるはずもない。

 前述の事故説明会での担当医の言葉が、その実態を全て証明している。
「(3月3日に事故届けをした) 後は、警察がどんどん動かれましたので、私達はその時点でストップですね、私達としての調査は。」・・・(担当医の発言)



Re:京大病院長「事故調査委員会は設置しない」!!
            投稿者:さおちゃんの会スタッフS  投稿日:4月11日(日)


京都大学病院トップのこの発言は、
組織としての大学病院の体質が大きく問われるものです。
エタノール誤注入事故の関係当事者たち (看護師長・看護師) 自らが、
『院外委員をまじえた調査委員会の設置』を強く要請しているのです。
『事故の全容を明らかにし、分析し、その結果を公開することにより、
適切な事故防止対策を取ることが出来る』、まさにその通りです。
医療事故防止は、医療者にとっても、患者にとっても、共通の願いです。

京都大学病院長の発言は、繰り返される医療事故の危険性を、
患者・医療者の双方に強いるようなものです。
先端医療を誇る、特定機能病院である京都大学病院は、
これからの医療を担う医学生を育て送り出す教育・研究病院でもあります。
その大学病院長の発言は、患者すなわち私たち市民の生命をも脅かす暴言です。

理由にもならない言い逃れをして、拒否するのは何故なのでしょう!
『調査委員会の設置』は、京都大学病院にとって何か不利益に繋がるのでしょうか?
こうした姿勢が「病院は事故を隠している」との不信感を強く募らせるのです。

病院内で上がった声 (要請) を、無駄に終わらせて欲しくはありません。
看護師さんたちには、要請活動を病院内に留めず、
看護協会、全国の医療機関、患者でもある一般市民にまで広く訴えてもらいたい。
世論やマスコミを動かすことで、京都大学病院の中と外から、建物ごと揺らせば、
白い巨搭の最上階の住人たちも、目を覚まさずにはいられないでしょう。
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