♯002 シグルド・ハーコート


 彼については語ることが多くなりそうな予感が漠然としてます。
 というか、私にとって語りたいことが多すぎるんです、この人(笑)。


 巧みな思考力と冷静な判断力を持ち、ユグドラシルの副艦長を務めるバルト腹心の部下。
 彼を知るほとんどの者は皆、口を揃えて彼を切れ者だと称する……と思われる。
 一方で、
「副長、若には甘いよなー」という陰での賞賛(?)
 艦員達に囁かれていることは、まず間違いない。知らぬはシグルドばかりなり(笑)。
 だって艦員でなくとも思いますもん。バルトに対して甘いって。
 というか、それはシグバル見地から語っているせいで、余計にそう思うのでしょうか?
 ……多分、そうかも。甘さがノーマル観点との比較、5倍強。偏見入りまくってます。
 まあ、いいか。
ここ、シグバルサイトだし(笑)。

 
 アヴェ東方、辺境の地ノルンにて誕生。母シャリーマが亡くなった後、11歳にてアヴェ宮中に上がる。
 その折り、バルト付きの近衛士官として出仕するに至る……。
 幼い頃のバルトにしてもシグルドにしても、肉親の縁が妙に薄いように思います。
 バルトも庇護されて当然とも言える時期にクーデターのため、父親と母親を失っていますし。
 シグルドも背景に複雑な事情が潜んでいるせいか、これまた肉親の縁が薄い。
 しかもシグルドの母親が亡くなった時の彼の年齢が11歳。まだ子供と言って差し支えない年齢。
 時には母を懐かしみ、いない父親を欲したこともあるはず。叔父や従妹がいたとはいえ、彼の性格上、
 「母親が恋しい」などとはきっと口にはしなかったと思われますが。
 心の裏に押し隠した本心を悟られないよう、ただひらすらに大人びた子供の顔を、
 当然という風にしていたシグルドが目に浮かぶようです。加えて子供の頃から確固たる
 自身の矜持を持っていたように思います。妙に生真面目で、厳格で。
 母の死はそれだけで、彼の人格形成に影響を及ぼした一因ではないでしょうか。
 苦労人だったんだなあ……。

 
 肉親を亡くしたことを機に、11歳ながら王太子付近衛士官となります。
 11の歳で採用されるのは異例中の異例……なのだそうな。
 PWにも通常14歳での採用と記されていますから、それがいかに特例なのかは明らかです。
 父であるエドバルトW世のせめてもの親心、だったんでしょうね。愛した人の忘れ形見である
 シグルドを手元に置きたいという気持ちと、シグルドが生まれていた事を知らずに
 何もできなかったという、ある意味、自責の念に近い感情に動かされて。
 しかも親子の名乗りを上げずにですから。シャリーマの意思を尊重したとはいえ、
 思わず口にしたくなった時もあったでしょう。
 そんな事情も一切、知らない振りをして早くのうちに察知していたように思うんですが、シグルド。
 周囲の機微を悟るのに、非常に敏感な一面があった子供だったのではないかな、と思います。
 王宮での己の微妙な立場(エドバルトW世に目をかけられている)を
 わきまえていたという理由によるものかどうかは、分かりませんが。
 でもそのころはまだ、自分が面倒を見ている王太子に、将来想いを寄せるだなんて
 よもや想像もできなかったに違いない……。
何しろ相手はまだ乳幼児(笑)。
 
……人生、塞翁が馬。一寸先は闇。何があるかは分からない(笑)。
 
 
 彼の人格形成に多大な影響を及ぼした思われる出来事が、他に2件ほど。
 バルトの養育を任されたということと、ソラリスへの拉致事件です。
 13歳でのノルンへの帰省中、ソラリスへと拉致られる。
 シグルドがそこで被検体として3年という年月を生き延びてこられたのは、
 ひとえに彼の強靭さゆえでしょう。肉体的にも、精神的にも。
 ここで彼が亡き人にならずに済んで、ほっとすることしかり。
 もしシグルドがソラリスで亡くなっていたら、ゼノギアス“完”です。終わっちゃいます。
 
後に控える風呂イベントも、碧玉要塞でのイベントも、バルコニーイベントも、存在しないのです(笑)。
 ……というか、その前にバルトも救出されず、天に召されているのは間違いありません。
 本当に笑えないことです。シグルドの強さに拍手! 
 あなたが生き延びた事で、救われた人達が確かにいた。
 そしてシグバルを愛する人々も、そこに問答無用で含まれます(笑)。
 
ゼノギアスは裏的に二人の物語だ、といっても差し支えはないと断言したいです、私は(笑)。


 過酷な同調実験、薬物投与の3年間を過ごした後、ズタボロのシグルドを救い上げてくれたのが
 エリートラムサス。ラムサスにも感謝せねばならない……のか。シグルドのどん底人生をとりあえず
 ストップさせてくれたのが彼なわけですし。ありがとう、ラムサス。>合掌。
 その後のシグルドの生活は、今までとは一変してしまうわけです。
 被検体から一気にユーゲント、しかもエレメンツ要員という身分への転身。
 持ち前の有能さを発揮して、そこで彼がのし上がるのにさして時間はかからなかったように思います。
 けっこう努力を尊ぶ人だとは思うんですが、それすらあまりしなくても差し支えないような
 ところがありそうです。大抵、人が十の力を出さなければできないことも、
 シグルドならばその半分で済んでしまうような。……なんて羨ましい。
 ただ能力的には決して劣らない彼ですが、ラムズとしてソラリス人の中に立ち混じって過ごす
 ことには始めのうち、精神的に結構くるものがあったんではないかと。いくらラムサスの推薦だとは
 いえ、差別に次ぐ差別、偏見に次ぐ偏見の嵐に見舞われたのは間違いありません。本人が気にして
 おらずとも、それを放っておかない連中なども絶対にいたはず。
 しつこいイジメとかも受けていたんだろうな……。
 しかし、そんな周囲の差別・偏見の目も、実力ではっきりとねじ伏せていったことは、想像できます。

 ……ただ、ユーゲントでの生活にも、自国の慣習をそのまま持ち込むのはいかがなものか。
 かつて某HPで拝見した折、
エレメンツ候補生の制服、彼だけがへそ出し仕様でした。
 ……もしもいじめがあったのならその原因、シグルドに対するやっかみじゃなくて、
 その格好自体に問題があったのでは?

 「へそ男!」
とか、教科書などに書かれるいやがらせとかあったりして。
 何だかそう考えるとユーゲントのイメージが、がらがらと崩壊していく……(笑)。
 

 別の意味で気になるのは、ユーゲント時代においてシグルドを取り巻く人間模様なんですが。
 ジェシーにラムサス、ヒュウガという個性たっぷりの人間が周囲にいて、何も起こらないはずがない。
 あ、健全的観点、乙女的観点、どちらの意味においてもです(笑)。
 それこそマンガの学園モノのような王道ストーリーからギャグに至るまで。
 もちろんそういう目で見れば、
ヨコシマな人間関係も有りだったのではないかと考えてしまう。
 そこでシグルドはどちらの立場であったのか……。
ヒュウガと同室だったという事実や、
 
ジェシーの家に下宿していた、なんてことを考えると「きっとそうだったのね!」(←何が?)
 という考えに陥ってしまうわけです(笑)。
 ですがここで言及するのはシグバルだけ。ですゆえ、割愛させていただきます、はい(笑)。


 シグルドがソラリスの誇る怪しげな洗脳を打ち破った出来事。これも忘れちゃいけません。
 バルトへの思いだけでそれを解いてしまうあたりもさすがです。「愛ゆえね!」と言って
 しまうのは簡単ですが、むしろバルトに対しての父性的な感情に触発されて、記憶を取り戻し、
 ためらうことなくソラリスを出奔した、と考える方が自然な気がします。
 が、同時に感心したのはソラリスを去る際に、ラムサスへ言い放ったセリフなのです。

 『お前と見た束の間の夢、悪くはなかったぜ……』

 問題発言です。これでは確かに
どこからどう見ても裏切り者にしか見えません、シグルド。
 やってくれます。ラムサスにそう罵られても文句は言えない。
 語尾の「ぜ」のせいか、やさぐれ者の捨て台詞のようにも聞こえてしまう。
 何かこう、いやに高飛車な態度でもって、上から見下すような感じで言っているような
 印象を受けます。その際ラムサスは地べたにしゃがみ込んでいる格好を希望。あの
 尾崎紅葉の某小説、足蹴にされているかつての許婚のような。……ギャグにしかならない(笑)。
 〈バルト〉と〈ラムサス+理想国家構築+ソラリスでのやっと確立した地位etc〉を天秤にかけ、
 あっさりと後者を捨て去るシグルド。そこまでバルトに対する思いが深いのね、と思うものの、
 ラムサスの人間不信の土台を作り上げたのもまた彼なのだな、と認識。
 やはりソラリスでのシグルドを取り巻く人間関係は、まったく興味深(以下略)。
  

 地上に戻り、シャーカーンの手からバルトとマルーを救出し、その後は奪取したユグドラシルを
 駆使して海賊行為にいそしむわけですが。
 バルトが艦長として皆のトップに立つまでは、それこそ彼の成長を待たなくてはならなかったと思います。
 バルトが救出された時点の年齢が6歳、シグルド17歳。高校生が小学校上がりたての子供の面倒を
 見るようなものです。しかも親はなし。メイソン卿や周囲のクルー達の手を借りることはあったにしても、
 拷問を受けたという重い事実と、王家復興という決して避けられない事実を負った子供に対し、
 並々ならぬ苦労をされたんではないでしょうか、副長。
 男子高生が、生まれて初めての子育て。ある意味、修羅場です。
 あ、でも王太子付きの頃からの実績があるから、そう苦労はしなかったかもしれません。
 第一反抗期は終わっていますし。でも子供時代のバルトは、なかなかにやんちゃで
 手に負えなさそうな感じがしますな。
 副長、スポック博士の育児書とか片手に奮闘していたんだろうか……?(笑)


 バルトを養育するに当たって、しつけにしても教育にしても、シグルドの場合手抜きなんぞ
 しなかったんだろうな、と察します。
 彼の血液型はおそらくAB型だろう、と思うのですが。これもちょっと迷うところはあります。
 とりあえず、AB型の気質特性には次のようなものが挙げられます。
 
   ◇合理性に富む考え方。
   ◇批判分析長じ、それを好む。
   ◇考え方や解釈が多角的に渡る。
   ◇人当たりが柔らか。
   ◇人間関係の調整が巧み 
    などなど。
 
 ですがしかし、AB型の一番の特徴は社会参加に忠実で、有能さと強さとを持つということと、
 気まぐれ的な突発的感情、非現実的な行動をするという二面性が挙げられるそうです。
 AB型は社会的に一線を画して、一歩下がって見ているような部分がある反面、
 社会に参加したがるため、にこやかなイメージを作り出すのだそうです。
 AB型の人を二重人格として見る傾向があるようですが、それは上記のような理由によるもの
 ではないかなと思います。
 シグルドはというと、思考、判断などの面においてAB型っぽく思われるのですが、
 後者の非現実的な行動。この点に関しては一致しないような気が。
 彼がそんな行動を取ったことは、確かゲーム中ではなかったと思うので……。
 あ……いや、ありました。
ユグドラ飛ばし事件(笑)。
 バルトの窮地には他の事も顧みず、理性などどこへやら、
潜砂艦をすっ飛ばしてしまうのです。
 こういうタイプを敵に回したら、絶対無事には済まないですね。バルトを人質にとろうものなら、
 反対にいきり立って自分が切り込んで行きかねない。犯人は瞬く間に血祭りに。……うわあ。
 あれもバルトを思うゆえの行動なのでしょうが、付き合わせられる艦員達も気の毒な……。
 命はもうないものと思わなくてはなりません。というか、すでに承知済みなんでしょうか。
 シグルドと艦員達の間で血判状がすでに回されていそうで、ちょっと怖い。
 皆の署名の下にはそれぞれの血判が押してあって、それらの取り巻く中央には
『一蓮托生』
 という太文字
が……。当然、バルトはそれを知りません(笑)。
 
後世語り伝えられる、ユグドラ伝説の一つになっているのかも(笑)。


 反面シグルドは、どこかA型気質も内在してるのでは……と思われなくもないです。
 ユグドラシルを取りまとめるというポストに加え、そこに要求される気配りの細やかさや責任など。
 強い責任感と自立的行動、手抜きをしない丹念さ、緻密さ、慎重さなどもシグルドには
 あるように思われます。
 副長という立場に加え、バルトが幼い頃は彼の養育係でもあり、彼が長じてからはその役目も
 相談役、お目付け役と自然、細分化され増えていったのでしょう。
 ですが、ブレイダブリク奪還前夜、艦上でのシグルドのセリフ。

「では、まず風呂に入ってもらいましょうか!」

 今でこそ超絶有名になってしまったセリフですが。
 違う、何かが違うぞ!! シグルド!!(笑)
 決戦前夜にいきなりそんなことを言い出す副長なんて、どこにもいないぞ!!(笑)
 いくらバルトの養育係だったとはいえ、相手はもう18歳。それを言う必然性はどこにもないぞー!!
 シグバルファンの心臓を間違いなく撃ち抜く、こんなことを唐突にぬかす副長。
 「何じゃ、そりゃあ〜!?」とプレイ中、思わずTV画面の前でツッコミを入れた方もいらっしゃったのでは?

 普通なら「明日のためにも、今日は早くお休み下さい」とかそのくらいで留めておくのでは?
 バルトの風呂嫌いが窺い知れる一件でもありましたが。何かを狙ったとしか思えない、このイベント。
 一体、何を目論んでいたんでしょうか、スクウェア?
 無論、見事にその企みに乗っかってしまったのは私自身なのですが。
 大いに推奨したい副長でもあります。さすがとしか言いようがありません(笑)。
 

 まあAB型の性格は、A型とB型の気質の和合というようにも言われているようですから、
 シグルドの場合、わずかにA型寄りのAB型なんではないかと。……また、いい加減な(笑)。
 几帳面さを持ちつつ、有能さも併せ持つ、という感じでしょうか。
 

 もう一つ言及しておきたいのが、シグルドの外見。バルトでなくともよろめきますとも、ええ。
 191pという長身に加え、母親譲りのカフェオレ色の肌、父親から受け継いだ銀髪と、
 ブルートパーズの瞳。
 これだけでも人目を引くのは間違いないというのに、これでもかという極めつけのへそ出し。
 まったくその容貌で、どれだけの人間を狂わせてきたんでしょうか(笑)。
 見目よく、頭も切れて、かつ性格にも問題なく……なんて世の男性を敵に回しかねない。
 しかしそんな彼にも弱点が。
酒に弱く、徹底的な甘党ときた(笑)。
 これで酒にも強いなどときた日には、完璧過ぎて厭味に思われるか、とっつきにくい印象を
 持たれるかされそうな気がしますが、幸いにしてそうならなかった。
 あれだけの身長を誇る人間が下戸で甘党だとは。そのギャップがよろしい。
 二日酔いでユグドラ出航を一日延期させたという前科の持ち主でもありましたよね、確か。
 容貌の完璧さとこの嗜好の偏りが、ちょうどよいバランスを保ってシグルドの性格に
 妙味を加えていると思います。彼の嗜好を「ネタにできる!」とほくそえんだのは
 私だけではないでしょう。多分(笑)。


 あやや……。やはり長くなってしまいました。まだ語りたいことは山ほどあるのに。
 これでもバルトの1.5倍ほど長く書き連ねておりますのに(笑)。
 バルト、シグルドときたらば、次はシグバル。絶対、シグバル。
 二人がそうなっていった過程について、じっくり迫って見ようと思います。
 


 #001 TOP 綴文苑